海外組積造耐震性検討小委員会 |
小委員会の目的 |
設置目的
近年の海外巨大地震による被害によれば、既存の組積造建造物、住宅から歴史的建造物ま
で、耐震的に脆弱な建造物の地震対策が喫緊の課題になっている。一方、新しい補強技術も
提案されてきている。海外組積造耐震化小委員会では主に途上国の組積造住宅を対象として
耐震化に資する英文技術資料を作成した。新委員会では、とくに構造補強技術に焦点をあて、
補強法及びその効果の評価法を整理し、英文技術ガイドブックを作成する。対象とする建造
物は、組積造住宅、組積造帳壁を有する建物、および、歴史的建造物である。
海外組積造の耐震問題に関する情報交換、シンポジウム等公開活動を継続する。海外にお
いて組積造建造物が被災した地震が発生し、本会の災害調査が行われる場合は、その調査を
支援する。
委員会の位置付け
本会構造委員会では、唯一、海外を主対象とした小委員会であり、国際的にも日本の耐震
技術に対する期待が大きいなかで、学会としての国際協力活動、あるいは国際的に発信する
活動を行う。海外では大地震のたびに組積造建造物が被害を受け、人的な損失を被っている。
既存組積造建造物の地震対策は喫緊の課題である。本会大会では、当該研究分野の発表数の
増加が顕著であり、計画分野でも取上げられている。会員の関心も高まっている。日本にお
いても、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震で、既存の組積造建造物が被災した。
本小委員会の活動成果は、日本の既存組積造建造物の耐震性向上にも役立つと期待される。
活動計画
初年度: 補強技術に関する文献調査に基づいて、既存建造物の補強技術と評価指標に関する
データベースを作成する。対象建造物は、住宅、組積造帳壁を有する建物、歴史的
組積造建造物である。国内外の新しい耐震補強技術の実例および研究報告に関する
文献調査を行う。また、途上国のみならずイタリア等の先進国まで、近年の海外巨
大地震による組積造建造物の被害をレビューし、補強技術に関する新たな知見・情
報を整理する。
2年度: 既存建造物の補強技術と評価指標に関するデータベースを完成させる。評価指標に
関しては、耐震診断法に関するWGで主に検討し、従来の強度型とともに変形を考慮
した評価法とクライテリアを整理する。
3年度: 初年度、2年度の成果をふまえて、英文ガイドブックの編集を行う。
4年度: 既存組積造建造物の耐震補強法に関する英文ガイドブックを編集し、査読を経て公
表する。大会等でPDを開催して、技術資料として刊行する。英文ガイドブックは、
例えば、ICOMOS国際学術委員会で示し、国際的に公表する機会をもつ。さらに、国
内向けに日本語版を作成し、刊行物を出版する。
4年間を通じて、海外で組積造建造物の被害地震が発生した場合、災害委員会を支
援する活動を行うとともに、国際的な技術協力を支援する。
期待される成果と公表方法
途上国組積造住宅、組積造帳壁を有する建造物、歴史的組積建造物に対して適用し得る耐震
補強技術に関する英文ガイドブックを作成する。この英文ガイドブックには、実例集も付録と
して加え、実用的にも活用できるようにする。また、ガイドブックには、WGで検討する耐震診
断法も加える。
英文ガイドブックは、本会による海外の地震災害調査時などで技術支援として配布する。ま
た、海外から日本の技術に対する問い合わせにも対応する。
英文ガイドブックは、日本語版も作成し、学会の刊行本として出版する。
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日本建築学会>常置研究委員会組織>壁式構造運営委員会
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