@活動概要

 床工事WGでは,1997年に日本建築学会の材料施工委員会内外装工事運営委員会傘下の常設委員会の一つとして設置されて以来,次のとおり,床の性能評価方法に関する調査・検討を行ってきました。
 第1段階として,国内外の基規準,規格類や学術研究成果を対象として,所定の要件を満たす種々の床の試験方法,性能評価方法をリストアップし,報告書「床の性能試験方法と性能評価方法に関する調査報告書」(2000年3月)にまとめました。
 第2段階として,リストアップされた性能評価方法を対象に,より妥当性・社会性・実用性などが高い性能評価方法を抽出,選出する作業を行い,わかりやすく整理しました。そして,2004年4月にシンポジウムを開催し,「床の性能評価方法概要集」(2004年4月)として発表しました。
 第3段階として,評価方法が抽出,選定された性能項目を対象に,日常の安全性や居住性の観点から見た推奨値(案)を,学術的根拠に基づいて設定する作業を行いました。そして,2008年6月4日にシンポジウムを再度開催し,「床の性能評価方法の概要と性能の推奨値(案)」として発表いたしました。
 2013年4月より床性能評価指針検討小委員会に組織名称が変更され,「床の性能評価方法の概要と性能の推奨値(案)」に基づいた「床性能評価指針・同解説書(仮称)」の検討をしています。

 →抽出した床の性能評価方法と推奨値を設定した性能項目の一覧へ       







A本小委員会が考える「性能」とは?

 性能とは,床工事WG当時のメンバーの一員であった東京工業大学名誉教授小野英哲博士の定義に従い,「使用者にとってのモノの良し悪しを定量的に示すもの」としています(使用者:最終的に物を使う人,エンドユーザー)。
 単に物の性質,特性を表す物性指標は,品質管理上必要不可欠な指標ではありますが,性能とはみなさないこととしています。
 性能はエンドユーザーにとってのモノの良し悪しを表すものですので,その評価の対象も実際に使用される状態のモノ,すなわち「有り姿」のモノである必要があります。
 近年は,「性能」の時代といわれるようになってきていますが,その理由は,床をはじめとする建築各部位の材料,構法が急激に多様化し,一般の使用者はもとより,専門家であってもすべての材料,構法の性質,特性を経験的に把握しきれなくなってきたこと,一方では使用者の建築に対する要求が多様化し,個々の要求に合理的に対応できるシステムが必要となってきたことにあるといえます。

                                                    







B性能評価方法とは?

 Aで述べましたように,性能評価方法は様々な材料,構法の床の評価値を求めて,目的にあった材料,構法を選定するツールとなるものですので,次の3つの用件を具備する必要があります。

   ◆エンドユーザーからみたモノの良し悪しを,定量的に表示できなければならない
   ◆材料,構法のいかんにかかわらず,共通の方法で評価できなければならない
   ◆有り姿での評価ができなければならない

床の性能評価方法の概念図を図1に示します。一般に,性能評価方法は,性能を表す数値を測定するための測定方法と,測定の結果得られた数値を照合して評価するための評価指標から構成されます。測定方法と評価指標の対応の例を図2に示します。

 床にはさまざまな外力が働き,これらの外力に対して床は何らかの応答を示します。そして,床の応答に対して人間や機器・物品等は何らかの反応を示します。ここで,床に作用する外力を標準化し応答を求める条件を規定したものが測定方法であり,床の応答と人間や機器・物品等の反応との関係を定量的に表示したものが評価指標ということになります。

 評価方法がこれらの要件を満たすためには,次のことが必要になります。

    (ア) 実際に床に作用する外力を詳細に把握し,実状に即した外力に標準化する。
    (イ) 床の応答の良し悪しに関する人間や機器・物品等の反応を定量化する。
    (ウ) 標準化した外力による応答の測定結果から定量化した人間や機器・物品等の反応と対応する指標(数値)を抽出する。










                


                 






C床工事WGで抽出した床の性能評価方法と設定した推奨値

 @で述べましたとおり,床工事WGでは,妥当性・社会性・実用性などが高い性能評価方法を抽出して整理しましたが,これらはABに述べた要件を満たすものとして抽出したものです。
 また,妥当な評価方法が確立されている性能項目の中から,推奨値(案)を設定しましたが,次の考え方に基づいて設定しました。

・妥当な評価方法が確立されている性能項目でも,現状で提示されている評価指標が相対的な評価を 与えるのみで,絶対評価ができない項目
 に関しては,推奨値(案)は設定しない。
・妥当な評価方法が確立されていても,現段階ではその評価方法があまり利用されていない場合は,推奨値(案)の設定は見送る。
・既に日本建築学会などから推奨値,あるいはこれに代わるような値が提示されている性能項目に関しては,新たな推奨値(案)の設定はしない。