第6回「歴史・意匠・批評のロゴス-神代雄一郎のアクチュアリティ」
今回のセミナーでは,明治大学において研究・教育活動に従事するとともに批評家として活躍した神代雄一郎の業績をふり返り,建 築批評の現在を問い直してみたい。神代雄一郎は近代建築思潮の研究を起点に,デザインサーヴェイ,コミュニティ論,日本建築空 間論など,多岐にわたる調査や研究をとおして独自の生成論を展開した。さらその活動はアカデミズムの枠を越え,批評家として同 時代の建築デザインに積極的に関わり,戦後の建築批評の分野でおおきな役割をはたしたといえる。建築のあり方と建築家の態度が たえず真摯に議論された,建築批評の熱い時代を形づくった中心人物のひとりである。神代はまた,批評の立脚点を求めて,近代建 築の源流,日本建築の源流へと関心を向けていったが,そこで洞察されたのがコミュニティという社会の単位であり,「九間」とい う空間の単位だったと言える。歴史は同時代の建築意匠に対する批評へと,つねに差し向けられていたのである。いま,歴史,意匠 は同時代の状況に批判的にかかわっているだろうか。建築論はいま批評として機能しているだろうか。建築批評の現状と新たな可能 性を考えてみたい。
日時 :2003年11月29日(土) 14:00-17:30
会場 :明治大学リバティタワー 12 階 1123 教室
主旨説明 :前田忠直(京都大学)
講演 :山口 廣(日本大学名誉教授),磯崎 新(建築家)
対談 :磯崎 新,山口 廣,聞き手:藤岡洋保(東京工業大学)
司会 :田路貴浩(明治大学)
質疑・討論:前田忠直,小林克弘(東京都立大学),岸田省吾(東京大学),林 一馬(長崎総合科学大学)
まとめ :藤岡洋保
・配布資料あり