設置目的
近年、水害・土砂災害・火山噴火等による複合的災害が多発しており、従来の土木分野でのハード対策
や警戒避難体制などのソフト対策だけでは対応が困難となっている。建築分野でも従来の耐震・耐火と
並行し、耐水・耐土砂・耐火山噴火を対象として、住宅から重要施設(庁舎・病院・避難所等)などで、
事前の被害低減対策から事後の速やかな復旧を可能とするための調査研究の推進が緊急の課題である。
このため構造・環境工学・建築計画の3委員会による合同小委員会を設置し、マルチハザードに
対応可能な耐複合災害建築に関する成果を取りまとめ、シンポジウム・報告書の刊行等による成果の
普及活動を行う。
沿革
震災や水害・土砂災害・火山噴火等の複合災害に関して、建築・まちづくり的な対策に関する日本建築学会
ではこれまで特別研究委員会やシンポジウムなどで調査研究活動を行い、成果や提言の公表を行っており、
成果を公表している。例えば、
・「火山災害対策特別調査委員会」活動報告書(2018.3)(link)
・「気候災害特別調査委員会報告書:激甚化する気候災害への建築分野の取組むべき課題(2020.3)」(link)
・提言「激甚化する水害への建築分野の取組むべき課題―戸建て住宅を中心としてー (2020.6)」(link)
・シンポジウム「東日本大震災 10 周年を機に頻発する複合災害を考える(2020.3)」(link)
などである。
しかしながら、これらの活動は期間限定であり、分野を横断する包括的な活動を継続的に行う必要性を
認識した。そこで、まず2021年に構造・環境工学・建築計画の3委員会による特別研究委員会「マルチハ
ザードに対応可能な耐複合災害建築」を単年度で実施し、2022年度からは学会初となる3委員会による
合同小委員会「マルチハザードに対応可能な耐複合災害建築」として活動を開始した。
主な活動内容
小委員会では、シンポジウム等の啓発活動を目的とする「耐複合災害建築普及 WG」と刊行物等発行の
企画を目標とする「水害対策・復旧対応検討 WG」の二つのWGを設置し、構造・環境工学・建築計画分野に
加えて、都市計画や農村計画、材料施工、さらには土木工学など様々な分野を専門とする研究者・実務者に
よる活動を行っている。
これまでの主な活動として以下の成果をあげている。
・第16回日本地震工学シンポジウムのOSの企画運営
水害・土砂・活断層
・日本建築学会大会・新部門「99.耐複合災害」の設置・運営(2024〜)
OS「複合災害に備えた建築・まちの分野横断による取り組み(2025年度実施予定)」
・シンポジウムの主催
シンポジウム「建築の新常識:水害と対策の最前線(2024.12)」(link)
・建築雑誌など各種メディアでの広報活動
マルチハザード対策の視点から見た取り組み、特集 マルチハザードリスクがもたらす建築・都市の
姿・座談会2(建築雑誌、2024.5)(link)
その他、本小委員会と連携している活動
日本建築学会と土木学会は2021年11月11日、協力に関する覚書(MOU)を締結し、両学会の合同委員会として
「土木・建築タスクフォース」を設置した。タスクフォースでは6つのWGを設置しており、本小委員会は
「災害連携WG」と連携して活動を実施している。特に災害連携WGでは水害・土砂災害時の調査活動を両学会で
連携して行うため「災害時における建造物等の被害調査活動に関する協力協定(2012.12)」を締結した。この
活動を推進するため、日本建築学会・災害委員会に「水害・土砂災害等による建築物等の被災調査マニュアル
検討WG(2022.4〜)」を設置し、調査マニュアルの整備や土木学会との連携体制の検討を本小委員会と連携
しながら推進している。
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