book書籍「マンションの選び方、育て方」 長く暮らすためのマンションの選び方・育て方
日本建築学会 編
彰国社 刊
2008年8月 出版
四六・192頁・定価1,890円(本体1,800円)
ISBN 978-4-395-01210-7 C3052
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情報事業部会では、8月に刊行した「長く暮らすためのマンションの選び方・育て方」をテーマに、市民向けセミナーを行っています。第2回セミナーは詳細が決まり次第、追ってご案内申し上げます。

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(社)日本建築学会事務局 
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E-Mail: kawata@aij.or.jp

新築マンションを選ぶときには > III.長く住むために > 3.ライフステージとのマッチング

新築マンションを選ぶときには

3.ライフステージとのマッチング

1)ライフステージの変動にともなう住まい方の変化を考えてみましたか?

 住宅を選ぶ場合には、今の状況はもちろん、家族のライフステージの変動などについても検討しておくことが必要です。とくにマンションの場合、増築ができないことや、リフォームを行う際には構造上の制限があったり、管理組合への許可が必要だったりと、様々なことを考える必要があります。

 ある程度の将来を見据えて選ぶことが重要だといえるでしょう。

 とくに子供部屋なども、引っ越し時に幼児だった場合でも数年後には小・中学生とどんどん成長していきますので、家具などをレイアウトした部屋のイメージなども検討しておく必要があります。

 さらに子供が独立した後の空き部屋の有効活用や、家族の高齢化に伴う対応など、住まい方や要求される機能が変化していくことを理解しましょう。

 10年、20年先のライフステージの変動を予測することが難しい場合は、可変性のある間取りを選択しておくと、住まい方の変化に柔軟な対応ができるでしょう。

2)リフォームすることも具体的に考えてみましたか?

 新しいライフステージへ変化した場合は、新しいライフステージに合わせたリフォームをすることも一つの手段です。またメンテナンスなどを行って劣化部分や老朽化部分を修繕し、長く使用できるようにしておくことも大切です。

 マンションでのリフォームを行い場合は、「専有部分」と「共用部分」についてよく把握しておく必要があります。というのも、基本的には専有部分のみがリフォームできる範囲となるからです。マンションの場合、増築はできませんし、外壁部分である窓の大きさを変えるといったリフォームはできません。

リフォームができるところできないところ(○×で表記)

※リフォームができるところできないところ(○×で表記)

図 専有部分と共用部分の一般的な概念図

 出典 東京ガスリモデリング㈱のホームページより引用

 部屋のリフォームについては、構造についてもよく知っておく必要があります。マンションの主要な構造体である柱・梁・壁は、外したりなどの変更できません。構造的に問題がない範囲内であれば間取り変更は可能です。具体的に言えば、「ラーメン構造」の場合は建物を支えている柱や梁を削ったり外したりはできません。「壁構造」の場合も、外したり穴を開けたりすることはできない壁の部分が大半になります。自分の家がどのような構造なのか、よく確認しておきましょう。

 玄関や窓サッシのリフォームは、対象部分がマンションの共用部分なので、勝手にリフォームすることはできません。ただし、防音や気密効果のために、窓の内側を二重サッシにしたり、玄関ドアの内側を塗り替えたりすることは一般的に可能ですが、これらも管理規約で確認しておく必要があります。

 またバルコニーやフェンスも共用部分です。一戸だけバルコニーを塗り替えたりすることはできません。1階住戸の専用庭のフェンスや植栽を変えることもできません。

 

 

 

 床や家の内部の内装などは専有部分の範囲なのでリフォーム可能です。ただし、マンションによっては騒音などの点で階下に迷惑がかかる場合もあり、管理規約や使用細則などによって制限される場合もあります。このような内容については、管理規約で確認し、必要に応じて管理組合から許可をもらった上で工事を行う必要があります。

 キッチンや浴室、トイレなど、水回りの変更には壁内や天井部分、床下など、見えない部分の配管の影響もあり、多くの制約があります。位置の移動は難しい場合もあり、無理に移動すると費用が多くかかる場合もあります。

 設備機器のリフォームを行う場合は、管理組合で保管している配管図面や構造図面を入手し、専門家に相談してみることも一案です。

 このように部位やリフォームの内容によって、マンションでは管理組合の規約を確認し、必要に応じて許可を得なければならない場合があるということを十分に理解しましょう。

3)リフォームにともなう確認事項をチェックしてみましたか?

 リフォームを行う場合は、家族全員で不満点や改善部分を整理し、ニーズに合ったリフォームをしっかり把握した上で行いましょう。リフォームの計画が決定したら、スケジュールもふまえつつ、必要な手続きを行いましょう。

 まずは工事の内容が管理規約に反していないか確認し、必要な内容については管理組合に許可をとりましょう。

 なお、住宅性能表示制度の活用も検討してみましょう。これは国土交通大臣の指定住宅性能評価機関が、第三者的な立場から部位別に住まいの劣化・不具合等の痛み具合や性能を検査・評価する制度です。住まいの劣化・不具合等の痛み具合や住まいの性能が客観的にわかるので、今後の適切なリフォームや修繕の目安にもなりますし、既存住宅の売買時にも役立つ可能性があります。

 さらに資金計画も重要なポイントの一つです。自己資金だけで不足する場合は、公的融資や民間金融機関の融資などが利用できる場合もあります。現状の経済状態をふまえつつ、計画しましょう。リフォームの内容によっては自治体から補助や助成が受けられることもあるので、上手に活用しましょう。

OZONE家づくりサポート:マンションスケルトンリフォーム(建築家のリフォーム実例など)
http://www.ozone-reform.com/
http://www.ozone.co.jp/housing/index.html
ホームクリップ:マンションスケルトンリフォーム
http://www.homeclip.co.jp/mansion/index.htm
リフォーム支援ネット(リフォネット)
http://www.refonet.jp/search/index.php
マンションリフォームの基礎知識(マンションリフォーム推進協議会)
http://www.repco.gr.jp/j/chishiki/seiko_saseru.html
http://www.sumai-info.jp/reform/chishiki/mansion.html