自己制作空間 〜見えない言葉〜

藤原 聖

近畿大学

 

 ここでの提案は、「建築家本位の建築でも利用者本位の建築でもない、建築は建築の力に満ち溢れ、人間の感情に介入し、人間の思考や行為を喚起する力を持つと考える。」として個人の内面と対峙する空間の造形を試みている。そしてそこを、「見えないものを感じる感覚と時間と失った価値観を獲得するため自己制作する」場と位置付けている。

 これらの思考とテーマが、設計者の中でうまく醸成され、断片化され起伏する床を持つ空間として造形化されている。また、CGを利用したプレゼンテーションが評価されて入賞となった。提起された空間の適切性にやや疑問があるが、テーマの切り口、建築への展開、そして表現力が一貫して提案されており全体としてまとまりのある作品となっていた。

(関根)