建物内における環境振動の評価、予測および制御を行うにあたっては,正確な測定と分析が不可欠である。また、統一された手法による測定データの蓄積は、環境振動に関する居住性能を高めるために非常に有益である。しかし、環境振動の測定や評価については各測定機関が各々の方法で実施している例が多く、未だ統一されたデータの蓄積は十分ではない。建物内の環境振動の測定、分析方法については2004年に刊行された「建築物の振動に関する居住性能評価指針」に記載されている。本指針が刊行されてからおよそ5年が経過し、本測定法の使われ方をフォローするとともに、指針では取り上げられていない振動伝搬等に関わる測定分析方法を構築することが求められている。
本小委員会は、環境振動に関する測定手法について居住性能評価以外も含めて多くの測定事例を収集し、測定分析方法の体系化を目指す。その成果は広く会員に展開し、居住性の向上に寄与することを設置目的としている。
各年度の活動計画は以下のとおりである。
2009年度:
文献等の調査から,評価のみならず,制御,予測,対策なども含めた計測事例を収集し,建築物の種類,対象振動源,測定目的などをキーファクターとして分類することにより,測定,解析,表記,評価などの手法の現状を把握する。また、建築物の振動に関する居住性能評価指針での測定方法の使われ方のフォローを行う。
2010年度〜2011年度:
文献調査の結果を参考にし、小委員会として環境振動測定実験を実施し、測定方法、分析方法等について検討を行う。検討対象は、環境振動測定手法小委員会で実施できなかった道路交通振動や振動伝搬性状を把握するための測定分析方法、その他とする。
2012年度:
3年分の活動成果を整理するとともに,加振源や目的に応じた測定分析方法を提案する。
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