2026年度日本建築学会大会研究懇談会(都市計画部門)「場所の認識と実践から考える新たな都市の価値:社会実装に向けて」
日時 :2026年9月8日(火)13:30~17:00
会場 :安田女子大学 5号館 第H室
司会 斎尾直子(東京科学大学)
副司会 三井健吾(東京科学大学/(社)柏アーバンデザインセンター)
記録 小西千秋(東京電機大学)
日本建築学会都市計画本委員会では、本年度の大会において、新たな都市空間形成の価値実体化小委員会の企画による「場所の認識と実践から考える新たな都市の価値:社会実装に向けて」と題して研究懇談会を開催いたします。
近年において都市・地方再生にかかる課題がますます輻輳化、複雑化しているように思われる。建築計画では、施設から地域等への広がりを意識して拠点づくり等の方法が模索され、また、都市計画ではその対象範囲を適正に狭めていく手法が検討されている。いずれのアプローチも重要であるが、財政も含めた社会そのものの縮小を鑑みれば、ハードとソフトの複合的な作用により生み出される空間を指向する考えは、本来的に都市空間が有する特性として注目に値する。特に、都市を象徴し、核を成す中心的な空間においては、建築が都市との相互関係を確認しながら目論まれ、実現していくプロセスの中で、アイデンティティが形成されることで、コミュニティの支柱となる総合的な空間性に近づくと考えている。
大学キャンパスにおいて培われてきた独特の空間性は、時代の社会的、経済的なニーズや変化に直接的に即応することなく、大学の歴史・文化を継承することに軸足を残すことで、形作られてきた。これは、大学が有する多様な機能が、それらの機能に応じて空間を必要としたことにも起因する。単体の建築物等にとどまらず、“移動のための空間”、“思索のための空間”、“知の拠点としての図書館”などが一体となって総合的に計画・設計された結果といえる。適度な低密度を維持しており、「余白」の空間を持っていることは、キャンパスにとって有益ともいえる特性としてあげられ、キャンパスマスタープランにおいてもその精神は受け継がれている。また、建学の精神と、建学以来の歴史がもたらすアイデンティティにも関わるような特有のキャンパス空間は、大学関係者にとどまらず、多くの人々に認知され、親しまれているシンボル空間となっている。近年では、機能更新や改修に伴ってラーニングコモンズやイノベーションコモンズ等が、時代にアップデートされた新たなシンボル(的)空間となりつつある。特筆すべきは、それらに集う者たちの交流等による空間の使いこなしから愛着が醸成され、さらには先進的知的生産の場所としての使命をも帯びて空間が実現していることである。
ここでは、キャンパス空間という固有性の高い空間を解釈、解析し、その成立状況を都市空間形成における新しい価値と位置づけ、現代都市の整備や改修等に結び付ける基本的な法制度を考えたい。これは縮小社会や複雑化する社会課題に対応していく、都市及び建築の振る舞い方を定義づけることになると考える。
1.主旨説明 土田寛(東京電機大学)
2.主題解説
❶共創と公共性 恒川和久(名古屋大学)
❷歴史と場所性 小貫勅子(東北大学))
❸境界と融合 吉岡聡司(高知高専)
❹余白と適疎 小篠隆生(㈳新渡戸遠リビングラボ
❺時間と空間 平賀達也(ランドスケープ・プラス)
❻空地の再編 土田寛(前掲)
3. 討論
4. まとめ 池内祥見(大阪大学)
