川嶋 秀樹 君
(近畿大学)
簡単に言ってしまえば、橋にぶらさがった美術館である。上を車が走っている。おそらくトラックも。振動や構造の事、様々な規制等が一瞬頭をよぎるが、中身を読み解くうちにその特異な発想力、緻密な空間構成手法のまえで「技術は後からついて来る」と思わせられてしまう。
三つのプロセスを経て与えられる魅惑的な展示空間、その下に広がる水面がこの建物がREVERSE(ぶら下がり)している事を気付かせる。この綿密に企てられた計画の基本コンセプトが「あいまいな」、「未完」の中間領域というところにこの案の両義性とふくらみがあるように思う。二つの都市を分断する川、架けられた橋、そこは都市のエッジか、接点か、はたまた中心か、そこで出会う人々はどのように都市へ帰属しているのか、様々な事を想起させてくれる作品であった。(天野)