住まいは私たちにとって生活の基盤であり、同時に社会の基盤でもあります。住まいづくりでは、住み心地のよい快適な空間を創造することだけでなく、安全安心の確保、家族構成の変化、地球環境の保全、文化の継承などにも対応する必要があります。これらの観点を踏まえて、今後何世代にもわたって使うことのできる持続可能なよりよい建物を、社会資産として次世代に残していかなければなりません。
日本建築学会住まいづくり支援建築会議は、優れた社会資産としての住宅・建築の実現を支援することを目的として2006年4月に発足しました。2005年の耐震強度偽装事件を踏まえ、住まいづくり支援建築会議情報事業部会では、まず新築マンションを購入する方に向けたホームページ「新築マンションを選ぶときには」を2007年10月に公開いたしました。その後、戸建住宅に関する情報を充実させるため、2009年4月に戸建ワーキンググループを設置し(2010年4月に戸建住宅分科会に改組)、作業を行ってきました。本ホームページ「戸建住宅にかかわる重要事項説明のチェックポイント」では、新築だけでなく中古住宅も視野に入れ、一戸建てに焦点を当てた情報提供を行っています。
住まいに関する情報は、書籍やインターネット、テレビ番組など実に多くのメディアで提供されています。その中でもこのホームページの特徴は、住まいづくりのさまざまな場面における「重要事項説明」を軸に、学術団体としての中立な立場から情報提供を行っていることです。住まいづくりに関わる法律では、トラブルが多い事案について、設計者・施工者・不動産事業者といった専門家に説明を義務付けていますが、法の網には限界があります。これを補うためには、市民の側が慎重に確認すべきポイントをしっかりと押さえコミュニケーションを図ることが大切です。
本ホームページが市民の方々の納得がいき満足する住まいづくり、愛着を持って次の世代まで残すことができる住まいづくりに役立てば幸いです。
2011年3月
住まいづくり支援建築会議 情報事業部会長
小檜山雅之