木下 麻美
(兵庫県立兵庫工業高等学校)
本作品は海を望む美術館である。プログラムには新しい提案は見られないが、ていねいに書き上げられた図面からは美術館と海との関係が読み取れ、人が動くことによってその関係はより明らかになっている。
CADによる図面が多い中で、力強く説得力のある手書きの図面にはリアリティがあり、美術館と街とのつながりが印象づけられた。特にパースでの表現は突出したものではなかったが外部と内部との連続感が読み取れ、見る者をひきつける表現力があり、入選作品にふさわしかった。
しかし今後の課題としては、問題をうまく解決しまとめあげることだけではなく、新しい問題を提案することにある。建築を通して社会とのあり方を問い直すような作品を期待している。
木下君の今後の活躍が楽しみだ。(竹原)