フリースクール

湯本 佳代 君(京都建築専門学校)

 

 この作品は、設計の対象が建築物だけでなく周辺緑地も含めた空間全体であることを示し、そこで展開されるであろう数々のシーンも具体的に提案している点で優れている。屋内、屋外両空間を通 じて描かれた各パースには説得力があり、特に屋外パースに表現された建築物と他の建築物・築山との間合いのとり方がうまいと感じた。
 建築の設計が、モノの設計である以上に空間の設計であることは、今以上に広く社会に認知される必要があるだろう。作者はそのことをよく理解していると思う。この作品は、図面 全体のグラフィックデザインもよくまとまっている。絵本風であることの好き嫌いはともかく、構想された空間とのバランスや高い完成度を評価したい。
 僕なりの疑問点も付け加えておこう。フリースクールが置かれる場所が植物園だという設定は安易ではないか。自然とは何かという問いも含めて、こうした提案は、既に社会から切り取られ安全を確保された場所ではなく、積極的な外界との関係づけを含めて新たな場所として提案されるべきだと思う。そうしてはじめて「絵本」はメルヘンの世界から脱皮する。

(長坂)