21世紀を迎えて、社会環境は急速に変化し,私たちが生み出し続ける人工物の在り方も大きな変革を迫られています.今日,国際化,都市化,人口変動,巨大災害の発生、環境問題の深刻化など,人間の生命と暮らしを脅かす多くの問題が発生していますが,これらの問題を解決するためには,個々の人工物を超えて,人工物相互の関係や人工物と人間・社会・経済・環境との関係などの多様な関係性を含むシステムに関わる複雑な問題に取り組む必要があります.人工物についても,ライフサイクル全般にわたって,これまで以上の高付加価値を創出し得る「持続可能な成長のメカニズム」を早急に実現することが必須の課題となっています.しかしこうした社会が直面している問題は,従来の縦割り型ディシプリンに基づくアプローチでは解決することはできず,その問題の態様を把握することすら困難であることが指摘されています.すなわち,設計やデザインと呼ばれる問題領域においては,このような状況を打破するための,横断領域的な知識の活用と多様な協働の形態による新たな取り組みが強く求められています.

以上の背景のもと,日本機械学会,精密工学会,日本設計工学会,日本建築学会,日本デザイン学会の5学会は,「設計」や「デザイン」を包含する上位概念としての"Design"を対象としたDesign Symposium 2004を2004年7月に開催し,"Design"を研究する新たなコミュニティーを創出することに成功しました.その後,人工知能学会を加えた6学会の共催により,2年に1回ずつシンポジウムを継続的に開催し,異なる領域から多くの参加者を得て,"Design"をめぐる活発な議論の場を形成する上で大きな成果を上げてきました.
この流れを受け,異なる専門や立場の研究者,設計者,デザイナー,技術者などの多様な参加者による講演や議論を通して,"Design"という共通の問題に対する理解を深め,学術的,実践的な新たな横断の加速と,日本における設計とデザインを統合した研究の中心となるコミュニティーの更なる発展をめざして,今回は初めて東京を離れ,歴史と文化の息づく京都という場所で,Designシンポジウム2012を開催致します.

本シンポジウムでは,一般講演のみならず,特別講演・招待講演,パネルディスカッションなど多様な企画による「議論の場の形成」を目指します.本シンポジウムをより有意義なものとするため,多数の皆様の積極的なご参加をお願いいたします.


Designシンポジウム2012運営委員会 委員長
京都大学大学院工学研究科建築学専攻 教授
門内 輝行

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