book書籍「マンションの選び方、育て方」 長く暮らすためのマンションの選び方・育て方
日本建築学会 編
彰国社 刊
2008年8月 出版
四六・192頁・定価1,890円(本体1,800円)
ISBN 978-4-395-01210-7 C3052
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情報事業部会では、8月に刊行した「長く暮らすためのマンションの選び方・育て方」をテーマに、市民向けセミナーを行っています。第2回セミナーは詳細が決まり次第、追ってご案内申し上げます。

●問合せ先
〒108-8414
東京都港区芝5-26-20
(社)日本建築学会事務局 
セミナー係 川田昭朗

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Fax. 03-3456-2058,
E-Mail: kawata@aij.or.jp

新築マンションを選ぶときには >II.建物性能を見極める >7.さまざまな環境-音

新築マンションを選ぶときには

7.さまざまな環境-音

1)静かな環境となっていますか?

a)マンションにおける音環境について

 生活をしていると、様々な音に囲まれることになります。マンションにおいて、居住者が考える短所の一つとして、周辺住民へ音の配慮をしなくてはいけない点があります。※1

 ここではマンションならではの配慮すべき音について解説します。

※1 (社)日本住宅建設産業協会 住宅に関するニーズについてのアンケート調査
http://www.nichijukyo.or.jp/060728needs.html
・屋外から侵入する音
駅や幹線道路に近いと生活には便利ですが、その分外部騒音の発生源が近いことにもなります。 また、眺望が良い住戸の場合も騒音対策がなされていない場合は、直接生活空間に騒音が侵入することになりますので注意が必要です。
・建物の中で発生する音
マンションは、構造体を共有しているため、上下や左右の住戸で発生した音が聞こえることがあります。また、外部騒音対策がしっかりとなされている場合、深夜の住戸内がとても静かになりますが、その分上記の音が気になることがあります。マンション購入の際には、上下階や隣室間の音対策の程度を確認しましょう。
・住戸内で発生する音
生活に伴い、住戸内では炊事、洗濯、掃除等で音が発生しますが、通常のマンションは住戸内で発生する音に対して特別な対策はしていません。ただし、稀にピアノ等の楽器を演奏するために、防音仕様の居室にする場合があります。

b)外部からの音の遮断

 マンションの構造体は外部からの音を透過しづらいコンクリートの場合が多いので、音の遮断対策としては窓や玄関ドア等の開口部が中心となります。

 窓の音の遮断性能は、一般的にシングルサッシよりも二重サッシの方が優れています。二重サッシは前述した結露防止にも有効ですが、外部からの音の遮断にも効果的です。

 玄関ドアの場合も同様に、「防音タイプ」と表示されたものがあります。窓や玄関ドアの音の遮断性能を示す指標として、「透過損失」というものがあり、値が大きいほど遮断性能が優れていることになります。購入するマンションの窓や玄関ドアの透過損失がどの程度であるか、確認するようにしましょう。

c)建物の中の音の遮断

 集合住宅で快適に住まうには音が重要な要素であることは前述のとおりですが、上階の床や隣接住戸の壁越しに聞こえてくる音に対しては、建物の遮音性能が悪いと不満に感じる傾向にあります。

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出典 日本建築学会編:建築物の遮音性能基準と設計指針

・上下階に伝わる音の対策

 上階で物が落ちたり、子供が飛び跳ねたときに発生する階下へ構造体を伝わる音を床衝撃音といい、軽量床衝撃音と重量床衝撃音に分類されます

軽量床衝撃音(LL)

重量床衝撃音(LH)

軽くてかたいものの落下音

「コーン」と言う甲高い音

スリッパやスプーンの落下

重くてやわらかいものの落下音

「ドスン」という鈍く低い音

子供の飛び跳ね

 軽量衝撃音に対する遮音等級はLL、重量衝撃音に対する遮音等級はLHとあらわされます。目安として数値が小さくなるほど、遮音性能がよくなります。

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出典 日本建築学会編:建築物の遮音性能基準と設計指針

 床の遮音性能は、床スラブの厚さや表面仕上げ、部屋の面積などが関係します。

 表面仕上げをカーペットにしてその下に不織布を敷くと、軽量衝撃音はほとんど気にならなくなりますが、フローリングの場合は、カーペットより軽量衝撃音が伝わりやすく、注意が必要です。

カーペット仕上げ

直床(直貼)

二重床(置床)

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図 集合住宅の床の施工例

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出典 日本建築学会編:建築物の遮音性能基準と設計指針

・隣住戸間に伝わる音の対策

 隣住戸を隔てた話し声やテレビの音なども、建物の性能に対する不満につながりやすい空気伝播音です。壁の遮音性能は室間音圧レベル差(Dr)であらわされ、数値が大きくなるほど遮音性能がよくなります。

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 壁の遮音性能にも、壁の厚さなどの建築構造体の状態が大きく影響します。界壁にすきまやコンセントボックスをつけると、遮音性能が低下します。

 なお、住宅性能表示では界壁の遮音性能を下表の4等級で評価しています。

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住宅性能評価機関等連絡協議会
 http://www.hyouka.gr.jp/seido/shintiku/05-8.html

・共用設備の音

 共用のたて配管と近接する部屋では他住戸の給排水音が気になることがあります。フリープランのマンションなどでは、自室だけでなく近接住戸の影響もうけることがありますので、上下階でサニタリー空間と居室(特に寝室)が重ならないようにしましょう。

 また、以外に盲点なのが、エレベーターの音です。住戸に隣接してエレベーターが配置されている場合や、玄関や共用廊下側の個室のすぐ傍にエレベーターがある場合は、エレベーターの稼動に伴う音が気になることがあります。購入を検討する場合は住戸の配置にも目を配ることが大事です。

d)住戸内で発生する音の遮断

 住戸内で発生する音については、建物性能への不満とは直結しにくい傾向にありますが、生活時間の異なる家族のいる場合、夜間は洗濯機や掃除機など、音の出やすい家電の使用を控えるなどの配慮をしましょう。