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                         1997年7月

                          社団法人日本建築学会


1.建築と地球環境


 近年、地球の温暖化やオゾン層の破壊、廃棄物汚染等の、地球規模での環境悪化が指摘されている。もとより建築は、人間生活の場を形成する基本的要素であり、地域の歴史や文化の形成に深く係わるとともに、古くからより快適で安全な生活をめざした環境づくりに大きな役割を果たしてきた。しかしながら、地球上での人間生活の場、すなわち人類生活圏が拡大し、経済活動が活発となった今、我々の狭い視点からの身近な環境改善行為が、逆に地球規模での環境悪化に加担していることがわかってきた。ここに至って我々は、人類生活圏という視点に立って、あらためて建築と地球環境との関係を双方向的に見直す必要を迫られている。


2.本学会の取り組み


 本学会では、地球環境への負荷増大の責任の一端が、建築や都市を作りまた使う側にもあることを認識し、1990年より2期にわたり、建築と地球規模の環境保全に関する特別研究を実施してきた。さらに1995年からは地球環境委員会を設置し、学術・技術・芸術の面からより幅広くまた深い研究を行うべく活動を開始している。これらの研究成果を踏まえ、本学会は、地球環境を保全しつつ持続可能な人類生活圏の発展を図るために、別項に示す項目を学会として取り組むべき重点課題として集約し、それぞれの活動方針を示して学会の行動計画を設定することとした。


3.行動計画の展開


 本学会としては、これらの課題に対し、それぞれの活動方針の下に、基礎研究的な取り組みを行うと同時に、随時その成果を社会に還元する活動を展開する。なお、この活動の実施状況は随時確認していくとともに、定期的見直しを行い、本学会全体の活動方針に反映させ、行動計画を次世代へと展開させてゆく必要がある。


4.会員各自の自覚と行動


 本学会の会員は、各自の専門知識が地球環境問題の解決に寄与しうるものであることを自覚し、各自の活動の場において、これら課題の解決に尽力するとともに、地球環境に関する諸活動に積極的に参加することが望まれる。


[活 動 方 針]


(1)ライフスタイル


地球環境問題が人類のあらゆる営為の結果として生起したものである以上、これまでの建築学が建築を中心とした生活のあり方を追求してきた学問体系から、より広く経済、倫理に係わる価値の見直しを行い、新しいパラダイムの構築を目指し、単に建築に係わる生産・消費形態にとどまらない地球環境時代のライフスタイルの提案と普及を図る。


(2)環境負荷分析評価


 建築のライフサイクル、すなわち建築の計画・設計・施工・運用・改修・解体除却に至る一連のシステムを対象として、地球温暖化の重大な原因とされるCO2をはじめとしたさまざまな環境負荷を扱う総合的な評価手法とデータベースの研究・開発を行い、地球環境への負荷軽減のための提案を行う。


(3)資源利用


 従来、建築生産が自然資源を大量に使用することから、資源枯渇を抑制するために建築の長寿命化と耐久性向上、地域特性を生かした建築資材の適切な使用、資源の消費削減と再利用、ならびに建設廃棄物の発生抑制を図るための材料開発、構造計画、構法デザインなどについての研究、提案を行う。


(4)エネルギー利用


 建築の運用段階でのエネルギーや水の消費が地球環境への多大の負荷となっていることから、エネルギーや水の使用量の削減、利用効率の向上、ならびに再利用について一層の研究を進め、自然エネルギーの利用などの自然環境と共生するデザイン手法を探究し、計画から実施に移す。


(5)土地利用


 従来、経済効率を中心とした開発行為が往々にして、生態系の破壊をもたらした反省に立って、地球生態系の保持に考慮を払いながら、優れた土地利用とデザインを通して、すべての人々に良好な居住環境を提供し、災害に対して安全でかつアメニティ豊かな建築・地域を創造する、新しい研究・デザイン活動を行う。


(6)健  康


 環境に対する事前評価の不十分な計画が、環境汚染や環境変化を招来してきた経験から、環境保全、居住環境のあり方を研究し、人間の健康や地球の生態系を守るため、水・大気・土壌等の汚染による環境劣化の抑制を図ることのできる、建築・地域の計画、デザインの提案、普及を図る。


(7)国際協力


 地球環境問題はまさに地球規模の人類の営為に関わり、世界的視野での連係が不可欠であるところから、諸外国や諸団体との情報交換を通じて経験と成果の相互活用を図るとともに、国際協力を一層推進する。

■ 日本建築学会地球環境行動計画