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都市防災研究会 議事録 (2005年度)


第23回 都市防災研究会 議事録

1 日時 2005年7月1日(火)18:15~21:00

2 GBRC 大阪事務所4階(最寄り駅:地下鉄谷町4丁目駅)

3 出席者:計13名(敬称略)
(神戸大学) 秋元、幾代、大友、柏木、北後
               西尾、南、大西
(京都大学) 樋本、秋月、田中
(大阪市立大学) 宮野
(GBRC)          土橋

4 配布資料
1. 資料1 居住福祉工学特論(宮野)

5 議題
5-1.資料1
・これまでの宮野先生の研究について
  最初の研究 10年 都立大振動研究室で、地震被害調査など 
  その次の10年 大阪市立大学生活科学住居 住宅の安全 日常生活事故
   1945年 南海地震について 津波避難調査 火災被害地での避難行動調査
   住宅の中での事故 平面床でのつまずき事故(お年寄りの事故防止)
  1995年~ 兵庫県南部地震 地震時の被害について再度重点をおく
・2005年居住福祉工学特論
  安全・快適・利便に関する「各性能の評価」と実現をはかる「設計・計画手法」
視点のポイント 時間(日常、非日常)、空間(私的、公的)、対象(男性、女性、年齢)
  対策の流れ ハード→ソフト(減災)、非日常対策←→日常対策(安全→安心)
        非日常災害対策 → 地域福祉との連携
        日常災害対策  → 居住福祉工学の構築、地域福祉システム構築
  日常から非日常につながる「防災・安全科学」

6 次回開催予定
 2005年8月10日(水)18:15~
 GBRC 大阪事務所4階(最寄り駅:地下鉄谷町4丁目駅)
 議題
1. 研究発表(大西先生)
2. 平野地域のまちづくり続き(増田)+提案(土橋)


第22回  都市防災研究会 議事録(記録:渡部泰央)

1 日時 2005年5月24日(火)18:15~21:30

2 GBRC 4階

3 出席者:計13名(敬称略)
(神戸大学) 北後、幾代、松下
(京都大学) 田中、秋月、渡部(記)、大浦、那須野、鈴木
(大阪府)  入江、増田
(大阪市立大学) 宮野
(日総試)          土橋

4 配布資料
1. 資料1 京都市域に建造された文化財建築物の被災史に関する調査研究(秋月)
2. 資料2 現存する文化遺産とその周辺市街地についての地理的・景観的特性、社会経済文
   化的特性の分析と災害危険度の評価(秋月)

5 議題
5-1.資料1
・被害件数予測は一般式を用いている。
・被災史に関する研究は既往研究にあまりない。
・過去は戦乱による被災が多いことを考えると
本研究をどのように現在につなげていくのかが課題。
・木造建物比率は京都とほかの都市を比べて大きな違いはあるのか。
・通電火災の考慮は必要か。
・人口増加による文化財へのリスクの増加に関する研究はあるか。
5-2.資料2
・瓦版以前の火災記録は文献による。
・金沢の研究で武家屋敷がならんでいるところは延焼が少なかったというものがあった。
5-3.平野郷のスライドショー
5-4.増田氏の発表
・平野郷での電柱地中化は200-300m程度である。
・電柱地中化にかかる費用はどのくらいか。
・建て替える人がガイドラインに沿えば補助金が出るようになっている。
・地区全体で密集市街地の延焼を防止する方法が必要

6 次回開催予定
 2005年7月1日(金)18:15~
 GBRC 4階
 議題
1. 居住福祉工学(宮野先生)
2. 平野地域のまちづくり続き


第21回  都市防災研究会 議事

日時:2005年4月15日(金)18:15~

場所:(財)日本建築総合試験所大阪事務所4F会議室

参加者:13名

記録:那須野+土橋

資料:「災害に強い都市づくりガイドライン」の改訂について(大阪府)

   「災害に強い都市づくりガイドライン」改訂版(大阪府)

都市防災研究会の活動について(案)(増田)

■「災害に強い都市づくりのガイドライン」の改訂について

発表者: 大阪府 入江さん、小泉さん(総合計画課)

1、ガイドラインの役割

 都市づくりにおける地震防災対策上の留意点を整理

①    都市計画、事業計画などの立案

②    公民協働で進める防災まちづくり

・『防災』の最低基準ではなく、『減災』の視点、考え方を提示したもの

・『減災』の取組を積み重ねる→災害に強いまちづくり

2、改訂のねらい

①    災害に強い都市づくりの一層の推進

阪神淡路大震災から10年の締めとして震災の教訓を風化させないため

Ⅰ、都市計画による誘導

Ⅱ、都市基盤施設等の整備

   ・安全な都市の骨格づくり(広域レベル)

   ・安心して暮らせる生活圏の形成(地域レベル)

事例;久宝寺緑地の整備…避難入り口・緑地・トイレ(非常用)・低い外周石積み                        

②    既存ストックの活用による広域避難困難区域の解消

事例;藤井寺市の既存水利利用

   高槻市の広域避難地例

・大阪府の被害想定(上本町断層・生駒断層)

インナーエリアに被害集中 ⇒既存の広域避難地の補完(候補地32箇所)

※広域避難地の改訂…面積が10ha以下でも避難に必要な機能を有していれば広域避難地として認める

③    ハード事業を補完するソフト事業の推進

事例;災害危険度判定の公表例(箕面市)

     建物倒壊・道路閉塞・延焼の危険度

   H16全国都市再生モデル調査

     GISを利用した「防災まちづくり支援システム」などの活用

自助・共助・公民協働の取組

日常のまちづくりにおいて、いかに『減災』の視点を盛り込むかが災害に強い都市づくりのポイントとなる。

■質疑

 ・大阪府のGISデジタルデータはどの程度現在あるデータを活用しているのか。

  →GISシステムに使えるデータではない。建物の隣棟間隔や建物形状(年代・階数・構造)をポリゴン化しなければならない。何の目的で何を使うのかが大切。ソフトで使うにはまた新たにデータを作らなくてはならなく、コストもかかる。

 ・広域避難地は10ha以上も10ha未満も同じ名称で扱われるのか。準などとはならないのか。

  →以前広域避難地までの機能がないものは準広域避難地や都市型広域避難地としようとしたが混乱が生じ、一括して広域避難地や一時避難地としたほうが住民にもわかりやすいため。10ha未満でも新たに認められた広域避難候補地32箇所は準広域避難地ではなく、広域避難地として位置づけてもよいだろう、ということ。

・基準改正では0haでも機能を満たしていたらよいということなのか。

 →よい、ということになる。中心部分は1ha確保されていることが望ましいという程度にしか決まっていない。

・10ha未満の避難地という規定は大阪府以外の他府県でも存在するのか。

 →確認はしていないが、今回初めて大阪府が国に語りかけたことで、これから全国に知られるところ。調査はしていないので不明。

 ・ガイドラインに書かれている式(p75)はどのように決まったか。

  →行政が活用しやすいように、という実務的な式。

 ・上記の式に風を考慮したらどうか。

  →最近の地震火災は風とのめぐり合わせがなく、どのように想定したらよいのか事例がない。また最低条件で設定すると実現性がなくなる。リスクの評価が難しい。

 ・『安全』といえる目標を設定したものは何かあるのか。

  →不燃領域化率70%を超えたらパーフェクト。不燃領域化率40%が目標。

・ガイドラインp35、36の道路の最小幅員は延焼を防ぐという意味か、避難させるということか。

 →車両が通過できる幅のこと。車が通るだけでなく、消防活動もできるように、という意味もある。

・道路閉塞の図は家屋の倒壊のみを考慮しているのか。車が集中して閉塞するほうが多

いのではないか。また広い道路ほど車が詰まるのではないか。

 →地域の住民に向けた狭い範囲の話であって、新しい建物はやはり倒壊しにくい。建物建てられた年代などにより建物の倒壊確率を計算して出している。

 ・道路閉塞についてガイドラインp57の図は道路復員が25m以上になると歩道までの倒壊比率が半減するのはなぜか。

  →実際匹敵するエリアがそんなにない。また、ごく稀に歩道を越えて建物が倒壊した例がある。この範囲のデータは限られているから。

 ・このガイドラインというのは大阪府と市町村が協力して対策するというものなのか、それとも指針を示しただけなのか。

  →府が示してあとは市町村に任せているというのが基本だが、既存ストックの活用と災害危険度判定の2点のみは実現に向けていくつもりである。

 ・新聞記事より、住民に説明したと書いてあるが住民の反応は。

  →防災に対する認識はしてもらっているが、さらに活動に踏み切るアドバイスができるとよい。大阪府がただ単にガイドラインを作ったというだけでは済まない。地道にやっていくしかない。

 ・『減災』という言葉はいかがなものか。言葉を変えて取り組んでいるように見せているだけではないのか。

  →政策自体に100点満点はつけられない。「努める」という意味で使っている。何からでもいいからできることからやっていかなくてはならないので、そういった意味が含まれている。「減災」を積み重ねていくことが大切なのではないか。

■都市防災研究会の活動について(案)

 発表者:増田さん

・各地域で住民や事業者等が中心となり地域防災を考える必要性がある中で、そのきっかけ作りや取り組みを継続するための対策等、行政だけでは不十分である事について当研究会が役割の一端を担えないか。

・一般の方々は、建物個々の対策と異なり地域対策として考えた時にどうすれば良いかわからないのが現状である。

→行政が地域に入って活動した際に、必要な対策ツール(計算法も含め)があればと感じられる事柄を研究テーマとして考えることは可能。

→各地域でホームページをリンクして情報を共有することから始めても良いのではないか。

→研究発表を行った後、各地域の問題等を30分くらい検討する機会を設けたい。それぞれの地区を取り上げて対策をリンクできれば情報を共有でき、各地区の範囲から広域へ広げることが可能であると考える。

・最初の試みとして、次回は平野から抽出された問題点を検討する。

■次回日程:5月24日(月) 18:15~ 日本建築総合試験所大阪事務所4F会議室

内容:① 研究発表 秋月さん

       ② 事例研究 平野郷(増田-メモ、北後-写真 それぞれ準備)