日本建築学会
非構造材の安全性評価及び落下事故防止に関する特別調査委員会
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●委員長挨拶 
 建物の構造躯体には大した損傷がないのに、建物内部では多くの「人命」が危険に曝されている。

 天井を始めとする高所設置の仕上げ材や設備機器の落下事故はこのように深刻な事態を招いている。 このような被害は1995年の阪神大震災時などでも数多く発生し、その後大きな震災のたびに頻繁に報告されてきたが、 昨年の東日本大震災時においてさらに夥しい数の天井落下事故が発生するに至って、一挙に公の耳目を集めることとなった。

 本「非構造材の安全性評価及び落下事故防止に関する特別調査委員会」は、 東日本大震災の被害を受け非構造材落下の防止と解消を目的として和田章日本建築学会会長の特命により発足、 この喫緊の課題に対する学会からの社会発信を目標に短期集中型の活動を行っている。 現在はガイドライン的なもののとりまとめを目標としている。

 天井は「仕上げ材」であり、典型的な「非構造材」である。「構造」専門家だけが集まってもよい解決策は生まれない。 地震で落ちたから即「耐震補強だ」という短絡的な発想では、落下事故を根本的に防止解消することはできない。 阪神大震災以降の調査結果より「天井の落下事故」は非地震時にも頻繁に発生していることがわかっている。 天井を危険な落下物に変える直接の力は「重力」であり、「地震力」ではない。 「人命保護」を真剣に考えるなら「落下現象の制御」がまず実現すべき本質である。

 本特別調査委員会では、下記の2つの基本概念を柱とし、「人命保護」は絶対必要かつ最優先の性能、 「機能維持」は建物や施主によって異なるレベルを設定できる二次的な性能として、優先順位を明確に位置付けている。
1.人命保護 :必ず実現すべき性能
2.機能維持 :建物用途や施主の要求により想定外乱レベルと維持すべき機能を設定し、損傷制御を設計実現する。
 従来は、これらの優先順位が混然としていたため、あたかも耐震補強が「人命保護」に直結するという誤解を招いていた。 目標とするガイドラインでは、この点を明確にすると同時に、他に基本的な重要概念として、
 @「安全性評価法」
 A「フェイルセーフ」
 B「準構造」

等を挙げ、
 C「原状復旧の旧弊」
 D「建築家の安全に対する認識啓発」
 E「内装制限の高さ方向の緩和」等

を関連する課題として掲げている。 本年度中の完成を目指して目下とりまとめ中である。

 なお2012年度の日本建築学会大会(東海)学術講演会においても研究協議会を開催、ガイドラインの中間報告を行った。

委員長 川口健一 (東京大学 教授)


●メンバー

委員長
  • 川口 健一 (東京大学)
幹事
  • 小澤 雄樹 (芝浦工業大学)
  • 元結 正次郎(東京工業大学)
委員
  • 猪飼 富雄(大林組)
  • 井田 卓造(鹿島建設)
  • 太田 博章(竹中工務店)(2011年度中は 村松克己(竹中工務店))
  • 小早川 規(大成建設)
  • 櫻庭 記彦(清水建設)
  • 清家 剛 (東京大学)
  • 多賀 洋(日本設計)
  • 早川 文雄(日建設計)

●公開研究会記録
(1)「非構造材の安全性評価及び落下事故防止に関するタスクフォース」の活動
@第1回 タスクフォース キックオフミーティング/活動の方針と進め方について (2011年9月14日(水)17:00-21:00)
A第2回 タスクフォース内情報交換とブレインストーミング (2011年10月20日(木)17:00-21:00)
B第3回 タスクフォース内情報交換とブレインストーミング (2011年11月17日(木)17:00-21:00)
C第4回 タスクフォース内情報交換とブレインストーミング (2011年12月15日(木)17:00-21:00)
D第5回 タスクフォース内天井被害アンケートの計画 (2012年1月27日(金)17:00-21:00)
E第6回 タスクフォース内天井被害アンケート結果の集計報告他 (2012年2月22日(水)17:00-21:00)
     建築学会シンポジウム「新しい国造り」における活動報告  (2012年3月1日(木)午前)
F第7回 タスクフォース 特別調査委員会への移行について (2012年3月21日(水)17:00-21:00)

(2)「非構造材の安全性評価及び落下事故防止に関する特別調査委員会」の活動
@第8回 特別調査委員会 企画の検討      (2012年4月25日(水)17:00-21:00) 
A第9回 特別調査委員会 大会研究協議会の企画検討    (2012年5月29日(火)17:00-21:00) 
B第10回 特別調査委員会 西山功建研理事との研究協議会の為の情報交換他 (2012年6月28日(木)17:00-21:00) 
C第11回 特別調査委員会 研究協議会予稿集の為の原稿読み合わせ他 (2012年7月23日(木)17:00-21:00)
D第12回 特別調査委員会 研究協議会予稿集の為の原稿読み合わせ他    (2012年9月3日(月)17:00-21:00)

 日本建築学会大会研究協議会開催    (2012年9月13日(木)13:00-17:00)

E第13回 特別調査委員会 研究協議会のまとめについて、パブリックコメント、目次案(2012年9月19日(水)17:00-21:00)
F第14回 特別調査委員会 ガイドライン目次(案Ver.2)、原稿読み合わせ他 (2012年10月18日(木)17:00-21:00)
G第15回 特別調査委員会 ガイドライン原稿読み合わせ他     (2012年11月19日(木)17:00-21:00)
H第16回 特別調査委員会 ガイドライン原稿読み合わせ他     (2012年12月 6日(水)17:00-21:00)
I第17回 特別調査委員会 ガイドライン原稿読み合わせ他     (2013年 1月17日(木)13:00-21:00)
J第18回 特別調査委員会 ガイドライン原稿読み合わせ他     (2013年 1月22日(火)13:00-21:30)
K第19回 特別調査委員会 ガイドライン原稿読み合わせ他     (2013年 2月 5日(火)13:00-21:30)

●特別調査調査委員会最終報告(ガイドライン)
調査報告書 2013.03.06 update
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