コロキウム構造形態の解析と創生2015 - colloquium 2015 -

■ 開催主旨
近年の建築の設計プロセスにおける3D-CADやBIMの利用は、意匠、構造、設備、施工の連携を強め、また、これまで不可能であった複雑な形態の構造物の建設も可能にしました。また、デジタル・ファブリケーションの技術が普及し、建築のデザインに大きな変化を与えつつあります。実現可能な建築表現の自由度が急速に増すなかで、建築物の形態をどのように決定すべきかという問題について、今後更に深く考えていく必要があります。
本コロキウムは2006年度から毎年開催しており、今年で10回目を迎えます。これまでに、構造形態創生、構造最適化、アルゴリズミック・デザインといった建築構造物の形態を創り出すための理論・技術に関する研究や、実際のデザインへの応用事例などが数多く紹介され、活発な議論が展開されてきました。これらの理論・技術は一過性のものではなく、本質的なニーズの上に成り立った重要な建設技術であり、新しいコンセプトや最新のアルゴリズムなどを取り入れながら、議論を重ねて今後も発展させていく必要があります。
本年度開催する「コロキウム構造形態の解析と創生2015」は、これまでと同様に形態創生の理論・技術に関わる研究者、技術者が一堂に会して最新の情報を交換すると同時に、10回目の節目として過去に開催されたコロキウムも振り返りながら将来の方向性について議論し、これらの研究・技術分野が益々発展することを期待して開催されます。

<主催>
  構造委員会 シェル・空間構造運営委員会: 構造形態の解析と創生小委員会
  構造委員会 応用力学運営委員会: 構造形態創生小委員会
  情報システム技術委員会:  アルゴリズミック・デザイン小委員会

開催期日 2015年10月29日(木), 30日(金)
開催場所 建築会館ホール

コロキウムの内容

□ 特別講演

特別講演は初日に行われ、コロキウム第10回特別記念講演として名古屋大学名誉教授の大森博司先生、特別講演としてアンズスタジオの竹中司さんがさんが講演されました。
講演題目は、大森博司先生が『構造形態創生法−これまでとこれから−』、竹中司さんが『形を決めないカタチの設計図』でした。
プログラム


□ 一般講演

一般講演は、2日目に行われ、23題の研究発表が行われました。
プログラム

優秀講演表彰

優秀講演選定委員会(委員長:高田豊文)の厳正なる審査の結果、今年の優秀講演が下記の3講演に決定しました。発表者には表彰状が送られました。

 藤下和浩君(東京工業大学)
 「Hybrid GAおよび弾塑性応答解析を用いた制振改修における最適ダンパー設計」

 西田哲朗君(鹿児島大学)
 「Kirchhoff要素とMindlin要素の違いによる自由曲面シェル構造の形状最適化」

 打樋勇人君(東海大学)
 「曲げ歪エネルギーを用いた自由曲面シェルの形状評価に関する研究」

□ 形態創生コンテスト

<コンテストの主旨> 
建築の空間や工芸品の形は作者が審美や思想を満たしながら、求められる機能や役割の実現を図るべきである事は言うまでもありません。「形態創生」は空間あるいは形に求められている課題あるいは意図を理解した上で、力学上、構法上、効果的にそれを実現する方法を志向し、それを科学的に定義することで、結果として設計者の想像力を越えた形態の可能性が創造されると考えています。
本コンテストは、独創的でありながら実現性も視野にいれた「形態創生」の考え方に基づいたアルゴリズムや、建築構法とその産み出す形態を総合的に競う事を目的にしています。過去7 回を経て本コンテストは、実体的に構造物を造る方法の合理性と、その構造物が実現する空間利用の合理性を融合した問題として捉えたレベルの高い催しとして注目されてきました。「形態創生」の考え方に可能性を見出す様々な分野の多くの人の参加を期待致します。

<課題(テーマ) > 
課題は以下のテーマとしました。
「パーソナル・ビルドできる建築の形態を創生する」
解説:近年、ファブラボ(※注1)に代表されるように、3Dプリンタやレーザーカッターあるいは電子回路基盤プリンタに至るまで様々なデジタル・ファブリケーション機器が一気に普及してきたことで、それらを用いて、ほぼあらゆるものを自分自身でつくることができるようになってきました。かつて、部屋いっぱいの大きさだったコンピュータが、一気に小型化複合化して、パーソナル・コンピュータになったように、現在限られた場所に行かないと使えないデジタル・ファブリケーション機器も、今後少しづつパーソナル・ファブリケーション化していくと考えられます。
そのような技術や社会背景を踏まえて、今年度の形態創生コンテストは「パーソナル・ビルド」をテーマとします。個人で入手できる素材を用いて、個人でデジタルファブリケーション機器などを用いて加工を施し、個人で(あるいは建築自身が自律的に)組み立てることができる形態を創生すること。
ややもすると、コンピュータ内で創生された形態は、実際には作りにくいということが起こりがちです。自分自身でつくることのリアリティを踏まえながらも、独創力な形態が創生されることを期待します。

※注1:ファブラボ(Fab Lab)は、 「ほぼあらゆるもの("almost anything")」をつくることを目標とした、3Dプリンタやカッティングマシンなど多様な工作機械を備えたワークショップ。世界中に存在し、市民が自由に利用できる事が特徴。(Wikipediaより引用)

<審査員(敬称略、50音順)> 
 審査委員長 中田捷夫 (株式会社中田捷夫研究室)
 審 査 員 池田靖史 (慶應義塾大学)
  大崎 純 (京都大学)
  久保田晃弘 (多摩美術大学)
 特別審査員 大森博司 (名古屋大学)
 (特別講演講師) 竹中 司 (アンズスタジオ)

<コンテストの経緯>
エントリー数は40件でした。このうち21作品の提出物を対象として一次審査を行いました。一次審査は特別審査員を含む審査員全員で行いました。ただし池田氏、久保田氏、大森氏は当日欠席だったため、事前に審査・採点をしていただきました。作品は匿名とし、評価は、課題(テーマ)に対する作品の満足度の他、創生された形態(かたち)そのものの独創性や、用いている形態創生プロセスのアイデア性などを総合的に勘案しました。
一次審査の結果、6作品を入選作,1作品を佳作としました。
入選者は、「コロキウム構造形態の解析と創生2015」会場にて公開のプレゼンテーションを行い、その後、審査委員会による二次審査を行いました。二次審査の結果、優秀作品3点を決定し、他の入選作品を含め、同コロキウムの懇親会において、審査委員長より表彰状を授与しました。

 2015年03月25日:建築雑誌2015年04月号に応募要項掲載
 2015年06月12日:応募要項に関する質疑締め切り
 2015年08月21日:応募エントリー締め切り
 2015年08月28日:作品応募締め切り
 2015年09月07日:一次審査(日本建築学会会議室にて)
 2015年09月10日:一次審査結果の通知
 2015年10月29日:コロキウム構造形態の解析と創生2015にて 二次審査および表彰

コンテストのプレゼンの様子

入選作品の模型展示と公開審査の様子

<入選作品>
最優秀作品:Soft Surface
○天野克徳(東京理科大学)、五十嵐大輝(同)、進藤英明(同)

優秀作品:開いてつなげて広がる空間
○六本木元太(明治大学)、片岡正行(同)、清水陸朗(同)、冨田弥奈美(同)
 新田和哉(同)、奈良憲行(同)、森 伸弘(同)、山名大貴(同)

優秀作品:Hexagram Surface
○志村 亮(東京理科大学)、上原龍太郎(同)、坂本 龍(同)

入選作品:Geodesic Nest
○田村尚士(ディックス)、鈴木愛実(金城学院大学)、舘 佐奈恵(同)

入選作品:仕舞われる木漏れ日
○清水優里(豊橋技術科学大学)、瀧内雄二(同)、水谷晃啓(同)

入選作品:泡の一生−envelope structure−
○中川皓旺太(東京理科大学)、有賀彩花(同)、渋谷俊一(同)

佳作作品:パーソナル・ビルドできる建築
○對馬 尚(慶応義塾大学)

□ 懇親会とコンテスト授与式

1日目の講演会終了後、懇親会が行われました。懇親会では,コンテストの最優秀作品と優秀作品等の授与式が行われました。

懇親会の様子
最優秀作品の賞状の授与
 
優秀作品の賞状の授与
優秀作品の賞状の授与

 

□ 模型展示

10周年を記念して,過去のコンテストの優秀作品,形態創生に関係する模型展示を行いました.

過去のコンテストの最優秀作品の展示
模型展示1
 
模型展示2-1
模型展示2-2
 

実施主担当者
  コロキウム実施責任者: 山本憲司(東海大学)
  コンテスト担当: 松川昌平(慶應義塾大学),朝山秀一(東京電機大学)
小野聡子(有明工業高等専門学校) ,熊谷知彦(明治大学)
酒井康史(日建設計)
  講演論文担当: 澤田樹一郎(鹿児島大学), 横須賀洋平(鹿児島大学)
山本憲司(前掲)
  広報担当: 本間俊雄(鹿児島大学)
  懇親会担当: 立道郁生(明星大学), 瀧澤重志(大阪市立大学)
陳 沛山(九州工業大学), 松尾智恵(川口衞構造設計事務所)
  会計担当:

浜田 英明(法政大学),張 景耀(名古屋市立大学)
平田裕一(三井住友建設)

  参加登録: ガン ブンダラ(日本大学)
  優秀講演担当: 高田豊文(滋賀県立大学),山川 誠(東京電機大学)
  コロキウムHP担当: 藤井大地(近畿大学)
  ポスター担当: 稲坂晃義(千葉工業大学),永井拓生(滋賀県立大学)
  模型展示担当: 永井拓生(前掲),木村俊明(佐々木睦朗構造計画研究所)
國光修五(ユニオンシステム)
  優秀講演選定委員会
委員長:
高田豊文(前掲)