第2ステージ 「住まいを使う」
子どもが生まれる
住宅を購入する理由で、「子どもが生まれるから」をあげる消費者はかなり多いのが現状です。子どもが生まれ、育ち、独立し、というように、時間軸で考えてみると、家族の人数は時期に応じて増えたり、減ったりします。そのことも考えて、住まい選びをすることも賢い買い物のポイントです。最近では、そうした個室の可変性を考慮して、設計されているマンションも出てきています。住宅購入当時だけでなく、その先の家族の将来設計も踏まえて、住み続けられる住まいについて考えてみてください。
リフォームして住み続ける
リフォームについて考えてみましょう。これまで暮らしてきた家に快適に住み続けるためには、生活の質をランクアップさせる適切なリフォームを行うことが欠かせません。ここでは、原状回復を目的とした修繕工事ではなく、家を引っ越さずに快適さを求める改善工事のことを考えてみます。
例えば、間取りの変更を行う、システムキッチンを入れる、和室を洋室に変更する、壁を壊して窓を設ける、階段に手すりをつける、庭を駐車場にする、裏口を作るなど、今の生活で不満なところを改善する工事です。このほかにも、外壁の色を違う色に塗り替えるなど、今までのイメージを一新したいと思うかもしれません。
これらの工事は、自由にやっていいのでしょうか? これから、「持ち家の戸建住宅の場合」、「分譲マンションの場合」、「賃貸住宅の場合」に分けて述べていきます。
戸建て住宅(持ち家)の場合
戸建て住宅を所有している場合は、かなり自由にリフォームすることができます。ここで最も気をつけなければならないのは、リフォームすることで法律に違反してしまったり、建物の構造が弱くなってしまったり(耐力壁を壊したり、住宅のバランスが崩れるなど)という「やってはいけないリフォーム」です。
さらに、自分の家はいいが、周りの家に迷惑をかけたり、不快な思いをさせたりすることとなるリフォームも避けなければいけません。
その点にさえ注意すれば、あとは予算次第で自由にできますので、どのような改善で、よりよい生活ができるかを考えてみましょう。
マンションなどの集合住宅の場合
いわゆる分譲マンションなどの集合住宅の場合は、戸建て住宅とは大きく違って厳しい制約があります。
高い金額を払って買った分譲マンションの場合、自分の自由にできる部分は「専有部分」です。
この「専有部分」のリフォームとはなんでしょうか? 意外に感じられるかもしれませんが、簡単に言えば部屋の中だけです。マンションを支えているコンクリートには手をつけられません。玄関ドアも外側はダメ、ベランダもダメです。また、水回り部分も手をつけられません。それを除いてしまうと、自由にリフォームできるのは、極端に言えば壁紙あるいはフローリングを含めてそれよりも内側だけしかないということになります。この壁紙やフローリングより内側ならできるといっても、実はマンションごとに定められる管理規約や使用細則で事前に理事会や上下左右の住戸の承認が必要などというがんじがらめになっている場合も多くあります。
もちろん事前許可と決められたルールの範囲内であればある程度のことはできます。例えば、木の壁で隔てられている二部屋を一間続きにする、絨毯をフローリングにする、システムキッチンを入れ替えるなどのリフォームです。
壁紙の張り替えなどは可能ですが、隣戸への騒音が発生するような場合はやはり事前に了解を得ておくことが望ましいといえます。
一方、ベランダでガーデニングをするために土を入れることはできません。ベランダは、自分の家しか使わない場所ですが、専有部分ではなく、「共用部分ではあるが専用使用できる部分」となっています。火災や災害の時には他の住戸の避難通路となりますし、ガーデニングの土が水を含んだままになりますと、コンクリート躯体に亀裂が入ったり鉄部のサビ、さらには下階や室内への漏水が発生したりします。
このように、集合住宅の場合は、自由にリフォームすることは難しいとご理解ください。
賃貸住宅の場合
賃貸住宅でのリフォームは、ほぼ不可能であるとお考えください。賃貸住宅は、自分は借りているだけで改造する権利はありません。仮に不具合があれば家主に対して改善することを申し出ることはできますが、自分勝手に判断して住宅本体や備え付けの設備に影響する工事を家主に断りもなく発注することはできません。
ごく一部の賃貸住宅では、退去するときに元通りにできるのであれば、一定の範囲で、かつ、事前に家主の許可を得て軽微なリフォームは可能ですが、一般的には不可能とお考えください。
したがって、現状に不満があるのなら、前項にあるとおり、退去して別な家を探すというのが「現実的である」と言えます。