川の上に建つコミュニティーセンターTHE祭り

仲間香織

大阪市立工芸高等学校

 

 「THE祭り」と題した本作品は、大阪城東区を流れる城北川沿いの空間に、体育館や多目的ホール、図書室などを併設したコミュニティセンターを計画・設計したものですが、現状の閉鎖的な水辺空間を親水空間として再生させる提案でもあります。川の上に設けられたデッキ状のイベント広場は、水面に映る景色を楽しめるよう出来るだけ水面近くにレベルを下げるとともに、対岸を結んで双方から人々がこの水辺空間を訪れやすく計画されています。円形のイベント広場、吹き抜け空間を中心として自由曲線を描きながら外へ広がる外壁、側面が扁平した楕円状である展望デッキなど、やや難を言えば立面と平面の形の安直さ、建物内部空間のデザイン不足が感じられるのが残念ですが、これらの曲線を果敢に取り込みながら、河岸やメインの広場からみた建物の外観は、「祭り」の楽しさ、賑やかさを感じさせるものとなっている点は評価できます。さらに角地であり水辺であるという好条件の敷地に、オープンスペースやレベル差、樹木による植栽などがうまく計画されている点にも好感が持てます。

 プレゼンテーションでは、レタリングやドローイングにやや未完成さが感じられますが、模型写真と力強く素朴なパース・スケッチを含め19枚の図面を用いて、「祭り」というテーマを良く表現しています。今後の活躍が期待される作品です。

(橋本)