2009年度第3回 鋼構造運営委員会議事録

 

 2009925日() 13001700

場 所 日本建築学会 301会議室

出席者(敬称略):   緑川主査、越智、笠井、金子、桑村、多賀、田上、田川、竹内、多田、田中、

中込、成原、西山、平島、藤澤、藤田、伏見、寺田

欠席者:                     井戸田、内田、小河、河野、吹田、高松、中島、深澤

 

資 料:

03-01 2009年度第3回鋼構造運営委員会議事予定                                                          (緑川)

03-02 2009年度第2回鋼構造運営委員会議事録(案)                                                   (寺田

03-03 2009年度 第2回構造本委員会議案                                                                    (緑川)

03-04 鋼構造接合小委員会(914日開催)議事録(案)                                         (田中)

03-05 鋼構造限界状態設計指針改定小委員会                                                                 (井戸田)

03-06 WG設置申請書(鋼構造制振小委員会 ダンパー設計WG                               (笠井)

03-07 鋼構造耐火設計小委員会(第2回準備会) 議事録                                             (平島)

03-08 2010年度大会PDについて                                                                                   (寺田)

03-09 AIJデジタルライブラリーにおける2009年度大会研究集会資料の頒布について  (永田)

03-10 小委員会設置申請書(鋼構造素材小委員会)                                                       (中込)

03-11 鋼構造接合部設計指針「3 継手」抜粋                                                             (笠井)

03-12 話題提供:高強度鋼の許容応力度について                                                          (西山)

03-13 鋼構造関連規準・指針に対する読者からの質問と回答                                         (多田)

03-14 鋼構造座屈小委員会(917日開催)議事録                                                      (竹内)

 

審議事項

1.前回議事録の確認(資料03-02、寺田)

・事前配布された議事録(案)に対する修正意見はなく、承認された。

          

2. 構造本委員会報告(資料03-03、緑川)

・資料に基づき、構造本委員会の議事が報告された。

 

3.各小委員会報告

資料に基づき各小委員会の活動が報告、審議された。

 

1)座屈小委員会(資料03-14、竹内)

11月講習会実施する。多くの方に出て頂くようお願いしたい。

・今後の活動は、4年後を目処に「(仮称)鋼構造物の座屈に関する諸問題」を出版し、会員の意見を踏まえ座屈指針の次の改定につなげる予定である。また、2011年度に座屈をテーマとした大会PDを開催し、会員の意見を求めたいと考えている。

・東京理科大の伊藤拓海先生が鋼構造部材の座屈耐力、座屈後挙動に関するデータを以前に調査している。問題ない範囲で検討結果を提供頂きたい。資料呈示を伊藤先生にご検討頂きたいと考えている(竹内)。

2)接合小委員会(資料03-04、田中)

・現在、鋼構造接合部指針第3版改定原稿執筆中。

・主な改定の一つに、梁端拡幅工法についての記述を充実させていることがある。ドックボーンも含め、梁端の溶接部の応力を低減させる工法として紹介し、設計の基本的な考えを記述している。

・梁端フランジに3角形の鋼板を溶接して梁端を拡幅する場合には、その溶接施工にも注意が必要であることも記述する。

3)各種合成構造改定小委員会

・改定版に対する鋼構造運営委員会査読が承認された。次の段階として、構造本委員会の査読となる。

・構造本委員会の査読を経て、2010年度後半の改定版の刊行および講習会を予定している。

4)限界状態設計指針改定小委員会(資料03-05、井戸田)

・改定版出版に関する今後の予定は、資料の通り(本年9月脱稿、12月頃校正、来年2月刊行)である。

5)耐火設計小委員会準備会(資料03-07、平島)

2010年度から設立される耐火設計小委員会の主査は東京理科大学の河野守先生、副主査は平島岳夫委員が担当することとなった。

・本小委員会の主な活動は、研究成果の収集とそれらの大会PDやシンポジウムなどでの公開を予定している。現在の耐火設計指針(20083月刊行)の改定は、その次の小委員会での活動とする。

5) 鋼構造制振小委員会(資料03-11、笠井)

・制振設計指針で想定しているのは通常の耐震構造よりも性能の高い建物であり、地震時の建物変形に基づく設計とすることを想定している。接合部の設計については、想定した層間変形角時の応力分布に連動させた存在応力設計とすることを狙っているので、現在の接合部設計指針とは整合しない部分がでてくる可能性がある。

・ブレースが取り付くガセットプレートの設計については、現在の接合部設計指針では地震時の柱と梁や梁の中間にブレースが取り付く場合には梁とブレースの角度変化の影響を考慮していないが、変形角が大きいときはその影響は無視できない。

・接合部設計については、接合小委員会と引き続き検討する。

 

4.2010年度大会PDについて(資料03-08)

・資料に基づき、来年度大会PD内容について議論がされた。その結果、中島委員提案の「鋼構造設計施工の高度化と合理化を促進するための『大型構造実験』の今とこれから」に決定した。内容、進め方は緑川主査と中島委員で別途検討することとなった。

 

5.2009年度大会PD資料のデジタルライブラリー登録について(資料03-09、緑川)

・パネリストからの承認を得て、3ヶ月経過後にデジタルライブラリーに登録し会員に有料で頒布することになった旨が報告された。

 

6.小委員会およびWGの今後

1)鋼構造素材小委員会設置について(資料03-10、緑川)

2010年度から「鋼構造素材小委員会」の設置を予定している。

・活動目的は、新材料も含め現在流通している鋼材の機械的性質および化学成分の実況値の調査および統計的整理をし、設計施工規準等の策定の参考とすることである、

・活動に関し、以下の議論がされた。これらの点に留意して活動を開始する。

○鋼材の機械的性質のデータは、試験方法やひずみ速度の影響などでミルメーカや研究機関で異なる可能性がある。

○降伏点については、JISでは上降伏と定義されているが、部材の全塑性耐力を求める時には下降伏(降伏棚)が意味を持つ。

○データサンプリングの偏りがないようにする。

 

2) WG主査、小委員会委員異動(資料03-06、笠井)

・鋼構造制振小委員会ダンパー設計WGの主査を、井上委員(岡山理科大)から加村委員(JFEスチール)に交替することが報告された。

・鋼構造制振小委員会およびダンパー設計WGに聲高委員(大阪工業大学)が加わることが報告された。

 

3)環境負荷低減のための鋼構造ガイドライン検討WG

WG主査の藤田委員が今回の鋼構造運営委員会から参加している。

・構造分野にも環境に関する取り組みが求められており、本WGでは以前のPD資料などを見直し、鋼構造からの環境負荷低減を考えていく。本WGの検討結果を基に次年度から鋼構造環境小委員会を立ち上げる予定である。

 

7.鋼構造運営委員会関連規準/指針に対する読者からの質問と回答(資料03-13、多田)

・本資料は、今年の4月からの質問と回答をまとめたものである。

・読者からの質問内容は、今後の指針類作成の参考にもなるので運営委員会や関連する小委員会で共有化することとしたい。質問および回答は、今後「小委員会報告」に盛り込んで運営委員会で報告することとする。

 

8.話題提供:高強度鋼の許容応力度について(資料03-12、西山)

・西山委員から表記の話題提供がされ、下記の議論がなされた。

○大臣認定鋼材のF値が鋼材の引張強さ下限値の0.7倍を超えているのは、BCR材(平成6年)、SA440(平成8年)、最近の複数の高強度鋼材がある。

○今のところ、このような高強度材料は特定のプロジェクトで時刻歴応答解析を実施して使われているが、今後一般の建物に使われるとすると、普通鋼材に比べ安全率の低下につながっていくおそれがある。

○安全率の大小は、材料の認定ではなく使われ方の問題ではないか。

F値の設定には、行政的な面と学術的な面がある。

○米国では、「鋼材の引張強さの0.7倍と降伏強さの低いほうをF値とする」との考えはなく、材料の使用方法を考慮しで安全率を設定している。

○材料のF値の設定の考え方など、今後素材小委員会でも検討して頂きたい。

 

■次回の鋼構造運営委員会開催予定

4       20091130日(月)    14:0017:00

記録:寺田