住まいのすごろくマップ

第3ステージ 「住み替えをする」

施設に移る

たとえば、高齢になって独り住まいになるとします。それまで住んできた住宅は、家族との多くの思い出が尽きませんが、日常生活という観点からは、毎日行わなくてはならない掃除などの営みが辛くなることがあります。そこで、高齢になってからの住まい方の選択のひとつとして、住みやすい住宅への住み替えがあります。

健康で日常動作にも問題なく、現住宅が広すぎるからコンパクトな住宅に住み替えたい、経済的な問題により家賃の安いところに住み替えたい、といった場合には今までの住宅と同じく一般住宅から選択することもできます。ただし、高齢者は賃貸住宅を簡単に契約できない場合もあります。必要に応じて、公営住宅なども視野に入れて探す必要があります。また、将来的に一人になったり、介護が必要になったりしたときのことも考えて、バリアフリーに配慮しているか、車いすが使用できる十分な広さがあるかなど、使い勝手をチェックしておくことが大事です。

さて、住み替えをする場合にどの住まいが良いかというのは、あなたの身体状況や経済状況、住み替えの目的やニーズによります。これらの具体的な相談窓口としては、各都道府県にある高齢者総合相談センターや市区町村の地域包括支援センターなどがありますので、まずは専門家へ相談し、ニーズや条件の整理・情報収集から始めるのが良いでしょう。

また、住み替えによって周辺環境が大きく変わるため、高齢になってからの場合には、その変化に戸惑ってしまい、様々な問題が発生することがあります(詳しくは「年を取る」をご覧ください)。たとえば、なじみの商店がなくなって買物に困る、親しくつきあってきた友人との絆が薄れる、といったことが問題になることがあります。ですから、住み替えを行う場合、そのタイミングが重要です。元気なうちに住み替えて、新しい環境に馴染んでおいて、将来介護が必要になった場合でも住み続けられる住まいにするのか、あるいは、介護が必要となってから介護付きの施設に移るのかといった問題があります。さらに、それまでの住まいの近くに良い新しい住まいが見つかれば良いのですが、特に高齢者向けの住宅・施設は地域に不足している場合も多く、いざ住み替えなければならなくなったときに急いで探しても近くに見つからない危険性もあります。金額も安く、介護サービスも付いている特別養護老人ホームなどは介護保険制度要介護認定を受けないと入居できず、また認定を受けても順番待ちという状況もあります。ですから、ご家族とも相談し、早め早めに検討を始めることをお勧めします。

高齢者向け住宅・施設

一定のバリアフリー性能と生活支援・介護サービスを求めるのであれば、高齢者向け住宅・施設がその選択肢としてあげられます。高齢者向け住宅・施設とは、高齢者の生活に合わせて、住宅のハード面ではバリアフリー対策等の配慮を行い、ソフト面では生活支援サービスや介護サービスを受けられるようにしたものです。大きく施設系と住宅系に分かれることができますが、施設系は特別養護老人ホームに代表されるように、入居者の生活全体を管理しながら食事や介護などのケアサービスを提供する施設です。住宅系は食事や外出などできるだけ普段通りの生活を送りながら、必要なケアサービスが受けられる住まいです。

住宅系には従来「高齢者円滑入居賃貸住宅」「高齢者専用賃貸住宅」などがありましたが、平成23年に「高齢者住まい法」が改正され、「サービス付き高齢者向け住宅」に一本化されました。サービス付き高齢者向け住宅とは、住宅としての一定の広さや設備、バリアフリー構造などがあり、ケアの専門による安否確認や生活相談サービスが受けられる住宅です。基準を満たしたものは都道府県で登録されてホームページ上に公開されるので、安心して住宅を選ぶことができます。

【主な高齢者向け住宅・施設の種類と概要】
出典:「高齢者の住まい・住み替えに関する相談・情報提供マニュアル」国土交通省住宅局安心居住推進課