2002年度第2回 鋼構造運営委員会議事録

日時:200281()16:0018:00

出席者:伊藤、小野、岩田、上谷、大井、小川、木村、桑村、鈴木、多賀、多田、田渕、田川、中島、松尾、緑川、矢部

 

提出資料

09-01 2002年度第2回鋼構造運営委員会議事予定(小野)

09-02 2002年度第1回鋼構造運営委員会議事録案(大井)

09-03 鋼構造接合小委員会−進捗状況報告(中島)

09-04 鋼構造変形限界設計小委員会報告(桑村)

09-05 国土交通省国土技術政策総合研究所及び独立行政法人建築研究所において検討中のエネルギー法による建築物の耐震安全性検証方法の概要

 

審議事項

(1)   前回議事録(資料09-02)の確認

・前回議事録(資料09-02)を承認した。その際、前回議事録で主査に一任されていた鋼構造設計規準SI単位版の設計ボルト張力は、旧版の表を単にSI化したものに差し替えとすることとし、HPで訂正をしたことが小野主査より報告された。

 

(2)   構造本委員会報告(71日開催、緑川委員代理出席報告)

     来年度大会は95日〜7日、中部大学にて開催される予定である。

     日本建築学会における委員会のあり方についての意見が求められている。

     大臣告示としてのエネルギー法に関する意見が求められており、その締め切りは8月末である。また、各運営委員会の求めに応じて担当者が説明会を開催する。

 

(3)   小委員会報告

小委員会報告の際にはA4版一枚程度のメモを提出していただくよう主査より依頼があった。各小委員会より以下の報告がなされた。

1)      鋼構造接合小委員会(資料09-03、中島主査)

     接合部設計指針に対する要望・満足度調査を実施した。

     高力ボルト接合設計施工ガイドブックの電子化および表などのSI化をほぼ終了し、設計例のSI単位化を作業中である。

     接合部指針のアップデートについて、外ダイアフラム形式、接合部係数、柱脚についての検討と設計例の充実を審議した。

     外国関連規準等評価検討WGでは第一回としてFEMA350の検討を行った。今後は第二回を89日、第三回を1018日に行い第三回WGではテキサス大学M.D.Engelhardt教授とスタンフォード大学G.G.Deielein教授の参加を予定している。なお、本WG委員であった金子肇委員(鹿島技研)が部署移動で参画不可能となったため、日下彰宏氏(鹿島技研)へ交代させたい旨、中島小委員会主査より提案され、鋼構造運営委員会としてこれを承認した。

2)      鋼構造変形限界設計小委員会(資料09-04、桑村主査)

     平成14年度第1回(531日)、第2回(723日)委員会を開催した。

     性能設計指針をイメージしながら作業を進め、アウトプット例として資料に示す表1から表3までの性能マトリクス、評価対象(構造体だけでなく非構造部材、付帯設備、収容物を含む)、性能レベルなどを整理した。特に修復可能限界状態の定義は大切であり、兵庫県南部地震で被害を受けた建物の修復実績をベースにしてコストや技術の面で修復可能性の検討をしたい。

これに対して、以下のような意見や質問が出された。

     材料施工委員会で非構造部材耐震設計施工指針の改定版原案も出来ているが、その情報はご存知か。・・・小委員会委員のうち東大の清家先生が上記委員会に入っておられる。

     グァム地震ではスプリンクラーが変形追随できず、高価な絨毯が水浸しになり、ホテルが閉鎖となった例もある。このような場合の取り扱いはどうなるのか。・・・レベル2

     構造性能と同じように非構造部材や付帯設備などの機能性が失われること(例えば非常用扉、耐火被覆、避難路など)についての記述が十分でないと思われる。・・・一応入れているつもりであるが、設計時のときにどのようなクライテリアを与えるかが難しい。

     最終的なアウトプットとしては各レベルや対象物について具体的な制限値が与えられるのか。・・・構造性能、非構造性能はこれまでの指針類を利用するが、修復限界については今後検討が必要。

     建物ごとに要求性能は色々なので、構造性能と非構造性能とを切り離すべきではないか。まず、構造性能を与え、非構造部との取り合い部分の逃げの制限値を別に考え、その組み合わせで考えるのが良いのではないか。・・・本質的には本案と同じと考える。

     付帯設備などについてはむしろ構造の方から要求性能を示す方が良いのではないか。・・・エレベータなど業界団体が設計指針を持ち制限値を規定しているものも多い。

     非構造部材、付帯設備などは対象ごとにかなり異なると思われるが、一つ一つ変形制限値を求めるのか。・・・求める。

     同じレベルでも対象ごとに変形値はばらばらとなる可能性がある。どういうアウトプットにまとめるかが重要であり、今後も報告をしてほしい。

3)      鋼構造座屈小委員会

・前回報告のとおりである。基本方針が固まり、それに従って進めていく。

・緑川WGにおいて委員として名工大井戸田氏を追加したいという申し出があり、鋼構造運営委員会ではこれを承認した。

4)      鋼構造耐火設計小委員会

     WTCについて分析し、高温時の骨組(柱)の構造安定性を検討する。

     最近得られた耐火資料(火災性状、耐火被覆、鋼材の実験データなど)を収集整理し、予測の精度を上げていく。

     指針の内容は大部分が法令に取り込まれた。次の技術展開を模索していく(例えばレベル分け耐火設計など)。

5)      鋼構造地球環境小委員会

     大会PD資料を読み直し、一部修正した。同資料は運営委員会委員全員に配布した。今後もそのような配慮を願いたい。

     建築雑誌来年14月号の技術ノートにPDの内容をまとめて掲載する予定である。

6)      鋼構造規準改定WG(木村主査)

     前回分担に従い準備を進め、その中間報告をした。作業は順調に進行している。

     大幅な改定はしないなど基本的な方針は前回報告どおり。

上記に対して以下の議論が行われた。

     終局強度をふまえた許容応力度を定めることなどが必要ではないか。・・・それぞれで想定する限界状態が異なるので対応する安全率が異なっても仕方がないと考えており、適用するにふさわしい構造物に適用する。

     規準改定の方針や適用範囲などをまえがきに記述すべきである。

 

(4)   耐震設計告示案「エネルギー法」について

エネルギー法(資料09-05)について緑川委員より概要の説明があり、それに対して各委員より以下の意見が出された。

     この検証法の適用範囲または満たされるべき条件を明示すべきではないか。

     本来技術指針は法令化する必要はないと思うが、法令化されるものが増すと法令で記述するメニューが増えて、結果的には技術者に自由度を与えることになる。

     各検証法は正しい技術的バックグランドの下で競争下におかれるべきであり、そのためにはこの検証法が技術的に問題がないかについてもっと詳しい資料が必要である。その資料を基に学会に問い合わせるべきである。また、設計例の検証プロセスが適正に行われたかどうかが判るようにしてほしい。

     簡易法である以上技術者によっては結果的に危険側の設計となる場合もあろう。厳密解に対してどのような位置付けにあるのかなど、この検証法が基づく仮定が明確でないと、コメントのしようがない。

     具体的な検証法についてもっと明確にして欲しい

     8月末の締切りにこだわらず、説明の機会を設ける。

 

(5)   その他

・今、学会に届いている鋼構造設計規準に関する質問については主査、幹事で担当する。

(6)   次回の開催予定

     1126日(火)16:00より学会会議室にて開催

 

記録担当:松尾 彰