コロキウム構造形態の解析と創生

コロキウム構造形態の解析と創生

Colloquium Analysis and Generation of
Structural Shapes and Systems

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コロキウム構造形態の解析と創生2014 -colloquium 2014-

■ 開催主旨

近年の建築の設計プロセスにおける3D-CADやBIMの利用は、意匠、構造、設備、施工の連携を強め、また、これまで不可能であった複雑な形態の構造物も建設可能にしました。また、3Dプリンタに代表されるデジタル・ファブリケーションの技術が身近なものになり、建築のデザインに大きな変化を与えつつあります。実現可能な建築表現の自由度が急速に増すなかで、建築物の形態をどのように決定すべきかという問題について、今まで以上に深く議論していく必要があります。
本コロキウムは2006年度から毎年開催しており、構造形態創生、構造最適化、アルゴリズミック・デザインといった建築構造物の形態を創り出すための理論・技術に関する新しいコンセプトや最新のアルゴリズム、実務への応用の実態と課題、創生されたデザインなどが紹介され、活発な議論が展開されてきました。本コロキウムは、今やこれらの理論・技術に関する情報発信源として業界における重要な役割を担っています。本年度開催する「コロキウム構造形態の解析と創生2014」においても、形態創生の理論・技術に関わる研究者、技術者が一堂に会して情報交換を行い、将来の方向性について議論することで、これらの研究・技術分野が益々発展し、今後の建設技術の一助となることが期待されます。

<主催>
  構造委員会 シェル・空間構造運営委員会: 構造形態の解析と創生小委員会
  構造委員会 応用力学運営委員会: 構造設計・解析の最適化理論応用小委員会
  情報システム技術委員会:  アルゴリズミック・デザイン応用小委員会

開催期日 2014年11月6日(木), 7日(金)
開催場所 建築会館ホール


コロキウムの内容

□ 特別講演

特別講演は初日に行われ、株式会社中田捷夫研究室の中田捷夫先生と株式会社SUEPの末光弘和さんが講演されました。
講演題目は、中田捷夫先生が『ちからとかたち−MIHO美学院チャペルの設計から−』、末光弘和さんが『自然がつくりだす形』でした。
プログラム


□ 一般講演

一般講演は、2日目に行われ、23題の研究発表が行われました。
プログラム

□ 優秀講演表彰

優秀講演選定委員会(委員長:高田豊文)の厳正なる審査の結果、今年の優秀講演が下記の3講演に決定しました(敬称略、発表順)。発表者には表彰状が送られました。

 田中奈津希(鹿児島大学)
 「多目的最適化に適用可能なホタルアルゴリズムによる構造形態創生法」

 平瀬世鏡(名古屋大学)
 「柱梁構造物における崩壊性能設計法に関する研究」

 里中拓矢(鹿児島大学)
 「離散微分幾何手法による膜構造の形状決定」

□ 形態創生コンテスト

<コンテストの主旨>
建築の空間や工芸品の形は作者が審美や思想を満たしながら、求められる機能や役割の実現を図るべきである事は言うまでもありません。「形態創生」は空間あるいは形に求められている課題あるいは意図を理解した上で、力学上、構法上、効果的にそれを実現する方法を志向し、それを科学的に定義することで、結果として設計者の想像力を越えた形態の可能性が創造されると考えています。
本コンテストは、独創的でありながら実現性も視野にいれた「形態創生」の考え方に基づいたアルゴリズムや、建築構法とその産み出す形態を総合的に競う事を目的にしています。過去7 回を経て本コンテストは、実体的に構造物を造る方法の合理性と、その構造物が実現する空間利用の合理性を融合した問題として捉えたレベルの高い催しとして注目されてきました。「形態創生」の考え方に可能性を見出す様々な分野の多くの人の参加を期待致します。

<課題(テーマ)> 
課題は以下のテーマとしました。

「いまここの自然環境に適応したかたちを創生する」
解説: 長い首で高い木の葉を食べるキリンや、壷状になった葉で虫を捕らえるウツボカズラなど、自然界には、ある特殊な自然環境に漸進的に適応していくことで、結果的に非常にユニークな形態を獲得した動植物が数多く存在します。同様に建築も、かつては世界各地の自然環境に適応しながら、その地域特有の形態を獲得してきました。しかしグローバル化が進行する中で、全世界的に画一的な建築群が立ち現れつつあることは周知のとおりです。確かに同じ仕様でいつでもどこでも建てられる建築はある意味で合理的です。しかし、情報通信技術によってその地域ならではの微地形や微気候といった解像度の高いシミュレーションが可能になり、デジタルファブリケーション技術によってその地域ならではのマテリアルに個別の加工ができるようになってくると、「いつでもどこでも」というよりは「いまここ」の環境にきめ細かく適応していくことも合理的な戦略となり得るはずです。本コンテストでは、そのようなテクノロジーの発展普及を前提としたときに、どのような自然環境に、どのように適応すると、その場所ならではの魅力的でユニークな建築のかたちが創生されるのか、その具体的で独創的な提案を求めます。
ひとくちに自然環境といっても、熱、光、雨、雪、風、音、匂い、地震など実に様々な事象があり、それに適応する形も様々です。地震や風・雪の力に着目すると構造的に、熱や風や音に着目すると環境的に、光や周辺の風景に着目すると計画・意匠的に適応する形が考えられます。本コンテストの始まりの課題は構造系の形態創生でしたが、今回は構造だけではなく環境あるいは計画・意匠に独創的な形を期待します。

<審査員(敬称略、50音順)> 

 審査委員長 新谷眞人 (早稲田大学名誉教授/オーク構造設計)
 審 査 員 池田靖史 (慶應義塾大学)
  久保田晃弘 (多摩美術大学)
  本間俊雄 (鹿児島大学)
 特別審査員 末光弘和 (株式会社SUEP)
 (特別講演講師) 中田捷夫 (株式会社中田捷夫研究室)

<コンテストの経緯>
エントリー数は29件でした。このうち15作品の提出物を対象として審査委員会による一次審査を行いました。作品は匿名とし、評価は、課題(テーマ)に対する作品の満足度の他、創生された形態(かたち)そのものの独創性や、用いている形態創生プロセスのアイデア性などを総合的に勘案しました。
一次審査の結果、7作品を入選作としました。
入選者は、「コロキウム構造形態の解析と創生2014」会場にて公開のプレゼンテーションを行い、その後、審査委員会による二次審査を行いました。二次審査の結果、優秀作品3点を決定し、他の入選作品を含め、同コロキウムの懇親会において、審査委員長より表彰状を授与しました。

 2014年03月25日 :建築雑誌2014年4月号に応募要項掲載
 2014年06月13日 :応募要項に関する質疑締め切り
 2014年08月29日 :応募エントリー締め切り
 2014年09月05日 :作品応募締め切り
 2014年09月16日 :一次審査(日本建築学会会議室にて)
 2014年09月22日 :一次審査結果の通知
 2014年11月06日 :コロキウム構造形態の解析と創生2014にて二次審査および表彰

プレゼンテーションと公開審査の様子

<入選作品(氏名:敬称略)>

最優秀作品:Pylonome (Pylon+Omics)
○藤平祐輔(慶応義塾大学),佐々木雅宏(同),津久井森見(同)

優秀作品:自然がつくり、自然を利用するかたち
○關 和也(広島大学)

優秀作品:クミキ・サイクル
 −ライフサイクルを通して環境に適応する組木構造システム
〇木下拓也(竹中工務店),松岡康友(同),木島靖典(同),田邊裕介(同)
 栗原嵩明(同),松田 耕(同)

優秀作品:Ebb and Flow
〇清水秀太郎(東京電機大学),本間久勝(同),高田 剛(同),千田貴義(同)

入選作品:Climate Resilience
○田村尚士(ディックス),吉田友紀子(名古屋大学),金子侑樹(同),平田 曜(同)

入選作品:Cmonoss
○日野惇(大林組),南 尚孝(同),元木敬治(同),木村寛之(同),寺井 亮(同)
 矢島さおり(同),國崎 洋(同),足立冬樹(同)

入選作品:雪降る廃村の記憶
○辻 孝輔(鹿児島大学),山口洋平(同),田中奈津希(同),平柳伸樹(同)

□ 懇親会とコンテスト授与式

1日目の講演会終了後、懇親会が行われました。懇親会では,コンテストの最優秀作品と優秀作品等の授与式が行われました。

最優秀作品の賞状の授与
優秀作品の賞状の授与
 
優秀作品の賞状の授与
優秀作品の賞状の授与


実施主担当者
  コロキウム実施責任者: 山本憲司(東海大学)
  コンテスト担当: 松川昌平(慶應義塾大学),熊谷知彦(明治大学)
酒井康史(日建設計),朝山秀一(東京電機大学)
小野聡子(有明工業高等専門学校)
  講演論文担当: 澤田樹一郎(鹿児島大学),永井拓生(滋賀県立大学)
横須賀洋平(鹿児島大学)
  広報担当: 本間俊雄(鹿児島大学)
  懇親会担当: 立道郁生(明星大学), 瀧澤重志(大阪市立大学)
陳 沛山(九州工業大学), 松尾智恵(川口衞構造設計事務所)
  会計担当:

朝山秀一(前掲),平田裕一(三井住友建設)
張 景耀(名古屋市立大学)

  参加登録: ガン ブンダラ(日本大学)
  優秀講演担当: 高田豊文(滋賀県立大学)
  コロキウムHP担当: 藤井大地(近畿大学)
  ポスター担当: 永井拓生(前掲)
  Webリスト担当: 山本憲司(前掲) .小野聡子(前掲),朝山秀一(前掲)
  文献リスト担当: 大崎 純(広島大学),高田豊文(前掲),瀧澤重志(前掲)
  優秀講演選定委員会
委員長:
高田豊文(前掲)