1.1m/s ─京都二条映画複合施設─

小野 雅司

(京都大学)

 

 JR二条駅前の標記開発計画提案で、JRによって分断される東西エリアの人の流れを促進する触媒施設としてのテーマ設定である。それ自体は特筆するほどではないものの、学生らしく好感が持てるし、人の流れをゆったりとした水流と捉え各施設を流れに浮かぶアイランドになぞらえて設定された構成は説得力がある。計画説明を最小限にとどめ、CGによる無彩色の図面表現が語りかける迫力は提出全案のなかでも際立っている。また全体を貫く無機質なトーンのなかで、表現力のレベルの高さに加え、プランの巧みさのなかに潤いとユーモラスな印象さえ持たせる提案者の力量に、懐の深さと将来性を感じた。

(黒川)