日本建築学会 サスティナブルエリアデザインとコミュニティアーキテクトの形成・育成に関する研究

サスティナブルエリアデザイン×コミュニティアーキテクト

〜地域固有の空間形成、まちづくりの仕組み・手法とその担い手像〜

 

 コンテンツ

■新着情報

1.日本のサスティナブルエリアデザインとコミュニティアーキテクト提起報告書(2009年8月)(30MB)

2.応募提案報告集 私の考える日本のサスティナブルエリアデザインとコミュニティアーキテクト−地域固有の空間形成、まちづくりの仕組み・手法とその担い手像−(2009年11月)(36MB)

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SADとCA特別研究シンポジウム
 地域主権・地域再生とコミュニティアーキテクト


本特別研究委員会は地域に継承されてきた固有の空間遺産、空間システムを尊重した地域コミュニティ再生の方法と担い手のあり方を目指して、公開検討会、報告公募、意向調査、地域フォーラム、開催してきた。昨年大会には「地域主権の計画体制と担い手」をサブテーマに研究協議会を開催し、途中経過報告をもとにその全体的な指標を提出し、制度の提案も含めて報告書をとりまとめることになった。その成果報告会である。
主 催:サスティナブル・エリアデザインとコミュニティ・アーキテクト特別研究委員会
共 催:まちづくり支援建築会議
日 時:2011年6月4日(土) 13:30〜17:00
会 場:建築会館会議室(東京都港区芝5-26-20)
趣旨説明:宇杉和夫
司会 山ア寿一・中島直人
記録 北野幸樹・土田 寛
<基調報告>
21世紀型都市計画の担い手 小林英嗣(北海道大学)(コメント代読)
21世紀型建築計画の担い手 布野修司(滋賀県立大学)
職能としてのCA像を展望する 藤本昌也(現代計画研究所)
<地域からの発言>
(東北エリア)SADとCAのネットワーク 風見正三(宮城大学)
(千葉エリア)まちづくりNPO共有のプラットホーム 太田安則(佐藤総合計画)
(滋賀エリア)地域学習と建築教育 鵜飼 修(滋賀県立大学)
(埼玉エリア)空間資産継承の担い手と建築業 時田芳文(時田工務店)
参加費:(資料代含)
会員3,000円、会員以外4,000円、学生2,000円
定 員:50名
申込方法:参加希望者はE-mailで「SAD&CAシンポジウム」と表記のうえ、参加者氏名、所属、連絡先(TELおよびE-mailアドレス)、記入し、下記まで申し込みください。
申込み・問合せ:事務局研究事業G 浜田 hamada@aij.or.jp
以上

東日本大震災復興の価値観の構築共有:
地域主権の復興・支援、国民的合意
地域コミュニティ持続再生・東北の原風景持続再生    

2011年4月11日
サスティナブルエリアデザイン(SAD)とコミュニティアーキテクト(CA)
特別研究委員会
委員長 宇杉和夫

今回の大震災復興は戦災復興以来の事業と説かれる。関東大震災と太平洋戦災は国土を荒廃した。しかしその復興の価値観は明確であった。今、最大の自然災害被災に面してその復興の価値観が明確でない。20世紀の関東大震災復興において近代科学合理主義居住が国土に広まった。21世紀の今日、環境の世紀の大災害復興は新たな環境観による日本再生への選択となる。太平洋戦災で科学兵器・原子力放射能被災を人類で初めて体験し、自由と平等、人間本位経済主義が広まった。しかしこの人類最初の体験、慰霊への誓いが風化され生かされていない。今回の復興は明治維新以来以上の復興問題ととらえる必要がある。明治には江戸土地利用の6割を占める武家屋敷が壊され、全国の社寺も分離されて、西欧新制度が導入されたがその復興の目的はやはり明確であった。
今回の大震災はこれらの復興の価値観を単純に事例として応用できない。むしろこれらを批評し、新しい復興の価値観の合意が必要になっている。日本の持続的コミュニティと原風景再生が震災復興において可能になるには、国主導が求められているが、第1には地域主体の計画体制・生活体制の再構築が欠かせない。地域発意による立案体制構築に対する多面的な計画支援システムの整備、その国民国家的支援が重要である。そして広域圏の再構築・首都機能分散(大阪・東北2副首都)等の国土全体像の展開も検討対象になるだろう。
ある被災者の言葉である。「私たちは海に裏切られたけど、またいつか、海の見える町に帰ってきたい」この被災者を本当に裏切ったのは何か。「理想的都市復興で経済活性化案」の「防災・環境・エネルギー・生活」が安易である。私たちは苦しいけれども日本近代の反省と展望という産みの苦しみを避けることはできない。地域主権の地域まちづくり再生の担い手は、子供たちの持続循環環境形成への「希望」は、復興の新価値観形成にある。


1.東北の原風景再生:海山・集落町祭祀、裏山鎮守路地参道、原景観と原眺望、観光
2.公環境保全運動:放射能廃絶、ゼロエミッション、環境ボランティア、緑ツーリズム
3.新公・共秩序:復興法秩序、税財政新秩序、地域主権・地域支援政策、コモンズ再生
4.持続コミュニティ:新共住区旧居住区再編、防潮住棟、路地広場参道境内、支援機構
5.広域コミュニティ支援機構構築:地球・アジアコミュニティ、国・地域コミュニティ
6.地域産業再生支援:地域環境再生特区、需要コミュニティ連携、コミュニティ事業化
7.地域主権・自治支援:行政自治と別に復興計画自治構築、住民CA提案、地域相互支援
8.広域持続環境圏:環境景観持続産業広域圏構築、アジア型自然風土持続国際支援交流
9.環境首都(副首都)の検討:首都大災害の対応、環境首都(宮都)モデル、広域圏総合
10.地域主権SAD支援:空間景観活用、持続コミュニティ再生、情報支援、制度支援
11.地域固有のまちづくり支援:固有資産持続の権利義務、コモンズ共有形成システム
12.CA形成支援:担い手の制度・人・職能・資金・方法・情報支援、支援機構創設

被災地サスティナブルコミュニティデザイン支援と
地域主権の計画枠組み

―地域まちづくり・地域建築形成の担い手:形成の期待―

2011年3月29日
サスティナブルエリアデザインとコミュニティアーキテクト特別研究委員会
委員長 宇杉和夫

昨日の28日に本特別研究の千葉地域フォーラム第2回が開催された。ここに本特別研究のあらゆる検討事項・提起事項が災害被災における地域コミュニティの持続継承問題に関連していることが確認された。現在は18世紀以来の資源消費生産消費1システムの世界化の時代からそれ以前の多様なシステム再評価も必要な時代に至っている。生活と環境の持続再生に重要なものについての地域における再確認、すなわち、生産消費経済システムに対応しない生活空間の中の重要なしくみを持続保全する理念と社会システムの再構築が早急な課題である。地域支援システムと地域連帯システムによる地域自立システム(地域が自立するには地域支援・地域連帯が不可欠である)。これらの地域サスティナブルコミュニティデザインのしくみの基本構造が、被災時に顕在化する。
地域行政システムと市民参加システムに加え、NPO活動・ボランティア活動が広まり、新たな地域主権の空間計画枠組み再構築の時代に至っているとの認識で本特別研究は出発した。新たな地域の専門的知識・技術を習得した担い手の創出が必要であるという提起である。地域主権の計画枠組み形成とは、自治体孤立行政体制から地域マネジメント複合的諸参加連携体制実施となる。この時第1に重要なのが価値と目標の地域共有化である。基盤は防災とあわせて地域に継承されてきた空間・景観システムと場所の意味・記憶である。  
地域主権は地域孤立の視点ではなく、単なる支援・参加・連帯でも目的に達しない。災害業務・日常業務とは別に復興業務に立ち向かう専門的知力の集合化が必要である。地域まちづくり、地域建築形成の支援システム構築、担い手形成、制度が必要となっている。地域主権とはこれらを地域固有の遺産継承活用を基本に可動させるシステムの構築である。

  1.自然災害:地震・津波に自然への畏敬、コミュニティ祭祀との対応も含めて対処
  2.環境(人工)災害:火災はゼロ出発であるが、放射能は地球と人類への絶対的負荷責任
  3.近代批評:近代システムの限界性、次世代に継承する計画論、地球環境災害の回避
  4.世界と地域認識と個人:多様な地域と地域認識、共有する地域認識・世界認識と個人
  5.日本のコミュニティ:国コミュニティと地域コミュニティ、地球・自然崇拝継承
  6.地域コミュニティ:地域固有のコミュニティ、地域共有のコミュニティの持続継承
  7.地域産業再生:地域産業と需要者(国民)の信頼連携システム、コミュニティ事業化
  8.地域支援システム:地域内地域・地域外地域と各地域相互支援交流システムの日常化
  9.地域連帯システム:隣接地域連帯・遠隔地域連帯・世界地域間連帯の国システム
 10.地域固有の空間システム:地域環境の固有遺産持続継承の権利と義務:地域主権
 11.地域まちづくり(士):地域固有資産の発掘活用、地域再生まちづくり自主実践調整
 12.地域建築形成(士):地域に継承された建築遺産を基本に固有の地域共空間形成提案

東北関東大震災被災地域における
サスティナブルコミュニティデザイン支援について

2011年3月20日

サスティナブルエリアデザインとコミュニティアーキテクト特別研究委員会
委員長 宇杉和夫

 現在、日本国は東北地域から北関東地域において歴史的な大地震・大津波被害を被災しています。現在被災されている方々とそのご関連される方々ならびに救援支援されている全ての皆様に対して、深くお見舞いを申し上げるとともに、その支援について、地域コミュニティ空間持続継承の技術的立場からの協力に努めさせていただきます。
「サスティナブルエリアデザインSAD」とは持続環境を基本とする「サスティナブルコミュニティデザインSCD」をめざした地域空間デザイン形成を意味します。「コミュニティアーキテクトCA」とは「サスティナブルコミュニティデザイン」形成を実現するための計画システムならびにその体制・担い手をさしています。
現在、地域コミュニティの持続継承および再生の問題は、被災地域に限られた深刻な問題としてだけでなく、その周辺支援地域のコミュニティ活動の重要な課題としても浮上しています。本特別研究委員会は、現在の被災地域の皆様の生命維持を最重要視した局面の中で、コミュニティ持続の課題と地域再生の課題にむけて、何が必要で何ができるかという計画的支援の枠組みと併せての方法論の構築を重視し、同時にこの問題を21世紀における今後の日本の地域コミュニティ環境持続における大きな課題であるとしてとらえます。この課題にたいして、本特別研究の目的と成果を生かし、被災地域が地域主権のサスティナブルコミュニティデザインを具体的に実現していく支援をしていきたいと考えます。
本課題については本特別研究に加えるとともに、継続研究「地域主権の空間形成体制とその担い手(SADとCA)研究」として継続的に支援していきたいと考えます。その課題を以下に列記し、SADとCAの課題として検討し、できるものを実践する必要を考えます。

  1. 被災支援計画フレームの情報プラットホーム構築の必要性
  2. 被災・防災アーカイブの情報プラットホーム構築の必要性
  3. 現在の被災者救済支援の最重要課題と課題優先度の把握
  4. 支援地域・支援機構・ボランティア等の支援フレームの把握
  5. 被災救済支援フレームにおける問題の抽出ならびに提案
  6. 災害構造・被災構造の地域的把握・総合的把握、ならびにその短期的・長期的対処
  7. 被災地域の持続的環境構造、地域継承空間システムの把握、その活用の提案
  8. 被災地域コミュニティの構造的把握とその持続継承力、持続継承目標の把握
  9. 被災原子力発電所の今後の方向と地域コミュニティ再生における課題
  10. 地域主権の被災地SCD再建再生計画フレームとその方法、提案と整理
  11. 地域主権のSCD、SAD・CAと地域防災計画およびその担い手
  12. 地域主権の空間計画体制とその担い手の提案

 

「東北の原風景の再生―まち・むら・もりとコミュニティ―」の提案

2011年3月25日

サスティナブルエリアデザインとコミュニティアーキテクト特別研究委員会
委員長 宇杉和夫

日本列島の原郷としての東北。東北の原風景、森風景があぶない、日本の海辺景観が壊れてきている。地域固有の森風景・海辺風景、その持続的コミュニティの危機は東北にも押し寄せてきていた。この地域景観・地域継承空間システム継承、コミュニティ持続継承の問題を地域主権の計画枠組みの中でどう再建できるかは本特別研究の主目的であるが、一昨年の仙台地域フォーラムにおいて、東北の持続的コミュニティ空間・持続コミュニティ景観の問題が強く確認されていた。
現在、今回の大震災大津波災害によってその現実は数十倍を超える、途方にくれるその事実に直面しているが、その基本的な課題はすでに以前からかかえてきた課題でもあった。
東北は日本の原郷、自然観の原風景をこれからも継承していけるか。自然は、特に海は東北地方東海岸を中心にこれまで日本のコミュニティに長く大きな恩恵をもたらし続けてきた。しかし今回は想像をはるかに超える自然の猛威を日本人と世界にみせつけている。自然への感謝と畏敬の意識を、我々のコミュニティは表現してきたであろうか。
近代以後、現代社会はこの自然への感謝・畏敬の意識を忘れ、経済的つながりが主になって進められてきたことが今回の社会的状況のなかでも見えてきているが、ここで、このコミュニティ連帯の基本的な問題が、日本という地域はもちろん、アジアという地域で、また世界と地球環境の立場で再考される歴史的な時期となっている。
ここに「東北の原風景の再生―まち・むら・もりとコミュニティ―」を、日本という地域コミュニティ再生の課題の中に位置づけて、関東も含めた周辺地域をも対象とし、地域再生・生活再建の枠組み、共生・支援の枠組みを検討する時期にきている。
1.景観と眺望:海の景観・山(森)の景観の日常化、庭から境内から公共空間からの眺望
2.地形崇拝継承:奥山・谷津・湾と浜・潟と岬の継承再生、自然祭祀空間・祭りの継承
3.森と居住空間:山・森と結びついた持続居住空間、鎮守の森の参道、ウチガミサマ
4.まちと居住空間:地域固有の資産、トオリとむら路地・まち路地再生のデザイン
5.持続コミュニティ:ムラ・マチ・ハマの地域継承コミュニティの持続的再編成
6.環境学習地域ミュージアム:地域環境学習、エコミュージアム創生活動と観光化
7.地域計画体制:地域建築形成と地域まちづくり、地域主権の空間計画体制の構築
8.地域産業再生再編成:林業・農業・漁業・商業・工業・観光・サービル業他の混成
9.防災・地域福祉:地域外も含めたソーシャルネットワークの再編成・日常化
10.地域コモンズの再生:地域共空間・地域コモンズの継承・再生・創生
11.地域生命インフラ:エネルギー・情報・物資・医療・福祉・ボランティアシステム
12.周辺地域連帯支援システム:仮設被災コミュニティと支援コミュニティの共生

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