第2回 環境心理尺度ファイルWG 議事録
                      (文責:若林)

日時 :2001.07.27(金)18:30〜22:00頃
場所 :東京大学工学部1号館 環境系ゼミ室
出席者:小島隆矢,宗方淳,高橋正樹,室恵子,若林直子(順不同)
    古賀誉章(オブザーバーとして出席)   


1.環境心理尺度の品質とは? (小島)

 社会心理学では信頼性・妥当性に関するこだわりが強く、以前は「クロンバッハの
α係数」、最近は共分散構造分析のGFIという適合度指標が信仰される傾向がある。
環境心理では信頼性等には寛容だが、評価構造(ex.階層構造)、測定法(ex.ワー
ディングに命をかける)、提示法などに対する独自のこだわりがある。以下、主に階
層構造に関する現状等を概観。
 ・モノの評価には潜在因子モデルになじまない部分もある。
    →グラフィカルモデリング、連鎖独立グラフ
 ・階層構造モデルの理想型
    ・下位項目、上位項目、総合評価の3段階が多い
    ・モデル上、上位項目間に線はない
    ・下位項目から総合評価へのパスはない
 ・評価実施時の留意点
    ・上位項目は下位項目の総合得点でよしとするのではなく、
     それ自体を設問として聞くメリットはある。
 ・満足度、重要度など
    ・POEM-H:重要だとする人の方が満足度の分散が大きい。
    ・地域不満度:両者の分散に一定の関係がない。
    ・執務環境:満たされないと困る場合に重要度の評定が大。


2.「地域環境」に関する考え方案 (若林)

 「地域環境」という括りには、景観、防災、交通、水辺、環境保全、まちづくり等
さまざまな「分野」が含まれるので、尺度を考えるにあたって範囲が広い。しかし分
野が違っても、フェイスシートなどのベーシックなレベルでは共通の設問群を設定す
ることができる。「環境心理尺度ファイル」のイメージを想定して主に以下を提案。
 ・共通の設問群を想定できる「分野」を大分類でくくる
    ・例)地域環境>景観、防災、まちづくり・・
       施設  >病院、学校、オフィス・・・
 ・設問群をある程度レベル分けする
    ・例)フェイス項目・・・・・・・・・・共通項目
       評価,認識・・・・・・・・・・・中間
       関心,意見,知識,行動等・・・・オプション項目
    ・生活実態(>フェイス項目)は「地域との関わり」という観点から
     とくに重視したい。
     居住年数、住居形態、近所づきあい等、標準化できないか。
    ・認識,評価レベルでは、ある程度の階層構造が想定できる。
     (個々の満足度→印象→総合評価)
 ・設問に優先順位をつける
  (尺度ファイルの実用を目指す立場から)
 

3.温熱環境評価研究における評価申告尺度(室)

 温熱環境評価研究の主流では、平均的・標準的な人間像が仮定され、定常で測定で
きること、物理量・生理量で全てを語ることができること等が重視されている。しか
し研究者のなかでは異論もあり、新たな評価尺度の提案もなされている。以下、既往
研究を概観。
 ・尺度レビュー
    ・土川,堀越,小林
    ・梅宮,中村
 ・既往尺度の問題点
    ・堀越
    ・大野
    ・永村
 ・提案
    ・西
    ・八木,後藤
    ・久野,大野,中原
    ・金子,堀越
    ・室 他
 

4.その他 連絡事項(小島)

 宇治川氏(オフィス設問集など),山内氏(渡辺恵子先生より推薦),秋田氏(昨
年度に終了した作業環境WGの幹事だった)にWGでの演者をお願いした。