book書籍「マンションの選び方、育て方」 長く暮らすためのマンションの選び方・育て方
日本建築学会 編
彰国社 刊
2008年8月 出版
四六・192頁・定価1,890円(本体1,800円)
ISBN 978-4-395-01210-7 C3052
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情報事業部会では、8月に刊行した「長く暮らすためのマンションの選び方・育て方」をテーマに、市民向けセミナーを行っています。第2回セミナーは詳細が決まり次第、追ってご案内申し上げます。

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〒108-8414
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(社)日本建築学会事務局 
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新築マンションを選ぶときには >IV.資金と契約 > 1.資金と契約

新築マンションを選ぶときには

IV.資金と契約

1.資金と契約

1)売買契約時に留意が必要なのはどのようなことですか?

 マンションのモデルルームの見学や、住宅情報誌などでの検討を終えた上で、いよいよマンションの購入の申し込みを行いますと、いろいろな手続きや書類が必要であることに驚かされます。人生最大の買い物で失敗は許されないわけですから、そう簡単に買ったり売ったりできてしまうのは逆に問題でもあります。

 マンションの販売業者から渡される書類は、必ず目を通し保存しておくことが必要です。特に重要となる書類は、パンフレット、間取り図、建築関係の書類、重要事項説明書、管理規約(案)、各種使用細則、ルール(案)、長期修繕計画(案)などです。売買契約までにそれぞれの内容を十分にチェックしておきます。

 そして、いよいよ建物が完成し、売買契約を締結するときには、再度、今まで渡された書類と売買契約書の内容をよく読みます。重要事項説明で説明されていたことが変更されていることがあるかもしれません。例えば、重要事項説明では、駐車場(機械式)台数が全戸分確保されているとされていたのに、着工後の近隣住民とのトラブルで、そのうちの一部が使用できなくなったなどです。もう契約を目前としているところでこのような変更を説明されても、直接自分に被害がなければあまり気にしないで契約を進めてしまうでしょう。室内の専有部分についても知らないうちに変更がなされていることもあります。左に側に開くはずだったドアが右開きとなっており、そこに置くつもりだった家具が設置できなくなった。トイレはモデルルームでは最新式のものが設置されると聞いていたのに、在庫がないということで片落ちした一世代前のものが設置されていたなどです。

 書類上の文字の確認は最も重要です。それに加えて、建物自体とのチェックをしっかりと行い、わからないことは十分納得できるまで説明してもらうようにしましょう。

 後から重大なことに気が付いても、「それは説明しました。」とか、「ここに(購入者が気が付かないようなところに)書いてあります。」というようなことが多く、ひどいときには「買ったほうの責任」とまで言われることもありますので、細心の注意が必要です。

 買うことに関する行為(手続き)は一瞬ですが、そのマンションには家族が長い間住むことになります。買ったときの失敗は、家族間のトラブルをも引き起こしますので、購入手続きは慎重に行うとともに、家族で十分話し合っておくなど、契約内容をみんなで一つずつしっかり確認しておきましょう。

 特に注意しておきたいチェックポイントは、次のようなものです。このときに、自分の住む住戸内のことだけでなく、共用部分の管理に必要な書類や確認事項についてもきちんと調べておきましょう。

  • 敷地の権利、内容
  • 購入代金の支払時期、支払方法
  • 専有部分の面積(売買面積)、登記上の面積、用途
  • 瑕疵担保責任、アフターサービス基準
  • 住戸内設備、共用部分設備の取扱説明書、保証書
  • 管理規約、使用細則、長期修繕計画、その他管理に関する取り決め
  • 駐車場、駐輪場、トランクルーム、ルーフバルコニーの使用方法、使用料
  • 修繕積立金、修繕積立基金、管理費等の額
  • 近隣協定等の内容(※)
  • 設計に関する図書、建築確認申請書、検査済証など管理組合関係書類の引渡し状況
  • 契約の解除に関する事項
  • 手付け解除
  • 契約違反による解除
  • 融資利用特約(ローン特約)による解除
  • 買い換え特約による解除
  • 引渡し前の滅失・毀損による解除(危険負担)

(※)近隣協定とは、マンションを建設する際にマンション事業者と近隣住民との間で協定が締結されていることです。例えば、電波障害対策やごみ置き場、駐車場、駐輪場などの使い方、また、マンションの高層階から覗かれるような場所に位置する住宅のために見通しを遮るブラインドを設置するなどの内容が協定として結ばれていることがあります。しかし、これらの協定内容はマンション事業者から購入者(管理組合)にきちんと引き継がれていないケースも多いです。特に解決のための金銭が絡んでいるなどのようなときは、あえてマンション事業者が協定内容を開示しない場合もあり、後に管理組合側が「全然知らなかった」というようなことでトラブルになることも少なくありません。

・売買契約時の注意事項等について調べる
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)住宅なんでも情報マップがあります
http://www.jhf.go.jp/jumap/index.html
・アフターサービス規準
社団法人不動産協会 中高層住宅アフターサービス規準があります。
http://www.fdk.or.jp/index.html
・いろいろ調べる
不動産ポータルサイト
http://www.ocn.ne.jp/house/?R

2)住宅ローンの種類にはどのようなものがありますか?

 分譲マンションを購入する際、多くの人は住宅ローンを利用します。この住宅ローンを融資する機関は、銀行などの民間の金融機関や、最近多く見られるようになったモーゲージバンク、生損保会社、ネットバンクなどが取り扱っています。そのメニューも多彩で、例えば、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が扱う「フラット35」や、民間プロパーの住宅ローン、財形貯蓄をベースとした財形融資などがあります。

 申し込み窓口が近い、給与の振込口座があるなどの利便性もさることながら、融資機関によって金利や手数料が違うだけでなく、様々な融資条件に違いがあります。決して、「どこで借りても大差ない」ということではありません。また、同じ金融機関でも、一定期間は店頭表示金利よりも優遇を受けられる商品(借り手側の条件で異なることもあります)や、特定の受付期間だけ優遇(いわゆるバーゲン)されるメニューもあります。場合によっては、A支店とB支店で取り扱っているメニューが異なることなどもあります。

 ただ、最も考えておかなければならない注意点は共通で、「どのくらいの金額」を「どのくらいの期間」で、また、「どのような方法」で返していくのかということです。さらに、優遇期間が終わったときに、どのくらい負担が増えるのか(例えば優遇期間中は年2.5%だったものが、優遇期間が終了したら年4.0%が適用され返済額が大きく増えるなど)についても気をつけておく必要があります。

 ここでは、その中で「金利のタイプ」を取り上げておきます。住宅ローンを選択するときは、その特徴を十分に理解し、リスクを少なくしておかなければなりません。


テキスト ボックス: 金利タイプのイメージ図。
金利情勢が上昇傾向か、下降傾向かは十分見極めが必要

長期固定金利型

 このタイプは、借入期間の全期間にわたって金利が固定されているもので、将来的に金利が上昇してもそれに影響されないため、安心して返済計画を立てることができます。いまのところ、長いタイプでは住宅金融支援機構の「フラット35」のように、35年間にわたって金利が固定されるものなどです。もちろん余裕があれば、25年で返済計画を立てることも可能です。逆に、金利が下がっていくときは、金利が固定されていて不利になることもあります。

変動金利型

 このタイプは、借入期間に関係なく、市中の金利変動に追随します。市中金利が上がるときは借入金利も上がり、返済額も増えていきます。これとは逆に市中の金利が下がるときは借入金利が下がり、返済額は減ります。一番気をつけなければいけないのは、金利動向が上昇局面か、下降局面かで有利・不利が決定します。少々の幅であればいいのですが、場合によっては家計に重たくのしかかり返済が困難となることもあります。

固定金利選択型

 このタイプは、固定型と変動型を組み合わせたようなタイプです。当初2~3年、あるいは5年、10年などの期間を固定金利期間とし、期間経過後に再度、固定にするか変動にするかを選択できるものです。当初の固定金利期間は、通常、1)の全期間固定のものよりも金利が低く設定されますので、毎月々の返済額を少なくしたり、返済期間を短くすることもできます。このタイプで気をつけておくことは、当初の固定金利期間が終了した時点の金利水準の見通しです。市中金利の上昇で、予想以上の負担増となる可能性もあります。

◆こういう方法も(ミックス型、借り換えなど)

 金利変動のリスクを分散するために、前述の3つのタイプの中から複数のものを組み合わせることも可能です。一つの金融機関でローンを組むこともできますし、別々な金融機関で組むこともできます。
例えば、長期固定型のフラット35と、5年の固定金利選択型のものを選びます。段階的に金利が上昇するような場合は、長期固定型で組んだローンは安全ですし、金利が下がる場合は、固定金利選択型の更新時期に金利軽減メリットを受けられます。

 長い返済期間中には、金利変動リスクは避けられないため、このようにミックスすることでリスクを分散することが可能となります。

 また、返済期間中に「この金利なら固定したほうが将来も安心だろう」と判断できたときは、全額を固定金利型のタイプに借り換える方法も考えられます。借り換えは手数料や登記費用もかかりますので、事前によく調べておく必要があります。この場合、借り替えようと思った金融機関のローンの金利が「いつまでに手続きを完了すればいいのか」を確かめておかないとなりません。手続きにモタモタしていて、いざ資金実行となったときには金利が上がっていたということもよくあります。例として、1ヶ月単位で金利が決定されるローンの場合は、月初めに申し込みをして手続きを進め、月末までに資金の実行までたどり着かないと金利条件が変わってしまうというようなことです。申し込んだときの金利ではなく、資金が実行されるときの金利が適用される場合が一般的ですので十分留意が必要です。

・資金計画、返済計画について調べる
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)住宅なんでも情報マップがあります
http://www.jhf.go.jp/jumap/index.html
国土交通省 住宅金融に関するQ&Aがあります
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jyutakukinyu/index.html

3)住宅ローン申込み時の注意点はなんですか?

 住宅ローンにはいくつかのタイプがあります。その選択の仕方によっては将来「金利リスク」の影響を受けることもあります。そこはよく考えていただく必要がありますが、そのほかにもいくつか知っておく必要がある注意点があります。

 なお、住宅ローンの種類(金利タイプ)については「2)住宅ローンの種類は?」をご覧ください。

融資額

 マンションの購入資金100%を「住宅ローンだけ」で手当てするのは危険です。購入時にかかる諸経費、購入後に必要となる家具やその他の小物、毎月のランニングコストは想像以上に費用がかかるものです。余裕を持って返済できるように、毎月やボーナス月の住宅ローンの返済額がいくらだったら生活が苦しくならないかなどについては十分な検討が必要です。

元利金等返済、元金均等返済

 ローンの返済は、毎月支払う額を一定にする「元利金等返済」と、元金を均等に返済していく「元金均等返済(毎月支払う元金は同額ですが利息が減って行きますので月の支払額は減少して行きます。)」があります。返済総額でどちらが得かを比較しますと、元金を早く返していける「元金均等返済」の方が返済総額が少なくてすみますが、当初何年間(返済期間や借入金利によって違います)かは「元利金等返済」よりも月々の返済額が高額となります。ただ、次第に減っていきますので、時を経るにしたがって負担は少なくなります。

 一方、「元利金等返済」は、月々の返済額は一定ですが、最初のうちは利息ばかり返している計算になります。10年以上返済したはずなのに、あまり元金が減っていないので驚くこともあります。金利が高ければ高いほど、また借入れ期間が長いほどその傾向が強くなります。その代わり、最後まで同じ額を返済し続けるので、資金計画は立てやすくなります。

元金均等返済イメージ図 元利均等返済イメージ図  

 どちらも、一長一短ですから、現在、及び将来の家計での返済可能額を十分に見越して選択することが肝要です。

毎月返済、ボーナス返済

 ローンの返済は、毎月支払うものと年2回のボーナス時に支払うものに分けることができます。会社勤務のサラリーマンは毎月の給与だけですべての額を返済するのは大変なため「ボーナス返済」を組み合わせることが多く、逆に、自営の方などでボーナスがない方などは「毎月返済」だけで返済を組むことが多いようです。

 ここで気をつけなければならないのは、ボーナス返済を組み込みますと、毎月の返済は楽になりますが、万が一会社の業績の影響でボーナス支給額が減ってしまったときなどは、とたんに返済が苦しくなってしまいます。バブル崩壊後の経済不況の時は、このことが原因で返済困難となった方も少なくありません。ボーナス返済を利用する場合の安全策としては、ボーナスによる返済額の割合を小さめにしておくことも必要です。

返済期間、繰上げ返済

 住宅ローンの返済期間は、長期間にすればするほど毎月の支払額は少なくてすみますが、総返済額は逆に増えていきます。このバランスをよく考えて期間の設定を行います。このときに自分の年齢や、将来設計をある程度見越しておかないと後々大きな負担となります。

 例えば、住宅を購入したときはそれほど大きな負担に感じなかった場合でも、子供の進学費用がかかるようになってきたり、年齢が高くなるにしたがって給与が減額される仕組みだったり、退職して年金以外の収入がなくなったときなどには大きな負担となります。また、住宅ローンの返済額は毎月一定でローン残高は徐々に減って行ったとしても、毎月の収入が減少したり、生活費の負担が増えるリスクのほかに、マンションの高経年化によって修繕費が増えていくことも十分に頭に入れておかなければなりません。

 一方、逆に比較的大きな一時金(例えば定期預金の満期)や退職金などが手元に入ったときに、臨時に住宅ローンの返済に充てることがあります。一部繰上げ返済を行うことで返済期間を短縮したり、毎月の返済額を少なくすることもできます。このように、将来の返済に柔軟に対応できる住宅ローンを選ぶのも一つのコツとなります。

 なお、一部繰上げ返済は金融機関によっては「最低いくら以上」というような条件がついていたり、手数料が必要な場合がありますので、念のため住宅ローンの契約時に確認しておいたほうがいいでしょう。

・資金計画、返済計画について調べる
支援機構(旧住宅金融公庫)住宅なんでも情報マップがあります
http://www.jhf.go.jp/jumap/index.html
国土交通省 住宅金融に関するQ&Aがあります
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jyutakukinyu/index.html

4)マンション購入に必要な費用はどのようなものがありますか?

 私たちがマイホームを取得するということは、ほとんどの方にとって人生で最も大きな買い物であることとなります。実際に数千万円、場合によっては億の単位の買い物です。

 今の時代は通販やネット販売でも結構高額な商品が販売されています。また、大きな家具や家電製品も高額商品がありますが、これらの大半は、商品の購入価格と送料、場合によっては若干の保険料がかかるぐらいです。

 もう少し大きな買い物としては自動車があります。自動車は数百万から高いもので数千万にも及ぶものもありますが、自動車本体のほかにいくつかのオプション費用、登録手数料、保険、税金などが諸費用として必要となります。きちんと契約書を交わし、ローンや保険をどうするかなどは住宅を購入する場合と同じですが、自動車の場合はほとんどがパッケージとなっていて住宅ほど複雑ではありません。また、自動車は規格品ですので全国どこでもパンフレットと同じ車が選べますし、なんといってもショールームで実物を見て、触れて、試乗して選ぶことができます。

 これに対し、新築マンションは「建物が出来上がってない状態」で、「想像」して購入することとなります。売れ残りや中古であれば建物や室内の状態を見ることも、居住者の方に感想を聞くこともできますが、そうでなければパンフレットや住宅情報誌を見ただけで数千万もの契約をするという危険を背負い込むことになります。

 例え念入りにモデルルームを見たとしても、それはあくまで別のところに用意されたモデルですので、実際の騒音や日当たり、眺望などは確認できません。自動車ならば、ある程度「乗り心地」を体験できますが、住宅は「住み心地」を体験できません。また、モデルルームと異なるタイプを購入するとなれば、部屋の雰囲気、家具、その他必要となる費用までをも想像するだけで決めなければならないのです。

 実際にマンションを購入する場合、パンフレットに記載されている「販売価格」だけで手に入るわけではありません。さまざまな付帯費用が想像以上に必要となります。

 

 例えば、きちんと契約書を締結して、マンションの所有者となったことの証に法務局に所有権の登記を行います。この時の契約書の印紙代や登記費用、不動産取得税などが必要な費用です。また、住宅ローンを利用していれば、ローンの契約のためにも同様に契約書の印紙代や抵当権の設定登記費用も発生します。ここで例示した費用は必須です。誰が購入しても、新たに必要となる費用です。

 他方、家具を揃えたり、カーテンや照明器具を新調したりします。家を買うことで気持ちが大きくなっていますので、次から次へと新しい物に買い換えたり、新たに家具や家電製品を増やしたりしてしまいがちです。もちろん、前の家の寸法や色調で合わせていたものは、新しいマンションにはうまく合わないかもしれません。したがって、これらの費用はある程度は仕方がないといえますが、すべての人に共通してかかる費用ではありません。節約することも、お金をかけることも自由です。

 これらの「住宅の販売価格」以外に必要な費用を、しっかり見積もって、我慢するところは我慢して、資金計画を確実なものとしていきます。金額だけで数百万、ちょっとすればこの諸費用だけで一千万円を超えてしまうことも 少なくありません。

 ここでは、マンションを買ったら必ずかかる費用を例示しておきます。

  • 住宅購入費、消費税
  • 諸費用
    • 印紙税(売買契約)
    • 登録免許税(表示・保存登記)
    • 登記手数料
  • 不動産取得税
  • 仲介手数料
  • ローン手続費用
    • 印紙税(住宅ローン契約)
    • 融資手数料
    • 物件検査手数料
    • 保証料
    • 火災保険料・地震保険料
    • 団体信用生命保険料
    • 登録免許税(抵当権設定登記)
    • 登記手数料
    • その他
    • 引越代
    • 粗大ゴミ処分費
    • 電話移設費
    • 挨拶料
    • 修繕積立基金(一時金)
・資金計画、返済計画について調べる
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)住宅なんでも情報マップがあります
http://www.jhf.go.jp/jumap/index.html

5)マンションに住んでいるときに必要な費用はなにがありますか?

 分譲マンションにかかる費用は購入代金や諸費用を払ったらそれで終わりということはありません。当然に、また、長く快適に暮らすためには、いくつかの費用がかかります。

 まず、個人的にかかるものとして、住戸内の光熱費や水道使用料、固定資産税、都市計画税、住宅ローンの返済などがあります。これらは直接個人から税務署や電力会社、金融機関などに支払います。

 一方、マンションの共用部分を維持管理していくために必要な費用として、一般管理費や修繕積立金があります。一般管理費は、毎月の管理に必要な費用で、共用部分の光熱費、水道使用料、設備の点検費、管理員人件費、管理事務費、管理会社委託料、植栽管理費、保険諸費用などに使われます。基本的には毎月の出入りですので、「共益費」的な感覚です。

 もうひとつの修繕積立金は、マンションを維持するため計画的に実施する大規模修繕などに必要な費用をあらかじめ積み立てておくためのものです。屋上や外壁の補修工事や設備の修繕などに使われる費用で、築年数とともに修繕箇所が増えていきますので、それに見合うよう積立額も見直されます。マンションによっては、新築時に「修繕積み立て基金」を徴収し、当初数年間の毎月の積立額を低く抑えているところもありますが、結果的には基金がなくても最初から一定水準の額を徴収しているマンションと同じぐらいの額になります。この積立金は、5年や10年に一度といった一定期間ごとに大規模な修繕に使うもので、それまでは多額の積立金を貯めることになります。戸数が多い場合は、数千万や億の単位の積立金になります。最近はやりの超高層マンションや大規模団地では、毎月1千万円以上の修繕積立金(例えば、毎月1000戸×1万円)を集めているところもありますので、その管理やペイオフ対策もきちんとやっておかなければなりません。この積立金がない、あるいは極端に少ないマンションは、工事の時に多額の一時金を徴収されたり、必要な工事ができないこともあります。したがって、マンションを購入するときは、表面的な修繕積立金の月額だけでなく、工事が計画されている時期、内容(長期修繕計画)にも着目しておくことが必要です。

 このほかに、例えば、車やバイクを所有していれば駐車場使用料、その住戸にトランクルームがついていたり、ルーフバルコニー、専用庭などがありますと、それぞれ使用料を徴収することがあります。自転車も、駐輪場使用料として定期的に費用を徴収する場合もあります。これらの費用は、マンションによって考え方や決め方が違いますが、それらを使う人が管理費や修繕積立金などとあわせて毎月管理組合に支払うのが一般的です。

※ 機械式駐車場などの設備があるにもかかわらず、著しく低廉な使用料であったり無料で利用できる場合は、利用しない人たちも含めて全住戸で維持費を負担していることになります。
・資金計画、返済計画について調べる
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)住宅なんでも情報マップがあります
http://www.jhf.go.jp/jumap/index.html
・管理規約、使用細則について調べる
国土交通省 マンション標準管理規約などがあります
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/070123_3_.html
・管理費や修繕積立金のことをよく知る
財団法人マンション管理センター Q&Aがあります
http://www.mankan.or.jp/