農村計画委員長便り7 041211 (文責・伊藤庸一)
目次
1.新潟県中越地震に対する日本建築学会の対応
2.能力開発支援に関する内部監査の指摘事項に対する各委員会の報告
3.電子会議システムの導入
4.05年度国際交流振興基金の申請・・・アジア農村フォーラムで検討をお願いしたい
5.大会代理講演の禁止
6.大会口頭発表にPCプロジェクター備え付け
7.近畿大会・オーガナイズドセッション募集「むらづくりワークショップ」
8.近畿大会・ポスターセッション募集
9.05年度特別研究委員会
10.04年度委員会活動報告→ 各小委員会・研究会の活動報告をお願いしたい
11.第3回農村計画本委員会・・・ (研究集会企画提出〆12/24)
12.冬季研究会: 新潟県中越地震緊急報告− 農山村の自然災害に農村計画は何をなすべきか
13.公開研究会「東アジアの集住文化にみる共生のしくみ空間概念とその構成」
● 今後のスケジュール
12月24日(金) 大会研究集会企画締め切り
1月7日(金) 学術推進委員会・研究集会企画承認
1月8日(土) 農村計画第回本委員会・冬季学術研究会
2月28日(月) オーガナイズドセッション梗概原稿締め切り
3月3日(木) 3月学術研究会?
3月17-18日 小委員会の活動を集約し、全代議員120名に報告
4月8日(金)学術推進委員会
4月11日(月) 紙面投稿締め切り・(OS完成原稿も同じ)
4月17日(日) 電子投稿締め切り・(OS完成原稿も同じ)
5月11日(水)プログラム編成会議
6月? 日 春季学術研究会
9月1-3日 日本建築学会大会(近畿大学)
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1 新潟県中越地震に対する日本建築学会の対応
12月7日の学術推進委員会で、災害委員会からの報告をもとに議論が交わされた。
たとえば、学校の体育館が避難所として利用されることが一般化しており、避難所としての
居住性をあらかじめ考える必要がある、山間部での高齢者の避難のためには小規模でも比
較的身近な避難所が有効である、災害時でも稼働できる旧式なライフラインの有効性を検
証する必要があるなどの意見が出された。そして、新潟県中越地震に対応する特別委員会
の設置を検討することになった。
2 能力開発支援に関する内部監査の指摘事項に対する各委員会の報告
日本建築学会は生涯にわたる能力開発とキャリア形成を支援するため、CPD (Continuing
Professional Development) を進めている。これは、建築士会・建築家協会・建築構造技術者
協会・建築設備技術者協会等の職能資格者団体が独自の認定資格制度や継続能力開発制度
を相次いでスタートさせており、本会では会員をはじめとして会員以外の設計者・技術者
をも対象に能力開発を支援することを目指し、本会に蓄積される最先端の学術的・技術的
知見を豊富な能力開発コンテンツとして提供し能力開発を支援するとともに、その履修記
録や業務実績などのキャリアを登録し認定資格の取得や維持更新に活用していただくこと
が狙いである。(詳しくは、学会ホームページ、パンフ参照。)登録メンバーはコンテンツの
受講に際しメンバー料金の優遇措置がある。
この能力開発支援制度のためにどのような取り組みをしているか、どのようなコンテンツを
用意しているか、とくにITを利用したコンテンツは何かなどについて、12月7日
の学術推進委員会で各委員会の取り組みについての報告が求められた。
農村計画委員会での能力開発支援の強化、コンテンツの充実、ITの活用について、
委員の方々の意見をお聞きし、以下( 抜粋) のようにまとめ報告した。構造系のように各種
講習会を開いている他の委員会の報告を聞くとまだまだ不十分のようだ。都市計画委のま
ちづくり支援建築会議などを目標に、行政職の職能向上を図るむらづくり支援のセミナー
などの企画も検討する必要がありそうだ。
・・・・・・・・・・能力開発支援制度に対する農村計画委員会の取り組み 041115
● 刊行物発行の強化
集住小委員会・仮称「集住の知恵」刊行予定
ラーバン小委員会・執筆中
農村システム小委員会および環境教育研究会で刊行を企画中
図説・フィールドノートやむらづくりワークショップなどの出版化の検討をすすめる
●IT の活用・強化
すでに農村計画ホームページを開設し、農村計画ネットを使った情報提供を行ってきて
いるのでさらに充実を図る(IT で能力開発支援のできるコンテンツの検討が必要)
● 美しい農村アーカイブの作成・ネット上への公開
「日本の美しい農村」電子アーカイブの作成をすすめる
● 公開研究会の推進
公開研究会の充実、とくに地方会員に成果を還元できるよう、積極的に地方会場開催を
企画する
● 若手研究者能力開発支援の取り組み
若手研究者のための能力開発支援を試みる。今年度より大会講演のうち優れた若手の講
演を一押し講演として農村計画ホームページ上で顕彰することを試行、学位論文等の発表
交換会を企画する
● 日韓農村研究会の取り組み
日韓農村計画研究会の充実と、中国、さらにはアジアまで広げた農村計画研究会の検討
●農山漁村集落における自然災害復旧支援計画の取り組み
農山漁村集落における自然災害復旧支援計画に関する調査研究を踏まえた能力開発支援
コンテンツの検討、1月に中越地震緊急報告と農村計画が取り組む課題について公開研究会を予定
3 電子会議システムの導入
これまで、支部長会議、情報システム技術委などが試行し、好評との報告があった。農
村計画委ではまだ試行していないので、小委員会で希望があれば、学会まで。
4 05年度国際交流振興基金の申請
国際間の研究交流、研究成果の交換などの事業を援助する狙いで、05年度の予算総額
は60万円である。申請は、05年3月末、または05年9月末。
・・・・・日韓農村研究会に活用できそう。アジア農村フォーラムワーキングでご検討をお願いしたい。
5 大会代理講演の禁止
04年度大会では発表者が欠席し代理講演をすることがあったが、学術推進委員会で検討した結果、
絶対に認めるべきではないとの結論に達した。応募規定に注意を記し、会場にも代理講演禁止の
掲示をすることになった。司会者の方々、くれぐれもご注意を。
6 大会口頭発表にPCプロジェクター備え付け
近畿大学はPCプロジェクターの設置が進んでいることから、05年以後、大会会場に
PCプロジェクターを設置していくことになった。従来通りのOHPも併用する。パソコンの
切り替えなど、これからなお検討をすすめるそうだが、万が一のことを考えて発表者は
OHPシートも準備した方がいいとの意見が多かった。
7 近畿大会・オーガナイズドセッション募集「むらづくりワークショップ」
05年度近畿大会・農村計画では「むらづくり計画策定やむらづくり推進で、ワークショップが
大きな力を発揮している。2003年度北海道大会でもワークショップを用いたむらづくりの多様な
展開が報告され、活発な議論で盛り上がった。いまや、全国津々浦々のむらづくりで、
意識調査、聞き取り調査、環境点検マップなどと並んで、ワークショップはむらづくり必須ツールと
して活用されている。市町村合併が進むなか新たなまちづくりやむらづくりで、あるいは、
新潟県中越地震をはじめとする頻発する自然災害への対策や復旧・復興などにおいても、
ワークショップはさらに多用されていくと考えられる。そこで、これまで実践されたむらづくり
ワークショップを検証し、課題と限界を見極めたうえで、ワークショップの有効性と可能性に
ついて議論を深めたい。住民参加、パートナーシップが広まり、ワークショップがますます
重要視されているので、初学者にとっても絶好の学習の場になると確信する。
先達の投稿を数多く期待したい」で、オーガナイズドセッションの原稿を募集する。
オーガナイズドセッションの梗概原稿は2ページ、締め切りは2月28日、概要審査で
採択されると、4ページの完成原稿を紙面投稿・4月11日、電子投稿・4月17日〆で提出する。
活溌な投稿、議論を期待したい。
8 近畿大会・ポスターセッション募集
05年度近畿大会・農村計画では「集住文化、環境学習、むらづくり・まちづくりワークショップ、
グリーンツーリズム、海外事例研究、その他ヴィジュアルな表現」のポスターを募集する。
発表時間は一般の梗概発表より長くすることができる。また、ポスターをホームページ
に掲載をしていきたい、と考えている。
9 05年度特別研究委員会
11月15日〆で申請のあった05年度特別研究は6件で、うち4件が採用された。農村計画
委員会が母体の提案は「木造廃校舎を含む学校施設の利活用」と「農山漁村集落におけ
る自然災害復旧支援計画に関する研究」の2件である。いずれも05年4月〜 07年3月の2 ヶ年。
両研究とも、組織や具体的な活動の検討を進めているので、自薦・他薦をお願いしたい。
●木造廃校舎を含む学校施設の利活用
目的は「過去10年で2000校の小中高等学校が廃校になっている。廃校後の活用状況を
みると既存建物を利用した活用は6 割で、4 割が取り壊しあるいは未活用のままである。
その中で木造校舎は使用可能な状況にもかかわらず耐震性の不備や補強・補修費用の面で
有効活用されていない場合が多い。また、活用されている施設でも利用状況をみると年間
利用者数が1000人以下のものが6 割を占め、今後の維持管理が課題である。特に、小学校は
徒歩圏で利用可能な位置に立地しているため地域の拠点施設としての整備や地域の活性化に
つながるような事業への展開が望まれる。そこで、主として木造小学校の廃校舎について
その有効活用を探るとともに耐震性の評価方法と耐震補強を提案し、廃校舎を含む学校施設を
地域の貴重な資源として有効に活用できるよう働きかけたい」で、西日本工大・岡田先生が
中心となって委員会を組織し、活動を展開する。
●農山漁村集落における自然災害復旧支援計画に関する研究
目的は観測史上初の10もの台風上陸に続き、観測史上初の震度7 による新潟県
中越地震により多くの被災を生じた。農山村に点在する小規模集落では、交通網、情報網の寸断、
電気、水、ガスのライフラインの断絶により救援が遅れるなど、防災はもちろん、避難計画、
災害復旧支援のあり方の再検討が新たな課題として提示された。
そこで本研究では、日本の国土の8 割を担う農山漁村集落が、いつでも起こり得る災害に対し、
安全、安心な暮らしを獲得できる防災・避難・復旧支援の方策について検討し、提言としてまとめる
ことを目的とする」で、伊藤を中心に組織の検討をすすめている。
1月8日の冬季研究会・新潟県中越地震緊急報告「農山村災害に農村計画は何をなすべきか」
での議論を踏まえて、組織や05年度の活動を検討し、05年度近畿大会・PDにつなぎたいと考えている。
10 04年度委員会活動報告→ 各小委員会・研究会の活動報告をお願いしたい
05年3月18日の通常総会にあわせ、代議員に各常置委員会、特別研究委員会の活動報告を行う。
農村計画委( 6小委員会、1研究会、4ワーキング) は17日に、活動成果を20分で報告することになった。
そこで、3月上旬までに、各小委員会、研究会の主査は活動成果を伊藤宛に送って頂きたい。
なるべく具体的に、できれば上述の能力開発支援との関係なども含めてまとめて頂けると、助かる。
念のため、昨年度の活動報告会のコメント抜粋を以下に再録する。
●委員長便り2 040512・・・03年度委員会活動報告会(12月10日・1月21日)
における
代議員コメント抜粋: 農村計画に関連するコメント抜粋:
A 氏:「・・・委員会の統廃合をすすめるべき・・委員会等に優先順位をつけて重点的に予算配分・・・
本の出版やシンポジウムの開催だけではなく社会に対して積極的にかかわっていくべき」
B 氏:「都市生活者にとっての農村認識という感覚が強い、活動を農山村・漁村一般に周知させる
ためには用語の平易化が必要」
C 氏:「関係省庁への情報提供が必要・・現況調査の色彩が強い、」「なぜ農村だけが特殊なのか、広い
目では都市計画の一分野とも感じられるし、部外者には存在感が希薄な委員会に感じられる」
D 氏:「美田等の言葉に代表されるようにかつては日本の農村には自然と人工のあいだの中自然とも
いうべき領域をうまくコントロールして美しい風景をつくりだす技があったように思う。
日本のオリジナリティともいうべき技が忘れ去られたかのような感があります。こういった伝統的
手法を現代社会の中で復活、普遍化できないのかといった研究成果もでることを期待します」
E 氏:「建築計画委員会との関係を見直すことは難しいのでしょうか」
F 氏:「エコミュージアムというキーワードがあったが、日本では環境省系の補助事業とリンクしたので
自然科学系の話になっているが、エコミュージアムの生まれた欧米では文化的側面、建築的側面、
景観的側面が強調されている。農村の景観の美しさ、そこでの暮らしと生業との関連性なども
エコミュージアムを定着させるために重要である。そういうことに対して農村計画には強くコミット
していただきたい。また文化庁から文化的景観という新しい概念が提唱されているが、これも農林
水産業が作りだす景観を対象にしていて、伝統的建造物群と確実に住み分けがある。建築系で
ないとアプローチできないが、伝建とは違う分野の人たちがやっていく必要がある。
農村景観の面から農村計画委員会に強く関与していただきたい」
11 第3回農村計画本委員会・・・(研究集会企画提出12/24〆)
日時:2005年1月8日(土) 10:30〜13:00
場所: 建築会館・304会議室
議題: 学術推進委員会報告(ほとんどが委員長便りに収録されているので簡潔に報告)
2005年度大会について(研究集会企画: 協議会+PD )
小委員会04年度活動報告・05年度活動計画
今後の活動(3月研究会、主査幹事会、春季学術研究会ほか)
次年度予算: 農村計画部門は05年度1,269,000円(04 年度より97000円減)
委員候補: プログラム編成会議委員
広報委員の推薦依頼(大会梗概の農村計画の傾向をまとめる)
05年学会賞選考委員会委員(論文部会)
05年奨励賞選考委員会委員
論文集委員会委員
論文集委員会査読委員
技術報告集委員会委員
技術報告集委員会査読委員
そのほか
旅費: 予算の関係上、希望の方全員に支給できないので、12月16日(木) までに学会
事務局にいただいた回答をもとに、配分を考えたい。
●近畿大会・研究集会の企画は12月24日〆である。農村計画では、協議会(集住小委が企画中)
のほかに、PDで「山村型自然災害復旧の知恵? ? 」を考えている。
ヒント、助言、提案を12月20日までに伊藤宛itoitoyo@hotmail.comにお願いしたい。
12 冬季研究会 新潟県中越地震緊急報告
−農山村の自然災害に農村計画は何をなすべきか
日時: 2005年1月8日(土)14:00 〜17:00
場所: 建築会館・304会議室
趣旨: 新潟県中越で震度7 の大地震がおき、農山村に点在する小規模集落は交通網、通信網、
電気、ガス、水などのライフラインが寸断し、孤立集落が発生するなど、広範囲で大きな被害
が発生した。地震に先立つ台風の大雨で地盤がゆるんでおり、被災をさらに大きくした。
中越あたりの山間は数メートルの雪が積もる豪雪地帯で、雪への備えもままならない状況が
続いている。農山村の過疎化、高齢化は顕著であり、自然災害による農山村集落の被害は
今後、ますます増大すると考えられる。そこで、新潟県中越地震の緊急報告をお願いし、
そのうえで、農山村型自然災害に対し農村計画は何をするべきか、農村計画が取り組むべき
課題は何かについて議論を深めたい。
司会: 黒野弘靖( 新潟大学)
☆セッション1 :新潟県中越地震緊急報告
・「十日町を事例に」 浦上健司(日本大学)
・「川西町を事例に」 内田文雄(山口大学)
・コメント 前田真子(奈良女子大学)
☆セッション2 :ワークショップ・農山村の自然災害に農村計画が取り組む課題
・課題別ワークショップ
・全体討論
●ここでの議論を踏まえ、上述の「農山漁村集落における自然災害復旧支援計画に関する
研究」の組織や具体的な活動を草案し、4月からの活動、近畿大会のPDにつなげたいと考えている。
活溌な議論をお願いしたい。ただし、定員は30人である。
13 公開研究会「東アジアの集住文化にみる共生のしくみ空間概念とその構成」
主催:農村計画委員会集住文化小委員会
日時:2005年2月25日(金)14:00〜17:00
会場: 建築会館会議室
内容: 話題提供
・中国・三江・トン族集落の空間構成と共生のあり方 岡田知子(西日本工大)
・韓国・農村集落の空間構成と風水 渋谷鎮明(中部大)
・各地の空間概念とその構成に関する調査報告 伊藤庸一(日本工大)
他
定員: 40名(先着順)
参加費: 会員1000円 登録メンバー1300円 学生500円 会員外1500円
(以上)