RILEM ニュース RILEM TC CUA の概要 材料施工委員会 RILEM小委員会 背景と活動目的  ある種の工業副産物は経済性やエコロジーの点から世界的にその使用が増えており、そのいくつかはコンクリートの混和材料(以後、混和材)として使用できる。これら混和材をセメント系成分として使用する技術的な規定は、関連規格で詳しく規定されている。 しかし混和材とセメントとの等価性に関してはあまり研究されておらず、また混和材を含むコンクリートの耐久性や製造に関する規定もあまりない。当TC CUA(Concrete:Use of Additions[混和材料の使用])では、混和材のあるなしで等価挙動を調べるのではなく、コンクリート中のセメント系成分間の等価性を混和材効果係数とも言えるもので評価する。 混和材使用効果の評価に関する最近の研究からK-値の概念が注目されている。 K-値はフライアッシュ等のすべての混和材に適用され得るものである。ある材令でのK-値は混和材自身の特性、セメントの種類、セメント水比、混和材セメント比、骨材などにより影響される。これらを考慮し、またK-値は強度試験の精度に大きく影響されることから、システマチックなアプローチが肝要である。  当TCの報告書ではCEMTセメントとCEMTセメントに混和材を混和したコンクリートについて、等価性をタイプA型とタイプB型の二つに分けて検討し、確立することを目指す。 前者は水セメント比や等価セメント量の計算で混和材を考慮にいれてK-値を求め、後者はCEMT+混和材の組合せが、UやVなど他のタイプのCEMセメントと等価になる可能性でK-値を検討するものである。 CEMTに混和材を混和したコンクリートの製造ではその固有の管理規定が必要。例えば初期の製造では、十分な数のK-値のデータが必要であり、個々のコンクリートの圧縮強度値をfckに関して二つの判断基準で評価する必要があることなどである。 以上をまとめるとTC-CUAの目的は、RILEM推奨仕様を開発し、それにより、 ・圧縮強度試験に基づくK-値を実験的により精度よく決めることを可能ならしめる ・この結果をコンクリートの耐久性影響因子(最大水セメント比、最小セメント量)の証明 ・コンクリート、特に混和材含有の場合、製造管理 に使えることである。 活動計画 ・TC-CUAの研究期間は4年と見積もっている。 初年度:K値を実験的に決定する既存の規定類を集めて評価する 2年度:混和材の等価混和量を確立するため、技術的規定を集め評価する 3年度:コンクリート製造管理でK-値の使用に関する既存の規定類調査 4年度:「混和材の効果を考慮した規定」の報告書 ・作業ステップとして ステップ1 既存の規定類の調査 ステップ2 既存の規定類の評価 ステップ3 既存の規定類を改良する提案 ステップ4 RILEM推奨仕様としての合意と、できればラウンドロビンテストとの関連付け ステップ5 TC報告書の作成とワークショップ ・関連する国際会議 CEN / TC 104のWG4、WG9ならびにSC1がある。 委員 委員長:J.A.Lechuga 事務局:S.P.Perxas 予定されるメンバーは15カ国以上から参加 S. Alegre , C. Andrade (Spain) , P. Bartos (UK) , A.Bentur (Israel) , W. vom Berg (Germany) , J.M. Bijen (The Netherlands) , J.M. Catarino (Portugal) , M. Collepardi (Italy) , M. Delort (France) , J.M. Galligo (Spain) , T. Hagberg (Norway) , P. Helene (Brazil) , D. Higgins (UK) , J. Koning (Germany) , T. Naik (USA) , D. Ho (Singapore) , P. Luxan (Spain) , J.D. Matthews , J. Papayanni (Greece) , H.W. Reinhardt (Germany) , L.K.A. Sear (UK) , A. Skarendahl (Sweden) , S. Shah (USA) , L.Taerwe (Belgium) 予想される成果および今後の展望など ・混和材の使用に関するRILEM推奨仕様報告書、もしできれば当TC-CUAによりなされたラウンドロビンテスト試験結果の発表と報告書の発行。 ・TCにより認められたRILEM推奨仕様は、コンクリートや混和材の仕様決定者 (Specifiers)、生産者、ならびに使用者に関心を持たれるであろう。 ・推奨仕様は、混和材含有コンクリートの耐久性影響因子(最大水セメント比、最小セメント量)の立証や、そのコンクリートの製造管理に混和材効果係数の考え(K値)を適用した規定や試験方法を開発にも役立つ。 雨谷俊彦/笹野台テクノ