審査委員長(互選)
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竹原 義二 |
審査経緯 平成14年度、近畿地区短大・高専・専修学校、並びに工業高校「卒業設計コンクール」(第57回)の審査は、平成15年4月8日、大阪科学技術センター会議室において、6名の審査員(1名欠席)によって行われた。
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審査概評 応募作品の図面枚数が回を重ねるごとに多くなってきているようだ。多分それは手書き図面からCADを駆使した図面に変わろうとしている過渡期であるからかも知れない。質の高いプレゼンテーションは佳作ぞろいの作品を排出している。 (竹原)
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『Renovation Kodan Danchi』 奈良市中登美ヶ丘に位置し、築35年をむかえた中登美団地の再生・改造計画である。既存建物の構造壁だけを残して空のヴォイドとし、そこに新たなプランの増築ユニットをはめ込むことによって、それまでの建物のスケール感を踏襲し、何よりも建物のまわりに広がる外部空間を変わらずに継承しようとする意欲的な提案になっている。また、ヴォイドとなった一部の住戸は、1階では通り抜けのピロティ、上部では住人が自由に使用できるフリースペースとされていて、増築部分の凹凸あるデザインとともに、外観に変化とリズムを与えている。さらに、スロープ状のブリッジが住棟間を結び、屋上に庭園を配置するなど、立体的な結びつきも作り出されている。そして、単身者から核家族、2戸をブリッジで結んだ2世帯用までヴァリエーションに富む14タイプのプランや、ガルバニウム鋼鈑の外装とナラフローリング、珪藻土の内装との対比も含め、練り込まれた設計に説得力が感じられる。構造壁の残し方については実現性に難はあるものの、既存の団地を現代のデザインによって再生しようとする作者の姿勢に共感を覚える作品である。 (松隈) |
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REVERSIBLE SITE IN 50% 松尾くんの作品は、30年前は田畑に囲まれ光を十分に取り込めたが周囲の開発によって光を奪われてしまった祖父母のための家の計画である。 (中江) |
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気持ちのろ過器 本作品は神社の境内に設けた、様々な心に訴えかける装置のデザインであるが、装置を超えて環境、更には建築としての空間に昇華しようとしている点を評価した。 (山本) |
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『京 〜現代建築による京都の保存〜』 京都らしい風情と街のにぎわいが共存する木屋町通りにある旧・立誠小学校を敷地とする貸し店舗と文化資料館からなる複合施設の提案である。ここでは、周囲に残る京都の町屋と共存できる現代建築のデザインが試みられている。中でも、横を流れる高瀬川沿いに遊歩道を設けながら、1階部分の大半をオープンスペースとして開放し、ミニ庭園と枯れ山水の庭、ライブ活動も行える野外ステージ、露店が並ぶ広場などを上手に配置している点が特に目を引いた。また、上部にも空中庭園や中庭を設け、小さなスケールの空間を随所につくるなど、ここを訪れる人々の見る―見られる関係があちこちに生まれるような工夫が施されている。全体の空間構成やドローイングのセンスについても、高校生とは思えないほどレベルが高く、審査員のほぼ全員の支持を得た作品である。敷地に対してシンメトリーな建物であること、立面のデザインがやや単調で周囲に対して寡黙に閉じ過ぎている点など異論もあるが、京都の町をより身近な施設によって少しでも開こうとする問題意識に共感と敬意を覚える作品である。 (松隈) |
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グループホーム 本作品は、学生寮に周辺の人々のための交流施設を併設した案である。両者を空間的に関係づけることで、建物の全体が地域に開かれた場となるよう計画がなされている。さらにゆったりとした構成によって、この施設が作者の意図する癒しの場としても機能するであろうことが想像できる。 (戸田) |
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Hospital この作品は,大阪市の中心部,南久宝寺に病院を計画したものである。提出図面は,設計趣旨から配置図,平立断面図,パースと奇をてらわないオーソドックスであり好感が持てた。また,CGによるパースは,教育段階での是非は問われるので手放しで賞賛できないが,この段階での高いレベルは非常に評価された。 (横田)
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No |
作 品 名
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学生氏名
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大 学・学 科
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図面
枚数 |
1 |
『OCT B号館給排水・消火設備』 |
中村 武史
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大阪工業技術専門学校建築設備科 |
18
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2 |
樫野崎燈台旧官舎と前広場の利用計画案 |
多田 育生
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大阪工業大学短期大学部建築学科 |
4
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3 |
川とふれあう場所 |
大橋 純二
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専門学校アートカレッジ神戸建築デザイン学科 |
3
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4 |
相対すること 〜保津川下り乗り場〜 |
畠山 悟
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京都国際建築技術専門学校建築科 |
6
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5 |
C,C墨染 〜親子で楽しむカルチャーセンター〜 |
澤田 美甫
他2名 |
聖母女学院短期大学生活科学科 |
9
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6 |
SEMBA CENTER.COM |
佐藤 暢人
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中央実務専門学校建築設計科(夜間部) |
27
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7 |
場所の記憶 |
赤松 達也
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神戸電子専門学校情報処理学科 |
5
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8 |
『Renovation Kodan Danchi』 |
藤田 一博
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大阪工業技術専門学校建築学科 |
10
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9 |
ほんわか村 〜ユニバーサル デザイン コミュニケーション センター〜 |
井上 尚美
他3名 |
大阪青山短期大学生活科学科 |
15
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10 |
駅ターミナルビル |
松井 直仁
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修成建設専門学校都市開発工学科 |
14
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11 |
「BIG WING」 |
本母 茂樹
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姫路建設専門学校建築工学科 |
3
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12 |
Base for Kids |
本山 愛
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中央実務専門学校建築工学科 |
6
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13 |
「water land」 |
水谷 恭子
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平安女学院大学短期大学部生活学科 |
6
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14 |
「矛盾の建築物」 景観都市京都 |
高津 宏光
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京都建築専門学校建築科二部 |
8
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15 |
mugen memorials |
久米伸一郎
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修成建設専門学校建築工学科(夜間部) |
7
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16 |
「お互いがクライアントになるデザイン」 |
南 加奈子
宮本 早苗 |
大阪市立デザイン教育研究所デザイン学科 |
35
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17 |
『新しい町屋』 |
中 大輔
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大阪工業技術専門学校建築総合学科 |
41
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18 |
REVERSIBLE SITE IN 50% |
松尾 健治
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明石工業高等専門学校建築学科 |
6
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19 |
東京ディズニーランドに建つレストラン 〜DREAMS〜 |
杉本 絵麻
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梅花短期大学生活科学科 |
1
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20 |
connected spider |
魚谷 将之
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修成建設専門学校建築工学科 |
8
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21 |
気持ちのろ過器 |
松田 亜希
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中央実務専門学校建築設計科 |
14
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22 |
「外でも本が読めるライブラリー」 |
安田 愛
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京都情報ビジネス住環境専門学校環境デザイン学科 |
5
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(受付順)以上22点 |
No |
作 品 名 |
学生氏名 |
所 属 |
図面 |
1 |
SATISFIED SPACE ─満ち足りた空間─ |
谷 華英
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滋賀県立八幡工業高等学校建築科 |
9
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2 |
阿倍野区コミュニティセンター新築計画 |
新井 陽向
他2名 |
大阪市立工芸高等学校建築デザイン科 |
9
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3 |
旅館 |
橋本千与治
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大阪工業大学高等学校建築科 |
11
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4 |
『京 〜現代建築による京都の保存〜』 |
福田 勇気
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京都市立伏見工業高等学校建築科 |
10
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5 |
「Banboo Park 竹炭物語」 |
岸本 恭明
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兵庫県立龍野実業高等学校建築科 |
6
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6 |
グループホーム |
仲山佳菜子
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兵庫県立豊岡実業高等学校建築科 |
10
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7 |
Hospital |
谷川 弘輔
|
大阪市立都島工業高等学校建築科 |
10
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(受付順)以上7点 |