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大西 幸郎 君(大阪工業技術専門学校)

 

応募作品のほとんどがCAD,MACを駆使しての表現であるなか、唯一フリーハンドのスケッチで徹底され、それが反って新鮮で作者の熱意が感じられる力作です。計画内容は作者自身の生活空間の問題点を、空間を回転させることによって解決するという夢とアイデアに溢れたものです。建築物という定義よりはプロダクツ製品の実験生活ユニットとでも捉えたほうが良さそうです。「食」「寝」「休」「勉」「浴」の各生活シーンによって、各建築部位 の用途転換には少々強引な点も見受けられるが、若者らしく楽しい解決方法を探求心をもって見つけ出したであろう点を評価しましょう。表現のなかで、ユニットが各生活シーンによって回転方向を変えているのは、書き添えられた掌の向きで理解できるがユニットのスケール感を無くしていることも否めない。また、パースとして描かれたSF的環境は想像したくない未来です。スケールの違うものや連結されたユニットもあれば「ホッ」とするのですが。住空間は建築の基本です。より一層の研鑽を期待します。

(高田)