まちづくり展 学生ワークショップ「震災復興からまちづくりへ」  (2011.4.17~21)


シャレット・ワークショップ全体概要  概要説明PPT



Group A 復元力を組み込んだ広域ネットワークの再設計

今回の東日本大震災と津波による東北地方への甚大な被害は、我が国の今までの国土計画やガバナンスのあり方を全面的に見直し、新たなパラダイムを急いで構築する必要性を私たちに突きつけることとなった。本提案はこれを一つの機会と捉え、国土計画の大きな枠組みの展開の可能性として、東北圏の将来のあり方を日本、アジア、或いは世界という広域的な視点から捉え、復興まちづくりの基本的な戦略と方向性を示すものである。

[問題と背景]
東北地方には3本の山脈が南北方向に走り、日本海側と太平洋側を断絶させる大きな地形が構成されているが、谷戸や海岸には細かく分散する形で小集落が分布してきた。特に江戸期における藩政期においては、様々な小街道が機能し、流域圏などを軸に人々の往来や文化の交流が様々なレベルで行われていた。しかし、近代以降、中央の高速道と新幹線を主軸に南北方向の陸路ネットワークやインフラが整備されるにつれて、内陸部と沿岸部の生活・文化が断絶される傾向が強くなり、不利な東西方向のネットワークはますます軽視されることとなった。
今回の震災と津波の被害では、被災地付近における広域的な問題としてこの「横のつながりの弱さ」が浮き彫りとなった。橋や道路など交通が一か所切れることで海岸沿いの縦の経路が分断されて復旧が遅れるというような脆弱な交通システムや、被災後の対応における意思決定システムの不合理性(中途半端な地方分権、都市同士のグルーピングの不明瞭性)の問題などが露呈されたのである。一方で、東北内での連携等これまであまり見られなかった繋がりが被災後の連携として有効に機能したことは特筆すべき点であった。
今後、少子高齢化、国際競争激化、環境問題、国家財政悪化など、我が国全体が抱える現代的諸問題を解決して行くためには広域圏の再構築を必要としているといえよう。

[提 案]
今後展開する復興まちづくりにおいては、これらの脆弱な横の繋がりを再構築し、リダンダンシー(冗長性)を備えた物理的ネットワーク構造を構築する必要がある。また、広域空間単位の見直しを行い、生態系や文化による一定の自立圏としての「東北」を日本、アジア、世界の中で捉え直し、新たな発信拠点として位置付けることが重要である。
本ワークショップでは生態系、歴史文化、経済産業、日常生活など多層的な圏域レベルの分析を行った結果、様々な発見を得ることができた。特に流域圏で被災時に連携が見られた遠野〜石巻、そこに旧街道で接続されている一関、北上のような例が見られたが、これはあくまで一例であるため、具体的な展開を期待するためには、個々の自立圏で丁寧に話し合うことが重要であると思われた。
本提案では、基本的なプロセスとして、①被災1年後までに、直接被災した地域に接続される地域圏を定め、話し合いの場を用意する、②被災3〜5年後を目処に内陸や日本海側も含めた東北各地で同様の地域圏を明確化する、③被災5~8年後を目処に東北圏(新潟を含む)の連携を深める、というような具体的な展開を導くことにより、新たな自立東北圏を構築する方向性を示している。


[提案メンバー]
安東政晃(東京大学M1)、川副育大(早稲田大学M1)、米舛伊代(広島大学M1)、
奥田朋仁(東京大学M1)、畠和宏(筑波大学M2)

[サポーター]
紺谷陽平(東京理科大学B4)、関島毅(東京理科大学M2)、綾瀬友里恵(東京大学M1)

■成果物

発表用PPT(A) パネルA-1 パネルA-2 パネルA-3 パネルA-4



Group B 生活の再建プログラム

今回起きた東日本大震災により多くの方々が被災し、現在も小学校などで不便な避難生活を送っている。その居住環境は、プライバシーも充分に守られずとても良好なものとはいえない。今回の地震や津波の被害では、元の土地に戻ることが困難なケースが多いことに加え、これからまちや集落が復興し活気を取り戻すまでにはまだ時間がかかるため、人々の生活が永住の地を見つけて安定するまでの居住環境や生活再建のプログラムを考えることが重要である。
現在支給されている多くの仮設住宅や公営住宅には様々な問題があり、生活環境はあまり良いものではない。また、そこへ抽選などで入居し、新しい集団の中で生活を送ることはさらに不安やストレスが溜まる大きな要因となっている。そこで、復興までの一定期間、被災前のコミュニティをある程度維持したまま、親しい人たちと一緒に過ごせる仮設住宅や公営住宅のあり方を考え、その中での新しいコミュニティの形成を促したりすることで人々の不安やストレスを軽減し、よりよい生活環境をつくることが求められる。
本提案では、地形、生業、世帯数の特徴などに基づいた「被災地のタイポロジー」を丁寧に分析し、そこで生活していた人たちの移住パターンの一種の可能性を示している。そして、その可能性も考慮しながら、応急仮設住宅や仮設住宅から本設住宅へ至るプロセスについて、初期(3か月程度)、中期(2年程度)、長期(5~10年程度)というタイムフレームを設定して考え、個人レベルで考えられる「コミュニティの持続」と「生活の再建」のためのプログラムを提案している。

[提案メンバー]
熊坂友輝(宮城大学B3)、小松智彦(東京理科大学B4)、持田健人(神奈川大学B4)、
仁藤友理(明治大学M1)、武藤雅昭(明治大学M1)

[サポーター]
山下慶(東京大学M1)、木口彩(東京大学M2)、田中達郎(東京理科大学B4)、
本馬奈緒(宮城大学M1)、山崎大樹(東京大学M1)

■成果物

発表用PPT(B) パネルB-1 パネルB-2



Group C Re ISHINOMAKI -コンパクトシティモデルによる石巻市の復興-

3.11の大地震によって歴史的被害を受けた東日本では、地震動による被害のみでなく、多くの海岸沿いの集落や都市が未曽有の大津波によりまちの機能が失われた。特に多様な産業や人口が集積していた市街地は甚大な被害を被ったが、中でも東北第二の近代都市である石巻市は、不幸にもそのような被災都市の典型の1つとなった。
石巻では幾度にも渡る基幹産業の変移から、市街地では主に商業、海沿いでは主に漁業・工業が成り立ち、ひとびとの生活は各々のコミュニティの内部や他都市とのつながりによって保たれていた。しかし、今回の震災によって、一瞬にして、街全体が経済の循環機能を失い、さらに海沿いの人々は住まいまでも失ったのであった。
現在の石巻は、予期せぬネガティブな理由で収束せざるを得ない状況に陥っており、今後住まいを失った多くの人々がこの街で暮らしていくためには、今まで市街地・海沿いで別々の生活を営んでいた人々が共存して生活していくことが必要不可欠である。しかし、その共存復興というビジョンの前に、震災前の産業の散在に起因するコミュニティの分立という問題が存在することが今回の調査で明らかになった。
本計画では、市街地と産業地の問題点を相互補完させ、かつ今回の震災を超える災害が再び襲った時にも耐えられる防災システムを保持し得るコンパクト化した「新しい石巻の中心市街地」を提案する。この提案で目指すものは、震災によって変化せざるを得ない生活の中で、古くから存在する既存コミュニティを維持しつつ、異なった既存コミュニティ同士が密接に補完しあう事が出来る、「新たなコミュニティを再構築していく方向性とその生活のイメージ」である。いずれの日か、都市整備が完了し街が再び日常を取り戻すころには、さらなる成熟を実現する新体制がこの地でスタートすることが期待される。


[提案メンバー]
菊地明(早稲田大学M1)、小林俊之(早稲田大学M1)、曽根高麻世(明治大学M1)、
古跡匡(明治大学M1)、浅野純子(東京大学M1)、貞富雄太(早稲田大学M1)

[サポーター]
尾瀬淳裕(東京大学M2)、上田将史(東京理科大学B4)、金司寛(東京理科大学B4)、
中川那由多(東京理科大学B4)、佐野俊太郎(東京理科大学研究生)

■成果物

発表用PPT(C) パネルC-1 パネルC-2



Group D 緑地共生体 -漁港の復興からはじまる、共に生きる暮らしの再生-

東北3県における特定第3種漁港の数は全国の約3割を占めており、今回の震災は全国的な生鮮魚や水産加工食品等の流通にも大きなダメージを与えた。特に石巻漁港は長い岸壁が直線的に位置しており、漁港全体が津波によって大きな被害を受けた。そこで、津波や地震の被害から人やまちを守るとともに、これまでの生業を復興させる方策が早急に必要となっている。本提案は、これらの地域特性を踏まえた上で、石巻の歴史や過去の風景を再生することを目的とした「緑地共生体」の創造である。一点目として、生業を成立させるためのプランを時間軸で2カ月、2年、5年、10年の4つのフェーズに区切って提案する。二点目として、漁港、生業を成立させる漁師や関連従業者、そして石巻の住民、さらには存在する生態系すべてが、この緑地「体」によって災害から守られ、さらにこれを利用して生活を豊かにしていくイメージを提案する。

[提案メンバー]
中川沙織(明治大学M1)、加賀敏征(東北大学M2)、小原えり(明治大学B4)、
岩城和昭(宮城大学M2)、竹内彩乃(東京工業大学D3)、佐藤岳志(東京理科大学B4)

[サポーター]
工藤俊輔(東京理科大学B4)、飯田諒(東京理科大学B4)、関谷進吾(東京大学D3)、
武田健太郎(東京理科大学M1)、工藤茂樹(宮城大学B3)

■成果物

発表用PPT(D) パネルD-1 パネルD-2




講 師
小林正美(明治大学)、北原啓司(弘前大学)、有賀隆(早稲田大学)、岡絵理子(関西大学)、
窪田亜矢(東京大学)、倉田直道(工学院大学)、小浦久子(大阪大学)、出口敦(東京大学)、
野澤康(工学院大学)、野嶋慎二(福井大学)、宇野求(東京理科大学)、竹内泰(宮城大学)、
吉川仁(防災アンド都市づくり研究室)、小林郁雄、(神戸山手大学)、永瀬節治(東京大学)、
小池博(明治大学)、高橋潤(明治大学)

スタッフ
泉山塁威((NPO)まちづくりデザインサポート)、遠山今日子((株)アルキメディア設計研究所)




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