上田亮太
(京都市立伏見工業高等学校)
本作品では、既に廃校になっている京都市中京区・立誠小学校の跡地に、京都の伝統文化を伝えるための展示施設が提案されている。広い敷地を十分に生かした広がりのある計画で、各所に中庭と回廊が設けられ、気持ちのよい鑑賞空間が実現されている。また、展示物まで構想し、展示物に相応しい環境を形成しようとするきめ細やかな配慮にも好感が持てる。機能的にもよく練られており、入選作品にふさわしい、密度の高い充実した取り組みがされている。
ただし、次の点についてはより幅広い展開が求められた。例えば、様々な「再利用」のあり方が検討できるはずである。小学校当時の場所の特質を継承したり、既存校舎の一部を生かすことも考えられた。また、屋根の形態だけでなく、空間構成そのものに京都の空間文化を表現することが望まれた。
(木多)