2011年度 第2回 農村計画(拡大)本委員会 議事録案

 

日時:2011513日(金) 13:0017:00

場所:建築会館 会議室

出席者:三橋委員長、岩田、大和田、大内、岡田、神吉、後藤(隆)、坂本、重村、壽崎、菅原、高橋、柳田、山崎(義)、北澤(文責)各委員、井原、佐藤(栄)、三笠(オブザーバー)

 

1.前回本委員会(419日)議事録(案)の確認

   2011年度第1回本委員会の議事録(案)を確認した。

  韓国農村建築学会からの募金について

  韓国農村建築学会より、災害復興の募金(180万ウォン)の使用用途について農村計画本委員会に一任する旨の連絡があり、本委員会幹事により使用について検討することとした。

  2011年度大会研究懇談会(主催:集落居住小委員会)について

  主題解説について富田宏氏(株・漁村計画)より承諾をいただいた。

  今村文彦教授(東北大)からは多忙につき断りの連絡があり、沼野委員を介し適任者の紹介を受け、現在先方からの連絡待ち。

  主題解説前に現地へ調査に入っている委員(若手)からの現状報告の場を設けることも検討する。

  復旧・復興支援部会での検討報告について(佐藤)

  復旧・復興支援部会から、「東日本大震災復興調査報告書T」の作成にあたる情報提供の依頼があり(執筆依頼の可能性もあり)、これを承諾することとする。

  ただし、報告書の目次構成について、農漁村地域における集落被害の状況が把握できない、原発問題が含まれていない、など東日本大震災の被害状況を十分記述することができない部分があり、この点について農村計画委員会での協議結果として部会に報告することとする。

  農村計画学会との調整については、災害調査の分野や調査地に係る線引きなどの仕分けを特に行わず、共に連携し他分野からの情報共有など協力を行うこととする。

  情報共有のためのプラットホームについて

  各委員により実施している現地調査、今後現地調査の実施にあたり、現地調査(誰が、どこの地域に入っているか、現地の概況など)を共有する情報プラットホームの必要性が提言された。

  この提言を受け、復旧・復興支援部会に参加する後藤(隆)委員、佐藤委員により情報整理表などを作成し、農村計画委員会HPにて運営することを検討することとした。

  東北地方の大学の研究者にも広く情報提供を依頼し、集約した情報は復旧・復興支援部会などにも情報提供していく。

 

2.東日本大震災関連

(1)被災集落の復興に向けた提言について

  復興提言について

提言は、関係省庁などの依頼により作成するものではなく、学会が自主的に関係省庁等に対して行うものであることについて、学会事務局小野寺氏より説明を受ける。

  とりまとめの考え方

 提言・今後の取組みについて各委員より以下の意見が出された。

調査の考え方として、@統計処理のためのデータ整理、地域情報整理、A被災典型例の集中的な調査(現地調査)、B広域計画の視点(沿岸部バックアップ拠点など)、に基づき計画への提言として整理すべき。

集落単位での被災状況を整理すべきである。

都市計画分野との棲み分けもあるが、区域として拡大する都市計画区域にも農村計画が対象とすべき集落が存在するため、都市計画区域内も対象とすべき。

 

 以上の内容を踏まえ、今回の委員会においてWS(ブレインストーミング)を実施し、提言内容の骨子を検討することとする。

 WSの結果は次ページに示し、結果を踏まえ幹事により提言内容をとりまとめることとする。

 

3.その他

  各小委員会の研究活動について

(1)   農山漁村文化景観小委員会

書籍の執筆を進行中、近日中に委員会者読者(三橋委員長、中島委員)に査読を依頼する予定。

(2)   集落居住小委員会

  学会事務局より幹事を指名して欲しい旨の打診があり、本委員会にて山崎(義)委員を推薦することについて本人を含めて承諾を得た。

(3)   国土計画小委員会

  2011年度大会期間中にワークショップを開催する予定であったが、研究発表への影響を考慮し、期間前後の日程で再調整することとした。

  復興助成への応募について

  三井物産の環境基金による復興助成の実施について情報提供され、集落復興再生小委員会、国土計画小委員会などにより応募の検討を行うこととなった。

以上


復興提言W.S 一次整理

 

T.安全と共生(全体的理念)

 1-1.やりすぎない、急ぎすぎない

 【緊急】

    集落の現状に応じて、それぞれの復興像は決して急いで描かない。じっくり考える(複数の考えを議論する)。(1-1-1

    安全と共生(環境、社会)(1-1-3

    伝統技術と近代技術を検討する(学会に対しての提言)(1-1-4

 【復興・長期】

    安全の名の下で過剰な復興事業は避ける(1-1-2

 1-2.エネルギー

 【復興・長期】

    新しい一次産業+二次産業+三次産業によるエコ地域の創造(1-2-1

    コージェネ電源の設置(1-2-2

    自然エネルギー、再生エネルギー拠点を福島浜通りに建設(1-2-3

 

U.防災・現在

2-1.ハザードマップ

【予防】

    ハザードマップ再点検(2-1-12-1-2

2-2.避難施設

 【予防】

    避難施設と避難路の再点検(2-2-1

    緊急避難時における若者・若年層の役割(2-2-2

【復興・長期】

    避難ミニケーブルカー(みかん山モノレール、長崎やニュージーランドのミニケーブル)(2-2-3

    避難ピラミッド(2-2-4

 2-3.避難計画

  【予防】

    道路が寸断されることを前提とした避難所、備蓄庫の設定(2-3-1

    避難経路の再点検(2-3-4

    集落類型に応じた復興防災まちづくりメニュー(地形、規模、生業による制約とポテンシャルの把握評価)(2-3-5

    災害履歴を記入し、一時避難場所を浸水区域より高台に置くなど避難行動に結びつくハザードマップとする(2-3-6

    とにかく逃げる訓練(2-3-7

【緊急】

    安全・安心の立地、施設の適正配置(GIS利用)(2-3-2

    避難行動の調査、神社や寺院、漁村集落の空間構造とその関係の実態把握(2-3-3

 2-4.情報共有・伝達

【予防】

    津波情報伝達の重層化(2-4-1

    災害警報の方法の再検討(時間、方法、)(2-4-2

    緊急時に救助できる人が、救助が必要な人(高齢者、病人など)の場に行けるような情報共有の仕組み(2-4-3

    居住地に関わる災害についての伝承・情報をできる限り集めること(2-4-5

    災害教育・訓練(2-4-7

    災害文化伝承・訓練(アート、TV)(2-4-8

    今日の復旧・復興過程での計画策定の記録(データ化、アーカイブ)(明治、昭和、三陸津波、チリ津波の記録)→予防教育啓発普及(2-4-9

    被災を調査分析し、住民のレベルで理解できる記録をつくる(各集落、地区ごと)(2-4-10

 【緊急】

    災害時連絡網の再検討、再構築(孤立集落、島嶼部)(2-4-4

 【復興・長期】

    広域ネットワークの構築(施設、漁村施設通信ネットワーク)(2-5-6) 

 

V.生活再建

 3-1.住宅

 【緊急】

    農山漁村における仮設住宅は住宅機能だけではなく、暮らしと生業が継承できることが必要(都市部の仮設とは異なる)(3-1-1

    中期的な多拠点居住の支援(情報と交通)(3-1-4

 【復興・長期】

    住宅建設への公的資金融資の拡大(3-1-2

    公的住宅供給の拡大(3-1-3

3-2.生活

【緊急】

    二次避難先のネットワーク構築と可動(宿泊施設、公営、民間賃貸住宅等)(3-2-4

    生活再生のための重点投資(公的資金)(3-2-5

【復興・長期】

    従前地での生活再建(3-2-1

    事業用施設の利子補給制度(3-2-2

    生活の持続、地域の持続のための仕掛けづくり(3-2-3

    生活再建、住宅再建、コミュニティ維持継承(3-2-6

 3-3.医療

【予防】

    高齢者、障害者の住宅、生活圏の確保(3-3-3

 【緊急】

    高齢者、障害者の住居、必要な福祉ケアなどの確保(3-3-1

    緊急医療システム構築(特に、ドクターヘリの適正配置)(3-3-2

 【復興・長期】

    高齢者世帯の協同居住の仕組み(3-3-4

 

 3-4.避難所・仮設

 【予防】

    仮設住宅における集住のためのポイントの農村計画的な視点からの提言(3-4-4

 【緊急】

    地場産材による仮設住宅建設(気仙大工)(3-4-1

    避難所、仮設住宅生活コミュニティの形成(3-4-2

    仮設の一時的な生活(購買)施設、教育、保健・医療施設の確保(3-4-3

    仮住まいなどの避難の圏域的行動の把握(3-4-5

 

W.産業の持続性

 4-1.漁業

 【緊急】

    公的資金、補助事業による生産施設の復旧(漁業、農業、町工場、商業)(4-1-3

    生業拠点の優先復旧(宮城大・竹内先生→番屋の事例)(4-1-4

    地域産業の持続(4-1-6

【復興・長期】

    資源管理型漁業(広域の協同的運営、管理の構築)(4-1-5) 

【予防】

    漁業権の秩序(経営主体、運営主体の「漁協」の統合化)(4-1-1

    緊急時の仮設漁港となるような災害に強い漁港の設定、建設(船があれば生活できる?再建の足がかりとなる?)(4-1-2

 4-2.農業

 【緊急】

    海水除去や撤退農家へ各地の減反枠(八郎潟など)農地の利用支援(4-2-1

    家畜の避難先ネットワークの検討(4-2-2

 【復興・長期】

    全国・国内規模で農林水産物を確かに消費する。輸出はしばらく苦しいのでは。ただし汚染測定は正直に(4-2-3

    復興と地域経済と地域社会の再生とを連動させる(4-2-4) 

 

X.復興単位

 5-1.集落単位

 【予防】

    生活単位(集落、農村、漁村)での防災・緊急生活の訓練(5-1-1

    市町村ごとに組織化、予算化された集落自主防災組織の点検(5-1-2

    旧村などの自立単位を評価するべき(災害でなくとも合併後、準孤立現象は様々なところで発生している)(5-1-3

    歴史的地域(生産・生活)コミュニティの再構築(5-1-4

 【緊急】

    集落レベルでの社会組織(自治会、漁協など)の健全性の把握と支援(5-1-6

 【復興・長期】

    山間部の孤立危険集落支援体制(5-1-5

 5-2.広域的支援

 【予防】

    姉妹集落(有事の際の支援連携ネットワークをつくる)(5-2-4

 【緊急】

    広域的な復興地域協定が必要(法律が必要か?)(5-2-1

    広域応援体制(関係)をつくる(ex.宮城・石川・熊本、石巻・長岡・四日市)(5-2-2

    住民、居住者が悲嘆にくれている段階のままで復興計画をつくらないこと(5-2-3

    ボランティアシステム(人・モノ・場など)の構築、可動(ライフラインのみならず医療・保健・介護なども即時性を)(5-2-6

 【復興・長期】

    “市町村−市町村”“集落−町内会(都市部)・社会グループ”対応協力スタイル(5-2-5

 

Y.復興体制

 6-1.行政

 【予防】

    地域のリスクマネージャーとなる行政職員を育てること(6-1-4

 【緊急】

    小さい役場の職員さんが大勢の被害を受けた地域では、役場の復興は一つの課題ではと思う(6-1-3

 【復興・長期】

    行政機能への支援、特に首長の政策決定への支援(福島原発への対応)(6-1-1

    仮設機能(仮設住宅、仮設漁港など)への行政の柔軟な対応(6-1-2

 6-2.住民主体

 【復興・長期】

    人々の心をひとつにまとめる仕掛け(6-2-1

    復興計画に地元住民の意向を十分に反映(6-2-2

 6-3.避難先の再組織

 【緊急】

    避難先での集団組織化(福島原発被災者)※自治体の枠組み維持(6-3-1

 【復興・長期】

    津波危険地域内の建築物の建材の検討(海洋汚染、漁業被害軽減)(6-3-2

6-4.復興計画

 【予防】

    被災区域からの集団移転。移転先は生業の復興を視野に入れた地域に複数の集落をまとめることを考える。(6-4-1

 【復興・長期】

    今後、90年(21世紀以内)は通用するインフラストラクチャー(6-4-2

    “被災に強い”から“被災と向き合う”地域づくり→その事によってソフトが活きてくるのでは(6-4-3

 

Z.空間ビジョン

 7-1.高所居住

 【緊急】

    津波被災エリアの建築制限(7-1-1

 【復興・長期】

    高所居住でも非環境破壊(小規模高所居住ネットワーク)(7-1-2

    高所移転、農地つき住宅(7-1-3

 7-2.防潮堤・他

 【緊急】

    防災施設(防波堤、防潮堤など)の復旧、ただし整備水準の問題あり(7-2-4

    漁港内施設の提案(コミュニティ施設を含む、特に給氷施設)(7-2-5

    道路(幹線)の緊急避難地としての活用、今後の整備検討(仙台東部道路、鹿島台町)(7-2-6

    米国FARMAの原子力災害緊急マニュアルに相当する住民用手引きを作成し公開すること(7-2-7

 【復興・長期】

    防潮堤スタイルの再検討(7-2-1

    地盤のよいところにRC一律型での防潮堤の造成(7-2-2

    防波堤・防潮堤・防潮林などを組み合わせたハードの防波対策(7-2-3

 7-3.インフラ整備

 【復興・長期】

    都市化を前提としたインフラ整備ではなく、豊かな農山漁村再生のためのインフラ整備の検討(広域)(7-3-1

 7-4.空間構造

【緊急】

    集落の断面の採集(7-4-2

    被害状況(特に津波)の差異、要因分析(7-4-3

 【復興・長期】

    自然海岸の津波被害なし→津波エネルギーに逆らわない空港構造の考え方(7-4-1

 7-5.土地利用

 【予防】

    津波ハザードマップと土地利用計画との整合(7-5-8

 【緊急】

    被災地域(住宅地)の公共用地としての徴用も必要(7-5-5

 【復興・長期】

    復興のコンセプトが必要(被災地を利用したグリーンコモンズの創生など)(7-5-1

    土地利用再検討、自然立地適地利用へ(7-5-2

    接道条件などの柔軟な対応(7-5-3

    仙台平野平地農地の一部湿原化(ラムサール条約)、一部盛土による高度農地化、塚状避難他(7-5-4

    現地復興か、移転地復興か(7-5-7

    塚(高台)造成→仙台湾沿岸平地農村(7-5-9

    漁港施設の人口地盤(7-5-10

 7-6.景観/記憶

 【緊急】

    地域の文化財、住民の記憶や思い出につながる物件を残すこと(7-6-3

    今回の被災の記録となる物件を後世に残すこと(7-6-8

 【復興・長期】

    集落、居住地の歴史性の継承(7-6-1

    集落景観の再生ビジョン(7-6-2

    山・海・郷土文化ネットワーク(7-6-4

    地形と土地利用の履歴をどこかの段階で必ず確認する(継承と反省の積み重ねが自ら景観にあると思う)(7-6-5

    できる限り場所の記憶を残すこと(7-6-6

    移転地での区画整理事業と被災住宅地とのリンクが必要(7-6-7

    50年たったら文化遺産となる計画をつくる(7-6-9

7-7地域コア・広域コア

 【復興・長期】

    日常圏、岬尾根のコア拠点(7-7-1

    集落全戸が流されたケースと集落の半分以上が高台で被害なしの復興の相違(7-7-2

    広域生活圏(河口市街地、内陸支援地域、内陸小市街の分散ネットワーク)(7-7-3

    中核市街地、小集落、後背集落のネットワークの見直しと再構築(小集団連携と広域連携)(7-7-4

    豪雪山村センターのような生活拠点施設の設置(7-7-5

 

[.原発問題

    情報の公開性(8-1-1

    疎開集落(外部拠点)(8-1-2

    エコエネルギー拠点(8-1-3

    帰村還住(8-1-4

 

以上