『まちこうば再生計画』

森田 真樹

(大阪工業技術専門学校)

 

 森田君の『まちこうば再生計画』は,小規模な住宅と工場が混在し,近年,衰退が加速するなど様々な都市的問題を有する場所を計画敷地に,街区全体を再構成し,そこに新旧の機能を配することで先の問題の解決を図ろうとした意欲作である。
 まず,街区に5つの同じ大きさのボリュームを平行に配する。5つの棟は,メディアプール,インターフェイス棟,工場(こうば)パーク,アミューズメン棟(トウ),フリー住棟と名付けられる。各棟は,ネットカフェ,コンビニ,ショウウィンドウ,大浴場,日曜大工教室などの諸機能が工場と密接に関連づけられ複合されることで,工場自身が従来有した機能が組み替えられるとともに,より多くの人々の利用が促されることで街区全体の再生が図られる。
 レイヤリングされた全体配置構成をはじめ,各棟における機能の解体と再構成,その形態や素材の持ち方など,極めて洗練され安定したデザイン能力を感じさせる作品である。さらに,時間による使用形態の差異や空間の使い方を執拗に提起した点で,単なる図形的処理のみの計画を大きく凌駕するものとなっている。この受賞を機に更なる飛躍を期待します。

(末包)