戸建住宅または宅地(土地の場合は借地も含む)の取引に際して、契約を行う前に宅地建物取引主任者(※1) (通称“宅建”と呼ばれています)がその宅地や建物についての「重要事項」を書面にして説明しなければいけないことになっています。 また建築家や工務店などに住宅の設計を依頼するときには、依頼された建築士が設計内容・監理業務(※2) について「重要事項」を書面にして説明しなければなりません。 さらに、工事を施工する施工業者は住宅に隠れた不具合(完成時には判らなかった雨漏りや床の傾斜など) があったときに対応できる資金的な裏付けがあること(※3) を、「重要事項」として書面にして説明しなければいけないことになっています。 すなわち、戸建住宅または宅地を購入したり家を建てたりする場合には表1に示すような時点で「重要事項」の説明を受けることになります。

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表1 重要事項説明を受ける時点と内容

ケース重要事項説明を受ける時点重要事項説明の内容
土地を購入売買契約に際して土地に関する事項
土地を借りる(借地)賃借契約に際して土地に関する事項
新築の建売住宅を購入建売住宅の売買契約に際して土地・建築・周辺環境に関する事項
施工(工事)に関する事項
中古の住宅を購入中古住宅の売買契約に際して土地・建物・周辺環境に関する事項
土地を購入し住宅を建てる土地の売買契約に際して土地に関する事項
設計・工事監理契約に際して設計・工事監理に関する事項
工事請負契約に際して施工(工事)に関する事項
中古住宅を購入し建て替える中古住宅の売買契約に際して土地・建物・周辺環境に関する事項
設計・工事監理契約に際して設計・工事監理に関する事項
工事請負契約に際して施工(工事)に関する事項
古い住宅を建て替える設計・工事監理契約に際して設計・工事監理に関する事項
工事請負契約に際して施工(工事)に関する事項

 この「重要事項」の説明の内容には専門的な言葉が使われることも多く、十分理解しないで契約してしまうと、計画していた住宅を建てることができない、予想していない住環境、近隣とのトラブル、などの事態を招きかねません。

「重要事項」に関する説明を契約当日に始めて聞き、内容を確認する時間が無いという事態にならないために、事前に説明書類を入手し、判らない点は説明を求めるなどして、その内容を良く理解してから契約するようにしましょう。  

重要事項として説明される内容を理解して戸建住宅や宅地の購入を判断するのが理想ですが、非常に難しいケースや裁判をしないと決まらない複雑なケースもあります。

重要事項説明の概要を、戸建住宅または宅地の取引に関しては3章で、設計と監理に関しては4章で、施工に関しては5章で紹介し、判断が難しく第三者の専門家の意見を聞いたり、購入を見合わせた方が良い事例を 「注意すべき点(グレーゾーン)」として下記の4つの場合に分けて紹介しますので参考にしてください。

  • A)建物や周辺環境に関する事項           ・・・3章
  • B)土地権利の取得(購入または借りる)に関する事項 ・・・3章
  • C)戸建て住宅の設計と監理に関する事項       ・・・4章
  • D)戸建て住宅の施工(工事)に関する事項      ・・・5章

表1に示しましたが、戸建住宅を購入する場合は、A)とB)とD)、土地を購入して建物を新築する場合はA)からD)まで全ての重要事項説明が行われます。

(※1)宅地建物の公正な取引が行われることを目的として定められた国家資格
(※2)設計図通りに工事が行われているかを確認する業務
(※3)住宅瑕疵担保責任保険または住宅建設瑕疵担保保証金の供託に関する情報。