2. 重要事項説明時をトラブル予防に生かす

2) 不動産取引での苦情・相談件数とは?

国土交通省による宅地建物取引業法施行状況調査の結果1)を見てみましょう。 平成19年度に国土交通省及び都道府県の宅地建物取引業法主管部局の本局・本課(以下「宅地建物取引業主管課」という)などで 対応した宅地建物取引業者の関与する宅地建物取引に関する苦情・紛争に係る来庁相談件数は3,790件です。このうち、 2,664件については、宅地建物取引業主管課にて対応されているとのことです。その相談の取引様態別苦情・相談件数が図2-1です。 売買に係る紛争は907件、34%を占めています。参考までに、売買での物件の種類別の内訳は、図2-2のように宅地が34%、 土地付き建物新築23%、マンション新築21%の順となっています。

img 図2-1 取引様態別苦情・相談件数1)

img 図2-2 売買に関する苦情・紛争相談件数1)

不動産の売買における苦情・紛争相談の主要原因は、図2-3の過去3年間の推移をみると、 重要事項説明に関する内容が不告知も含めてトップとなっています。このことからも、重要事項説明は、 住宅の売買において非常に注意しなければならないことだとわかります。重要事項説明のどの部分が多く主要な原因となっているかは、 件数としては明らかにされていませんが、国土交通省により制作され不動産適正取引推進機構で運営されている紛争事例のデータベース2) にてトラブル事例が紹介されています。是非、参考にしてください。

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図2-3 主要原因別の苦情・紛争相談件数の構成比推移1)

参考文献
1) 北埜順:宅地建物取引業法施行状況調査(平成19年度)の結果について, RETIO, No. 71, 財団法人不動産適正取引推進機構, 2008年11月
2) 国土交通省・不動産適正取引推進機構:不動産トラブル事例データベース, http://www.retio.or.jp/trouble/index.html
トラブル事例大項目が重要事項説明に関するものについては
http://www.retio.or.jp/cgi-bin/trouble/search2.cgi?bigcategory=1