お知らせhome/akaibu.htmlshapeimage_3_link_0
情報交流フォーラムforum2008.htmlshapeimage_4_link_0
建築のカーボンニュートラルを目指してseries.htmlshapeimage_6_link_0
委員名簿members.htmlshapeimage_8_link_0
小委員会committee.htmlshapeimage_10_link_0
アーカイブarchives.htmlshapeimage_12_link_0
ホームhome/home.htmlshapeimage_14_link_0
 
■提言http://www.apple.com/

二 建築物に関わるさまざまな人々


 以下に、建築物に人々がどのように関わりをもっているかということと、建築物の社会性を高めるためには、それらの人々にどのような期待が寄せられるであろうかということを整理する。


1 建築主


 建築主が建築物の属性にもっとも大きな影響力をもつといえる。建築主は、専門家ではないことが多いために、自分の建てたい建築物を具体化するためには建築設計者の手助けが必要である。しかし、建築設計者は建築主の意向・与件によって設計する。その意味で、建築物を最終的にコントロールする力をもつのは建築主である。したがって、建築主の意識が低ければ低いほど劣悪な建築物が生まれることになる。その事態を避けるには、都市計画法や建築基準法をはじめとする法令ならびに地方自治体の各種のまちづくり条例による法規制が不可欠であろうが、それだけでは足りない。建築主が自主的に建築物の社会性を意識した行動をとる必要がある。


 なお、現代は、自分で使用収益を行う予定がなく、建築物を建築する建築主の数も多い。つまり、建築物の市場商品化とでもいうべき状況が進行しており、建築後に直ちに売却を考える建築主も少なくない。建売業者やマンション開発業者がその典型である。これら建築主は、使用収益における問題を徹底して考えるというよりも、販売業者として売却の容易さに必要な限度で使用収益の問題を考えるにすぎないため、しばしば建築物が近視眼のものとなり、見てくれだけを重視することになりがちである。ただ、他面、これら建築主は、どのような建築を建てるべきかについて、さまざまな情報を入手できる立場にあるため、その意識が高まると、しろうとの建築主よりはるかに高品質の建築物をより安い価格で建築することが可能である。これらプロの建築主の意識をいかに高めるのかが大きな課題となる。


2 建築設計者


 建築設計者は、建築主の意向を把握して、建築図面にその意向を具体化する専門家である。また、施工にあたって、施工者を監理する立場を担うことが多い。建築設計者が建築物の社会性についていかに高い意識を有するかが建築物の質を向上させる鍵となる。建築設計者は、建築主をよりよい方向に導く力をもつからである。また、建築物を魅力あるものにできるか否かはひとえに建築設計者の力量にかかっている。建築設計者による耐震偽装の事件は、建築設計者に対する社会の期待を裏切ることとなったが、建築設計者の本来の社会的役割を自覚した倫理観プライドをもった職務の遂行が求められる。職能集団としての自己研鑽と自主規律をいかに高めるかが大きな課題である。


3 施工者


 施工者は、建築設計者の作製した図面に従って、建築物を建築する立場である。その意味では受身の存在であり、その裁量が入る余地は本来少ない。しかし、建築物は、物理的には施工者が建設する以上、実質的に建築物の部材、部品の質の確定にかかわる立場にある。この施工者がいかに建築図面に忠実に手抜き工事を行わずに建築物をつくりあげるかは、その建築物のその後の利用や寿命そのものを左右する。更に、建築物の生産過程において、設計の持つ品質上の問題を是正する最後のチャンスも施工者が握っている。したがって、施工者にどれだけ高い技術力とモラルがあるかは、建築物の質を大きく左右する。また、施工者は、建築にあたって、常に効率的な作業を考える立場にあり、この点でも建築設計者の見落とす問題を指摘できる立場にある。また、建築作業中に生まれるさまざまなアイデアは、効率的な資源の利用をもたらすであろう。かかるノウハウをどのように集約して、無駄のない資源利用に活かすかが大きな課題となる。

「建築物と社会的責任」

05/15http://www.apple.com/