兵庫県立近代美術館 永遠流積(とわりゅうせき)

枡野 考平 他4名

(大阪市立工芸高等学校)

 

 本作品は震災復興の目的のために、兵庫県立近代美術館の再建を契機とし、神戸の町に新しい文化、交流を生み出し、21世紀に相応しい新しい神戸の再生を図る計画である。
 近代美術館の機能を単に収集、展示のみならず、情報や作品そしてそれを鑑賞する人々などこの施設を中心として、新しい交流や神戸文化を発信するためにそれぞれの機能に合わせたさまざまな空間が提供されており、またそれぞれのスペースは魅力的でアメニティの高い空間を目指そうとしている。作品全体としての統一性は少ないが作者の目的を追求する熱意が感じられる。
 また、海沿いの立地を生かした計画と施設配置となっているが、神戸の都市空間は海岸沿いに細長く展開しており、そのため都市景観の基本構造として山から海へ抜ける空気や視線の流れを優先する構造となっている。本計画案のように東西に長い施設の場合は、南北に透過する空間が施設の中に効果的に計画されればよりのぞましかった。とはいえ主な施設を海岸沿いに伸びやかに配置し、施設へのアプローチを交流や文化活動のための自由な広場として公園化(ミニパーク、小広場、小道)することにより、山側への環境配慮を最大限もたせたことや、具体的な展示計画、動線計画をふまえた計画を評価した。

(山本)