研究・好事例
特定空家 雪国の空き家問題
図1 雪国の空き家(イメージ写真)
雪国の空き家問題
日本では北日本と中国地方以北の日本海側の自治体で、冬季に大量の積雪がある地域が豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定を受けています。豪雪地帯は市町村数で全国の31%、面積で51%、居住人口は15%を占めています(2021年(令和3年)4月1日現在)。このうち積雪量が特に問題となる特別豪雪地帯には約300万人が居住しており、面積は国土の約2割を占めています。一方でこれらの地域では人口減少が他地域よりも進んでいるため、空き家の増加もより顕著に進んでいます。
豪雪地帯・特別豪雪地帯に存在する空き家は、それ以外の地域の空き家問題に加えて、冬季の除雪が大きな問題となっています。居住者のいない住宅は暖房されないため屋根面の融雪量が少なく、積雪量が多くなります。居住者が死亡等の理由で不在になり、地縁の無い相続人が増えると除雪に対する意識が低下することが懸念されます。所有者が適切に管理(除雪)しなければ、空き家が倒壊する恐れがあり、隣接地に与える影響も計り知れません。
国土交通省 豪雪地帯対策の推進 豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定(2022.4.1確認)
雪国の空き家は、それ以外の空き家に比べて毎年の冬季の積雪によりダメージを受けやすくなります。各自治体は空き家対策に取り組む中で、豪雪地帯対策特別措置法の規定により空き家の除排雪やその他適正な管理に必要な措置をとることが自治体の責務となっています(第13条の4)。また毎年の積雪により危険空き家が倒壊する危険性が他の地域と比べて大きいという特徴もあります。
空き家が抱える問題は、気候等の違いにより地域差があるといえます。雪国の空き家は積雪の問題が大きいですが、強烈な台風が毎年襲う地域では風対策が必須となります。どちらも空き家の対策は後回しになりがちです。皆さんの地域ではどのような問題があるでしょうか。空き家が周囲に与える影響が異なるため、独自の対策にも工夫が求められます。
樋口 秀