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三 工業製品との比較


1 工業製品と対比する意味


 近時、会社の社会的責任(Corporate Social Responsibility:以下「CSR」という)ということばが強調されるようになった。会社は、単に株主の利益のためだけを考える存在であってはならず、社会におけるさまざまな利害関係者のそれぞれに適切に配属する責任があるという考えである。これは、会社が法令遵守だけを考えるものであってはならないことを意味する。その点で、この理念は、会社の経営者の裁量を広くするものであり、法律だけでは対処できない社会のさまざまな問題に対処するにあたっての会社の基本姿勢を決める重要な理念となっている。あたかも、個人にさまざまな人々がいるのと同様に、このCSRに対する会社の姿勢が会社の個性を決める時代になりつつある。


 また、環境法の近時の発展はめざましいものがある。その背景には、地球規模の環境問題について先進国において共通の理解が急速に進んでいることがある。有限の資源を効率的に利用し、生態系の破壊を防止し、持続可能な社会を構築して、これまで人類が享受してきた地球環境を将来世代に引き継がせることが現在世代の義務であるという理解である。


 かかる理解を背景にして、EUでは、自動車、家電製品、パーソナルコンピューター、事務機器などの工業製品について、単に法律だけでなく、CSRの観点から遵守することが望ましい行動基準(法律とかかるCSRの観点からの行動基準とを合わせて以下に「社会規範」という)が発展をとげている。かかる社会規範の及ぶ対象は、単に製造者や販売者だけでなく、製品の資材や部品の供給業者にも及ぶものとなっており、また、かかる社会規範は、製品の販売市場における製品ラベル制度から、製品の製造販売を行う企業の投資適格性要件まで規定するものとして、拡大進化している。したがって、EUにおいてかかる工業製品を製造し、または販売する日本の企業にとって、かかる社会規範はおよそ無視できないものとなっている。


 このように発展をとげている工業製品のEUにおける社会規範との対比で、日本において建築物にいかなる社会規範が存在しているのかを検討すると、不足している社会規範が浮き彫りになるであろう。この目論見のもとで、整理したものが次項の「工業製品と建築物の持続可能性推進をめぐる比較対照表」である。この表では左欄に既に確立している工業製品に関する各種の社会規範を整理し、右欄に建築物の場合に想定される項目を整理している。したがって、右欄は、現実にそれに見合う制度や取り組みが存在するか否かを度外視した表である。




「建築物と社会的責任」

08/15http://www.apple.com/