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Vol.56 - 2016/10/07
《from 福井支所》 特集:2016年度 日本建築学会北陸支部総会・大会 
研究協議会「熊本地震の被害報告・意見交換」 


冨樫豊(災害連絡部会長)


1.はじめに 
 災害連絡部会では、北陸管内を対象とした災害情報連絡を本務としながらも北陸管内にこだわることなく学会活動の一環として役割を果たすべきとして、4月14日(16日)に発生した熊本地震について、北陸支部大会実行委員会ならびに支部執行委員会・研究委員会の協力を得て標記の研究協議会を開催することができた。
 当日は、4名の方の話題提供に続いて、会場の皆さま方とともに熊本地震について大いに論じあった。以下に報告する。
・日時 7月24日(日)12:30-13:00
・場所 支部大会会場(福井大学)講義室2ー112M室
・参加者 80人(終了時)

2.話題提供(発表、敬称略)
(1)地震動特性:村田晶(金沢大学理工研究域環境デザイン学系):
 最大速度200cm/sを超える揺れであったこと、木造住宅のような構造物に厳しい振動数特性であったことの説明があった。
(2)液状化災害:吉田雅穂(福井工業高等専門学校環境都市工学科):
 熊本平野における液状化被害について、地形学や地盤工学の観点から被害様相について検討結果が述べられた。
(3)ドローンを使った被害調査:宮島昌克(金沢大学理工研究域環境デザイン学系):
立ち入り禁止区域の調査や被害の分布状況を知る上でドローンによる調査が効果的であったということで、熊本城,阿蘇神社などのドローンによる被害映像が紹介された。
(4)建築物被害と設計:池本敏和(金沢大学理工研究域環境デザイン学系):
 主に益城町の建築構造物被害について被害様相を述べられ、あわせて設計における地域別補正係数をなくし、より正確に地震力を評価すべしと、力説された。

3.討議(意見交換含)
 討議では、フロアーからは「建築物被害はほとんど地盤変状によるものであるが、地盤特性をもっと建築設計に考慮できないものか」といった質問や、「今回は2回の地震があったとしているが、3.11の地震でも複数断層の崩壊による地震動が大被害をもたらしたことを考えれば、今回も連続した複数断層という捉え方にして対応すべき」といったコメントなどが寄せられた。残念なことに討議時間が十分取れなかったが、それでも会場は大いに沸いた。

4.おわりに
 支部大会において、短い時間ながらもかかる企画で熱い議論ができたことが何よりの成果と考えている。ここに参加の皆様方ならびに関係各位に感謝申し上げる。







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