近い将来、日本の都市では高齢化と人口減少が進み、空き宅地増加などによる居住環境の
悪化が懸念される。今後の住まい方やコミュニティ意識あるいは土地所有観の変化を予測
し、緑地(農地)のあり方なども含めて、より良い居住環境実現のための土地再編モデル
を構築する。
現実的に土地の再編が課題となっている東日本大震災被災地復興のありかたも視野にいれ、
今後の都市空間の縮小、集約のために必要となる土地再編のマネージメント方法を中心に
検討し、実施可能かつ包括的な都市再編スキームを構築する。
2013年4月~2015年3月
委員長 大野秀敏
幹 事 藤井俊二 饗庭 伸 松宮綾子 和田夏子
委 員 秋田典子 姥浦道生 岡部明子 栗原 徹 國分昭子 斉藤広子
田島則行 田島 泰 出口 敦 中川 雅之 羽藤英二 原 耕造 福川裕一
藤本秀一 三浦 展 山口 崇
建築学会大会(神戸)で研究協議会を開催しました。 タイトル「人口減少の時代に向けた都市の再編モデルの構築」
プログラム
司会:藤井俊二(大成建設)、秋田典子(千葉大学)、記録:國分昭子(IKDS)
趣旨説明 大野秀敏(東京大学):
居住者の手でマチを運営・管理する
「CMA(Community Management Association)」を提案したい
主題解説 饗庭 伸(首都大学東京):
山形県鶴岡市のケーススタディーを報告。
コミュニティーに共有される目標は多様だ、資産価値維持CMA、公共施設共有CMA、テーマ型集住CMAなど様々なタイプが考えられる
主題解説 和田夏子(東京大学):
新潟県長岡市のケーススタディーを紹介。
多島型でインフラ維持費削減できそうだ、人口流入型CMA、資産価値維持CMA、住環境向上CMAなどがありえる、
セーフティーネットとしての巡回型公共サービスも検討したい
主題解説 出口 敦(東京大学):
千葉県柏市のケーススタディーを報告。
駅圏の充実が有効そうだ、団地・分譲地ごとのCMAが形成しやすい、
地域高齢者ビレッジのようなタイプも可能、周辺の緑地の充実も工夫したい
主題解説 松宮綾子(東京大学):
千葉県習志野市のケーススタディーを報告。
学区単位で全域をCMA区割りすることを考えた、CMAごとにサービス水準を選択する、
コーディネーターが大切だろう、CMAには地域雇用の創出の可能性もある
関係各分野の専門家からのコメント:
三浦 展氏(カルチャースタディーズ研究所):
空家はポジティブにとらえて活用をはかるべきだ、都市縮小への民間企業のかかわり方も大切だ
竹内直文氏(民間都市開発機構):
コンパクトシティー化にはゴールがない、国は誘導策を準備するが、地域で個々に考えるしかない
中川雅之氏(日本大学):
エリアマネージメントは自治体よりも小さい単位が良い、コーディネータとしての産業の育成が必要だ
委員、都市専門家からのコメント:
瀬戸口氏(北海道大学):
モデル構築から実行に移すべき段階に来ている、フレキシブルなプロセスの設計が必要だ
星氏(工学院大学):
エリア分けよりも公的施設の運営などサービス毎に運用するのがよいのではないか
岡田氏(習志野市):
公的施設のマネージメントは地域に任せる方向だ、しかしいざ統廃合となると反対運動もあり難しい課題でもある
斉藤広子氏(明海大学):
公共、民間、コミュニティに加えてコーディネーター/プロデューサーという第四の柱が重要
田島則行氏(千葉工業大学):
個々のエリアの特性に合わせた街づくりは行政では難しい、コミュニティー主体の方式が適している
姥浦道生氏(東北大学):
CMAもコンパクトシティー化の一環ととらえられる、行政の網から漏れるところをCMAが取り組む
岡部明子氏(千葉大学):
いま求められるのは上手に人口減少させること、それに対応したインセンティブが必要だ
まとめ
:藤井俊二(大成建設)
コンパクトシティー 対 CMAは一連の補完的なプロセスととらえられる。
政府が誘導策を準備し、市民の自発的な動きで街が変わり、実績を政府が追認してサポートする
会場風景
議論の促進をねらって席の配置を英国国会型の3方タイプにに並べ替えてみた