2020/02/20
期限付き建築物設計法小委員会 /
期限付き建築物設計法小委員会の目的
設置目的
期限付き建築物とは、持続可能な社会の構築に向けた新たな設計思想に基づくものである。この期限付き建築物の具現化に向けて、前身の小委員会での検討重点テーマ(適用設計ルートを分ける建物規模・設計荷重再現期間の決定係数・相応しい仕様規定)を踏まえ、設計法をより充実させ、既刊の「期限付建築物設計指針(2013)」の改訂版を作成することを目的とする。

委員会の位置付け
期限付き建築物は、仮設構造運営委員会傘下の小委員会において、1992年より提唱されてきた。以来検討を重ね刊行した「期限付き建築物設計指針(2013)」は、いわゆる第1のタイプに位置づけられる。このタイプの指針は、内容の発展に伴い、比較的短期に改訂を要する可能性もあるとしている。刊行後に検討してきた内容を受け、更に議論を深め、期限付き建築物の具現化に対応する指針に発展させることとする。
(*)日本建築学会 学会規準・仕様書のあり方検討委員会;学会規準・仕様書のあり方検討委員会報告書
設置期間
2017年 4月 〜 2021年 3月
活動計画
・「期限付き建築物設計指針(2013)」において定性的であった内容を定量的に示し、期限付き建築物の具現化に対応するよう、設計法をより充実させた改訂版を脱稿する。
・前身の小員会で取り組んできた「期限付き建築物設計指針」の英語版を公表する。
  • 2017年度:2016年度当会大会で実施したPDを踏まえた検討等を行う。
  • 2018年度:期限付き建築物の具現化に向け検討を深め、改定内容を具体化する。
  • 2019年度:「期限付き建築物設計指針(2013)」の改定を前に、PDを開催する。
  • 2020年度:充実した設計法を示した改定版を脱稿する。
期待される成果
期限付き建築物のメリットを活かした、より合理的な設計法を開発し、パネルディスカッションで公表し、一般会員との意見交換を実施する。これらを踏まえて「期限付き建築物設計指針」を改訂する。
これまでの各年度計画と具体的成果
(2004年度:期限付き建築物WG)
成果: 期限付き建築物WGでは、多様な社会変化に経済的合理性をもって適応する期限付き建築物に対し、地球温暖化防止の観点にたてば、期限満了後の各種部材の再利用ができない限りその建設は受入れられないとの結論を得、小委員会活動としてこの問題を取上げることを提案した。

(2005から2008年度:期限付き建築物リユース小委員会)
成果: 期限付き建築物リユース小委員会では、期限付き建築物の期限満了後の各種部材を再利用するための条件や考え方を整理し、啓蒙書「建築部材のリユースマニュアル・同解説」を作成・出版した。これにより、地球環境保全と人類の経済合理性追及を両立させる期限付き建築物の検討を再開することとした。

(2009から2012年度:期限付き建築物小委員会)
成果: 期限付き建築物小委員会では、持続可能な社会の構築に向けた新たな設計思想について紹介し、新しい価値観を提示した「期限付き建築物設計指針」を作成・出版した。

(2013から2016年度:期限付き建築物構造性能小委員会)
成果: 期限付き建築物構造性能小委員会では、「期限付き建築物設計指針」における検討課題(・期限付き建築物の規模を区切る具体的な数値・設計荷重の基準となる荷重値の再現期間を決定するための係数(安全係数r)の推奨値)に取り組み、パネルディスカッションを開催した。

(2017年度)
計画: 2016年度当会大会で実施したPDを踏まえた検討等を行う。
成果: 1.期限付き建築物について、PD等による情報提供活動や、2020東京オリンピックを控えた時期であること等により、会員外からの問合せや行政庁等の図書に引用されるなど、普及を感じられた。こうした状況を踏まえて検討を進めた。
2.前身の小委員会から取り組んできた「期限付き建築物設計指針」英語版の作成について、完了した。

(2018年度)
計画: 期限付き建築物の具現化に向け検討を深め、改定内容を具体化する。
成果: 1.既刊指針の改定内容を意識しながら、2019年度大会のPD実施に向け、テーマ別協議に力を入れ実施し、概ね達成した。
2.2018年度大会において鋼構造環境小委員会によるPD「東京五輪を契機に鋼構造環境配慮設計をどのように次世代に引き継ぐか」において、期限付き建築物について情報提供するなど、他の小委員会とも情報を共有しながら実施できた。

(2019年度)
計画: 「期限付き建築物設計指針(2013)」の改定を前に、PDを開催する。
成果: 「期限付き建築物設計指針(2013)」の改定を前に、設計法をより充実させる改定内容を紹介する資料を用いたPDを開催し、今年度の目標を達成した。

(2020年度)
計画: 充実した設計法を示した改定版を脱稿する。
成果: 以下の成果を得て、目標を達成した。
1.「期限付き建築物設計指針(2013)」改定版について査読提出の段階に達した。
2.「期限付き建築物設計指針(2013)」英語抄訳版についてデジタル・オンライン版を刊行した。


日本建築学会常置研究委員会組織構造委員会 >仮設構造運営委員会 > 期限付き建築物設計法小委員会