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日本建築学会 中国支部

AIJ, Chugoku Branch

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●第2回受賞作品(平成17年度)
<デザイン部門>

林原類人猿研究センター(所在地:岡山県玉野市沼字丸山)

受賞者:寺谷啓史(竹中工務店広島支店)
 チンパンジーの生態について研究するべく、飼育施設、実験施設、運動場などを備えた特異な施設であり、設計上のむずかしい条件を処理した意欲的な建築作品と言える。また企業のメセナ活動として、科学的な研究とともに見学者にも対応するという教育啓蒙的な施設であり、社会的にも意義のある貴重な建築施設である。難しいテーマに対して、空間構成においては明快なコンセプトを有し、シンメトリーの象徴的な配置計画を用い、また全体に幾何学的な形態要素を配して統一し、古代の神殿をも連想させる象徴的デザインとして緊張感を与えている。シンプルな建築物であるが、瀬戸内海に突き出た岬の先の、潮風の流れるのどかな風景を背景に、自然との共生を問いかけるような独特の景観デザインとし、またインテリアの要所に光の演出を加えるなど、自然を感じられる気持ちの良い環境デザインとなっている。

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吉津の家(所在地:広島県福山市吉津町)

受賞者:藤本寿徳(藤本寿徳建築設計事務所)
 ル・コルビュジエが近代建築の出発点において提示した「ドミノ」の形式をもとに、新鮮で現代的な感覚を加えたデザイン作品であり、近代建築の系譜という大きなテーマを内在し、建築家の視野の大きさを感じさせる建築作品である。近年、世界規模で取り組まれている「表層」のデザインについて、中国地方のふつうの町並みを対象にして生まれた、ひとつの芸術的な作品である。2~4階の全面にわたってエキスパンドメタルのメッシュを張り、手すりのないファサードとした手法は、やや不安感を催させるものの、実験的なデザインとして全国的な議論の対象となってよい。木造二階建ての住宅が軒を接して並ぶ都心周縁部の地区にあって、一見特異な姿を見せるが、それはオランダの現代建築家たちの手法にも共通するような、都市の空間経済的な合理主義、そして空間の自由な解放、透明化という現代的なテーマへのひとつの解答と言える。

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 以上のことから、2作品とも中国地方の地域社会の現実をよく考慮し、また現代的な建築の課題に取り組んでいて、中国建築文化賞に相応しい作品と判断した。

●17年度審査員(敬称略・50音順)
折見保則・篠原道正・杉本俊多・僊石友秋・三浦賢治

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