3つの主体



  1. 岡山を舞台に古民家再生を創造的に実践している楢村徹氏

     楢村氏は、今年度建築学会賞(業績)を授賞した古民家再生工房のお一人である。古民家再生というと倉敷の美観地区をイメージするが、実は農村部の民家の再生からスタートしたものである。さらに彼らの民家再生は文化財的保存ではなく、文化継承的創造のように思える。ここでは伝統的民家の再生と活用についてその体験に基づく問題提起を期待している。

     『古民家再生術』(古民家再生工房、住まいの図書館出版局)


  2. 徳島の民家・集落・民俗的文化財の発見的調査、活用を実践している阿波のまちなみ研究会の久米将夫氏

     久米将夫氏の所属する阿波のまちなみ研究会は、徳島の漁村集落や伝統的な町並みを調査し、その価値を発見・評価し、さらにその保全・活用を実践している。ここでは、ムラの民俗資源・地域施設である「阿波の農村舞台」を発見し、評価し、活用し、さらに地域の活性化へとつなげていったプロセスとその主体形成について解説していただく予定である。

     『阿波の農村舞台』 (阿波のまちなみ研究会


  3. 地元・広島県沼隈町の民家を大切にする会の倉田久士氏

     広島県沼隅町は約5千戸の町で、人口は微増、戦前からの居住者とその後の転入者の人口比率は半々、農業者は約1割で第三次産業が主という「ふつうのマチ」である。しかしこの町には、築100年以上の民家が100軒を超えて存在し、「ふつうの家」として機能している。これまで気づかなかった価値ある民家を「生活を創り出していくための家」にしたいという人々が「沼隅の民家を大切にする会」をつくり、「百年民家を更に100年使用し続けたい」という願いのもとに活動を開始している。文化財ではなく生活文化継承の拠点として、また、先祖の創ってきた家を現代とともに生きる家にしたいと、民家の再生と活用に知恵をしぼりだした「ふつうのマチ」の取り組みを倉田久士氏からご紹介いただく。

     


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