2010年度第1回 鋼構造運営委員会議事録
日 時:2010年7月16日(金) 14:00−17:00
場 所: 日本建築学会 304会議室
出席者(敬称略): 緑川主査、越智、笠井、金子、兼光(藤田委員代理)、河野(守)、多賀、高松、
田上、竹内、多田、田中、成原、西山、藤澤、伏見、山田、寺田
欠席者: 井戸田、内田、小河、河野(昭彦)、桑村、吹田、田川、中込、中島、深澤
資 料:
01-01 2010年度第1回鋼構造運営委員会議事予定 (緑川)
01-02 2009年度第5回鋼構造運営委員会議事録(案) (寺田)
01-03 2010年度 第1回構造本委員会議案 (緑川)
01-05 鋼構造接合小委員会議事録案(2010年5月18日・7月9日) (田中)
01-06 鋼構造制振小委員会およびWG議事録(案) (笠井)
01-07 耐火設計小委員会報告 (河野(守))
01-08 鋼構造環境小委員会第1回議事録 (藤田)
01-11 重点審議資料:鋼構造接合部設計指針 主な改定点 (田中)
01-12 「鋼構造塑性設計指針小委員会準備会の設立について」への対応方針 (幹事団)
01-13 発行図書に対する質疑回答 (多田)
01-15 鋼構造塑性設計指針小委員会設置検討WGの提案 (高松)
01-16 直営出版物、重版判断のための情報について (事務局)
(資料01-04、01-09、01-14は欠番)
議事
1.前回議事録の確認(資料01-02、寺田)
・事前配布された議事録(案)に対する修正意見はなく、承認された。
2. 構造本委員会報告(資料01-03、緑川)
資料に基づき、構造本委員会の議事内容が報告された。主な点は下記。
・種々の研究助成や特別研究委員会(公募)については、構造本委員会として若手の方々の積極的な応募を歓迎している。
・2011年度大会は、早稲田大学(東京)、8月23日〜25日に決定した。
・2011年度大会のOS、PS、発表部門細分類・細々分類の見直し、大会PDのテーマの事務局締め切りは10月30日である。 → 次回鋼構造運営委員会の議題とする。
3.各小委員会報告等
資料に基づき各小委員会の活動が報告、審議された。
1) 接合小委員会(資料01-05)
・接合部指針の改定原稿作成作業が佳境に入っている。改定内容は、この後の重点審議の際に議論する。
・今年10月ころ鋼構造運営委員会の査読を受け、改定版の出版を来年度前半と考えている。
・出版に当たっては、「刊行企画書」等の手続きについて事務局とよく打ち合わせをすること。
・溶接接合ガイドブックを重版した。
2)
鋼構造制振小委員会(資料01-06、笠井)
・3つのWGを設けて活動している。
・鋼材ダンパーの力学モデルとして、MP(Menegotto-Pinto)モデルを用いることでダンパーの挙動に対して精度の高い評価を与えることができることが判明した。本モデルをダンパーの基本的な履歴モデルとする予定である。
・研究では高度な解析を追究することは重要であるが、実際の設計では、設計的な割切りも必要になる。建家とダンパーの力学モデルの精度のバランスなどにも留意していただきたい。
・本小委員会の当初目標は、制振構造の保有性能の評価が主である。解析法の高精度化ではないことに留意してほしい。
・鋼構造制振設計指針については、次回鋼構造運営委員会での重点審議とする。
3)耐火設計小委員会(資料01-07、河野(守))
・「鋼構造耐火設計指針」は1999年に初版が出され、2008年に最初の改定がされた。
・本小委員会は、次回改定を目標として活動を始めたところであり、次期改定に盛り込むべき内容等、議論を開始している。
・委員を公募したが応募はなかった。個別に交渉し委員を追加したいと考えている。
4)環境小委員会(資料01-08、兼光)
・6月に第1回目の小委員会を開催した。
・2008年の「建築部材のリユースに関するガイドライン」を発展させ、「建築鋼構造部材のリユースに関するガイドライン」の可能性を検討していく。
・前者は主に既存ストックのリユースを対象としていたが、後者は新規建物を対象とした新しいリユース技術を盛り込むことが大きなねらいである。
5)素材小委員会(山田)
・6月に第1回目の小委員会を開催した。
・前回の鋼構造運営委員会で出された意見などを基に活動目的、方針等の議論を始めたところである。
・鋼構造設計規準では、板の面外曲げに対する許容応力度が、長期F/1.3、短期1.5F/1.3となっている。建築確認窓口では短期Fまでしか認めないとしているため、実務面で混乱が生じている。この根拠や妥当性について、本小委員会で検討して頂きたい。
6)座屈小委員会(竹内)
・2012年度に出版予定の「座屈に関する諸問題」に向け、今年出版した座屈設計指針の積み残しに関するスタディを開始した。
・座屈に関しては、2011年度の大会PDでぜひ取り上げたいと思っている。次回運営委員会において、PD企画案を提示する。
4.2010年度大会PDについて(多田)
・プログラム、内容等確定した。
・資料印刷部数は昨年並み(昨年印刷数:420)とするので、委員各位の積極的な購入をお願いしたい。
・PD当日(9月11日)午前9時から15分間、吹田委員の学会賞受賞記念講演があるので、出席をお願いしたい。
5.重点審議:接合部設計指針の改定状況について(資料01-11、田中)
資料01-11に基づき、田中小委員会主査から主な改定点についての説明がなされ、下記の質疑、意見が出された。今後はこれらを踏まえ、接合小委員会において改定原稿を完成させ、鋼構造運営委員会の査読を受けることとなった。
なお、改定接合部設計指針の鋼構造運営委員会における査読担当として西山委員および多賀委員が決定した。
<主な意見>
・ブレース接合部のガセットプレートの面外座屈は一種の不安定問題である。接合部指針では不安定問題として扱っていないが、座屈指針ではこの問題についての記述がある。接合部指針の解説で座屈指針などを引用し、「不安定問題」であることの注意喚起をする。
・6章:ブレース接合部については、ガセットプレートの面外補剛等、座屈指針、制振設計指針との整合を図るために、座屈小委員会および制振小委員会と連携して内容を検討する。
・6章の「座屈拘束ブレースの標準的な接合部係数」が示されているが、想定している層間変形角が異なる場合には、耐震用(ブレース)と制振用でαの値を変えるべきとの考え方もある。
・資料p18の内ダイアフラムの溶接に関する記述(エレスラ溶接の際の柱スキンプレートや内ダイアフラムの板厚に対する考え方)は、JASS6などとの整合を図る。
・資料p39の例題図のガセットに取り合う鋼管柱側の補剛は必要ではないか。
・資料p8の超高力ボルトに関して、14Tであってもねじ形状がJIS形のものと形状自体を改良しているタイプの両者があり、それがわかる記述とする。
・梁端ハンチについて、米国のドックボーンの設計思想は梁断面を低減させることで梁端溶接部を降伏させないことであるが、日本では梁端に水平ハンチを設けても(梁端溶接部の応力は低減されるが)降伏を許容する場合がある。
・梁端にハンチを設けて塑性化領域を拡げることで梁の弾性限変形を大きくとれるメリットがある。梁端ハンチのメリットとしてこの点にも言及したい。
・露出柱脚の例題において、ベースプレートの許容曲げ応力は、鋼構造設計規準にならい長期F/1.3、短期1.5F/1.3として計算する。
6.鋼構造塑性設計指針小委員会準備会の立ち上げについて(資料01-12、01-15)
前回運営委員会において高松委員から表記準備会の設立が提案され、その後幹事団で対応方針を検討した(資料01-12)。その方針を受け、高松委員から対応方法が提案された(資料01-15)。
資料01-15を基に下記の議論がなされた。
・改定塑性設計指針は、“解説書”的とし、囲み付きの本文―解説とはしない。
・資料01-15の方針に基づき、設置検討WGで検討を進めることとする。
・早急に事務局(伏見さん)と相談し、WGの設置を申請する。
7.読者からの問い合わせについて(資料01-13、多田)
・読者からの質問に対する未回答案件は、できるだけ早く対応していただきたい。
・なお、資料中に「未回答」と記載された塑性設計指針への質問に対しては「回答済み」との訂正があった。
8.「鋼構造限界状態設計 設計例」の重版/改定について(資料01-16)
・事務局から資料が出された。井戸田委員に意向を確認し対応することとなった。
■次回の鋼構造運営委員会開催予定
・日時 2010年9月8日(水)15:10〜17:00
・場所 タワー111「2階会議室1」
(富山県富山市牛島新町5番5号。富山駅北口より徒歩4分)
・議題 各小委員会報告
2011年度大会PD
重点審議:制振小委員会
他
記録:寺田