気持ちのろ過器

松田 亜希 君

(中央実務専門学校)

  


 本作品は神社の境内に設けた、様々な心に訴えかける装置のデザインであるが、装置を超えて環境、更には建築としての空間に昇華しようとしている点を評価した。

 敷地は、大阪府池田市神田4丁目八坂神社境内。神社は気持ちの入れ替えをする場所と位置づけそこから、境内の中に自分が主人公の様々な場所を用意し、そこで自分を知り見つめなおし気持ちをろ過してはっきりさせる場を提案している。この場所で悩みは解け新たな一歩を踏み出す晴れ晴れした気持ちになれることを期待しているが、神社には多くの人が集まるところでもあり、偶然性や人と人とのアクティビティが生まれる場所でもある。人と環境と同時に人と人の関係をどう構築していくかが今後の課題であろう。

 参道の長い直線の道と対比させた、「木の庭、飾り道、想い部屋、澄み池、格子道、坂道、影道」が有機的に配置され、多様な空間要素を組み合わせた構成によって新しい環境・空間を生み出そうとした努力の跡が伺える。建築に機能性以上のものを追求したもので、将来に期待したい作品である。

(山本)