仲山 佳菜子 君
(兵庫県立豊岡実業高等学校)
本作品は、学生寮に周辺の人々のための交流施設を併設した案である。両者を空間的に関係づけることで、建物の全体が地域に開かれた場となるよう計画がなされている。さらにゆったりとした構成によって、この施設が作者の意図する癒しの場としても機能するであろうことが想像できる。
平面的にはグリッド状の構成を採用しているが、その中に共用スペースを中心として伸び広がる空間をつくりだすための工夫がこらされている。
外観も表情豊かである。角をへこめて緩やかに流れるコーナーを生み出し、さらに別の要素も加えて個性的な形を与えようとしている。骨格としては明解なものではないが、形へのこだわりは随所にうかがえる。オーソドックスな手法の中に様々に個性的なものがちりばめられ、この案を魅力的なものにしている。
図面自体は手書きであり、めりはりがあって十分に見やすい。細部の処理も破綻なくしっかりできている。今回の入選を機に思考の幅を広げ、ますます研鑚されんことを期待したい。(戸田)